Blog
ブログ
2023.09.01
不動産売却のタイミングはいつが良い?高く売るための判断基準やコツを詳しく解説
不動産売却の最適なタイミングを判断するためには、さまざまな要因を検討する必要があります。
今回の記事では「季節」「築年数」「税金」「住宅ローン控除」「ライフスタイル」といった観点から、適切な売却時期やタイミングを解説していきます。ぜひ本記事を参考に、不動産の売却を有利に進めましょう。
不動産売却のタイミングを見極める6つの基準
マンションや一戸建ての売却を考えているものの、最適な売却タイミングや、売却タイミングを踏まえる上での前提等に悩んでいる方は多いでしょう。売却するタイミングは、以下の6つが関係します。
- 季節
- 築年数
- 税金
- 住宅ローンの金利
- ライフスタイルの変化
- 不動産の価格相場の変化
適切なタイミングでの売却は、より納得のいく取引につながる重要な要素です。それぞれ詳しく解説していきます。
1.季節
季節によっても、不動産売却時の注意点は変わります。これは新生活や人事異動が主な理由で、1~3月と10月が住宅購入の需要が増える時期となります。
特に2月と3月には新学期を迎える子供や転勤のタイミングなどに合わせて、住宅の売却需要がピークに達します。このタイミングで家を売り出すと、売却期間も短くなり、効率的に取引が進められるでしょう。
また、10月には多くの企業で人事異動が行われることからも、住宅購入の需要を高めるタイミングでもあります。春の売却チャンスを逃した場合や早期売却が難しい場合は、10月を狙って売り出すのも一つの戦略として考えられます。
2.築年数
物件の築年数は、売却価格やタイミングにおける最も重要な要因の一つです。国土交通省の資料(上図)にも示されているように、家の価値は築年数が経過するにつれて確実に減少していきます。
具体的には戸建住宅の場合、築15年までに資産価値が急速に下落し、その後は資産価値が10%〜20%で横ばいとなります。一方マンションでは築年数が経過するごとに、資産価値が継続的に下落します。
このため、物件を高値で売却するのであれば、築10年以内の段階や、大規模リノベーションを施した直後など、物件が新鮮で市場価値が高いタイミングでの売却が良いでしょう。
3.税金
家を売却する際に得た利益には「譲渡所得税」が課せられます。譲渡所得税の税率は家の所有期間によって異なるため、税金の影響を最小限にするための売却タイミングを理解することが重要です。
譲渡所得税は、住民税、所得税、及び復興特別所得税から構成されており、算出方法は以下の通りです。
- 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
なお所有期間により、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つに分類され、それぞれの税率は以下のようになっています。
- 短期譲渡所得(5年以下):所得税30% + 住民税9% = 合計39.63%
- 長期譲渡所得(5年を超える):所得税15% + 住民税5% = 合計20.315%
※10年を超える場合にはさらに軽減税率が適用され、税率は14.21%となります。
このように、5年の所有期間が一つの節目となっており、短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率とでは、税率に大きな違いが出ます。急いで売却する必要がない場合、所有期間5年を超えるタイミングを見極めることで、税金を節約することが可能です。
加えて居住用の家(マイホーム)の売却に関しては、さらなる税金の特例が適用されます。特に所有期間が5年を超える場合の「譲渡損失」には、税金還付の特例が適用されることがあります。これらの特例を適切に活用することで、売却時の税金負担を軽減することができるでしょう。
4.住宅ローンの金利
住宅ローンの金利は、家を売るタイミングを決める重要な要素となります。金利が低い時期は、買主が住宅ローンを組む際の利息が少なくなるため、返済の総額を抑えられることから、購入希望者が増えます。
とはいえ、この住宅ローンの金利だけを基準にするのは適切ではありません。景気が悪化すると金利は低下し、それに伴って住宅ローンの金利も下がることが一般的です。このため「住宅ローンが低金利=景気が悪い」とも考えられ、不動産価格の相場や人々の購買意欲も低下する可能性があります。
したがって、住宅ローン金利は売り時の一つの指標として活用できるものの、それだけではなく、他の要素も考慮しながら最適な売却タイミングを見極めることが求められます。
5.ライフスタイルの変化
ライフスタイルの変化は、家を売るタイミングを検討する際の重要な基準となります。例えば以下のようなライフスタイルの例が考えられます。
- 子供が成長して家を出て一人暮らしを始める
- 新しい家族が増えた
- 退職に伴い生活スタイルが変わった
このように生活状況の変化は新しい住まいへの要望を引き起こします。
国土交通省の「平成30年 住生活総合調査」によると、通勤・通学の利便性を重視しての住み替えが最も多く、その次には住居の広さや部屋数、また家族構成の変動に伴う世帯からの独立が挙げられます。
こうしたライフイベントやニーズに応じて、売却や住み替えの最適なタイミングを探ることが、より良い生活を実現するための鍵となります。
参考:住宅:平成30年住生活総合調査(確報) – 国土交通省
6.不動産の価格相場の変化
不動産価格の相場を正確に把握することは、売却の適切なタイミングを見極める上で重要です。この相場の動向を知る上で参照されるのが「不動産価格指数」です。この指数は国土交通省が不動産の取引価格情報を基に発表しているものです。
下図の過去データを見ると、マンションの価格は2013年春から右肩上がりの上昇傾向が続いていますが、戸建て住宅の価格は比較的横ばいの状態を維持しています。
不動産価格は、経済状況や社会情勢などの外部要因に大きく影響されます。景気の良い時期には価格が上昇し、その逆の時期には価格が下落する傾向にあります。
2023年現在、不動産価格は「不動産バブル」とも称されるほどの高水準を記録しており、ローン金利の低さや中古住宅に対する評価の向上などから、この上昇傾向は今後も続くと考えられます。加えて戸建てやマンションの在庫減少により、1件当たりの需要が高まっていることから、適切なタイミングでの売却は高い利益を期待できる状況となっています。
このように市場動向をしっかりと理解し、価格のピークを見極めることが、最大限の利益を得るための鍵となります。
不動産売却をおすすめしない3つのタイミング
不動産売却におすすめしないタイミングは以下の点です。
- 築年数が5年以内
- 所有期間が5年以内
- 夏休みや年末年始シーズン
それぞれ詳しく解説していきます。
1.築年数が5年以内
築5年以内の家を売却することは、一見魅力的に思えるかもしれません。実際、築浅物件は高く売れやすい傾向にあります。しかし、このタイミングでの売却には大きな落とし穴が存在します。
多くの方が住宅ローンを組んで家を購入しますが、住宅ローンの返済初期は利息部分が多く、元金の減少は進みにくい状況となります。このため、築5年以内の家を売却してしまうと、住宅ローンの残債が売却価格を上回るリスクが高まるのです。
特に、都内の駅近くや地価が急激に上昇していない地域では、築浅物件でも購入価格よりも安い価格での取引が一般的です。
売却を検討する際には、仲介手数料や引越し費用、新居の初期費用など、さまざまな経費が発生することを考慮する必要があります。結果として、貯蓄を含めた資金の残高が減少し、金銭的な負担が増える可能性があります。
そのため安易に売却を決断する前に、まずは住宅ローンの残債を正確に把握し、不動産会社の査定を受けて、お金の流れを明確にシミュレーションすることが大切です。短期的な売却価格の魅力にとらわれず、長期的な視点から資産管理を行うと良いでしょう。
2.所有期間が5年以内
所有期間が5年以内での家の売却も、慎重な検討が求められます。それは、5年以内の所有期間で売却する場合、高い税率が設定される短期譲渡所得税が適用されることが理由に挙げられます。
長期譲渡所得税率と短期譲渡所得税率は以下の通りです。
長期譲渡所得(5年超) |
短期譲渡所得(5年以下) |
|
所得税 |
15.315% |
30.63% |
住民税 |
5% |
9% |
合計 |
20.315% |
39.63% |
なお、譲渡所得税率の適用基準は「売却した年の1月1日時点の所有期間」であることに注意しましょう。売却を検討する前に、所有期間が5年を実際に超えているかをしっかり確認する必要があります。
3.夏休みや年末年始シーズン
夏休みや年末年始シーズンも、家を売るのに適していない時期と言われています。これらの期間中は、多くの人が休みをとるため、不動産を購入したり、家を見学したりする活動が減少します。
特に1月と8月は、不動産業界で「一八(いっぱち)」と呼ばれる閑散期です。一方、夏休み明けの9~10月や年末年始明けの2~3月は、不動産の取引が活発化するため、このタイミングでの売却を検討することをおすすめします。
不動産売却のタイミングを逃さないコツ
不動産売却のベストなタイミングを見極めるためには、何に注意すべきでしょうか。ここでは、不動産売却のタイミングを逃さないコツを詳しく解説します。
コツ1.売りたい時期の半年~1年前から準備する
家の売却は売ると決意してから実際の売却完了まで、半年から1年ほどの時間がかかるのが一般的です。具体的には相場の調査や査定、媒介契約の結びつけから、購入希望者との内覧や条件交渉、最終的な決済に至るまでの流れが含まれます。
特に急な事情でまとまった資金が必要な場合や、新居の完成を控えている場合など、計画的な行動が不可欠です。売却を希望するタイミングの半年から1年前には、すでに不動産会社との連絡や査定依頼を開始するのがベストです。例えば3月に売却を希望するなら、前年の9月頃から動き出すことが理想的です。
売却期間に余裕がない場合、相場よりも安く物件を売り出さざるを得なくなることもあるでしょう。このような急ぎの売却は、買主からの強気な交渉を受けやすくなるため、理想的な価格での売却が難しくなります。計画的な行動と余裕を持った準備が、不動産売却の成功のコツと言えるでしょう。
コツ2.必ず不動産会社に相談する
不動産の売却は単純な取引とは異なり、多くの複雑な要素や手続きが絡む重要な決断です。準備の仕方や売却のアプローチ、さらに交渉のスタイルによって結果が大きく左右されます。
このような重大な意思決定の際に、素人の判断だけで進めるのはリスクが伴います。税制の優遇措置から現在の相場、資産価値の変動、そして売却の最適なタイミングなど、多角的な視点からの検討が求められるからです。
自分一人では気付けない可能性のある落とし穴や、さまざまな問題点を指摘してくれる経験豊富な不動産会社の担当者に相談することをおすすめします。
コツ3.複数の不動産会社を比較して選ぶ
不動産売却の成功は、適切な不動産会社の選択に大きくかかっています。各会社の査定額は大きく異なることが多く、その根拠や担当者の売却実績、信頼度をしっかりと比較することが重要です。
もし査定額に大きな違いが出る場合は、直接その根拠を担当者に問い合わせることも大切です。一括査定サービスを利用すると、複数の不動産会社から簡単に査定を受けることができ、効率的に最適な会社を選択するための情報を得られます。
家の売却を強みとする会社を厳選し、最良の結果を得るための前準備として、複数の会社で比較してみてください。
不動産売却のタイミングに関するよくある質問
不動産売却のタイミングに関するよくある質問は以下の3つです。
- 質問1.不動産売却の流れが知りたい。
- 質問2.不動産売却にかかる税金は?
- 質問3.信頼できる不動産会社に依頼するには?
それぞれ詳しく解説していきます。
質問1.不動産売却の流れが知りたい。
不動産を売却する際、さまざまな手続きが必要となります。不動産売却の流れを把握し必要な契約手続きを理解しておくことで、スムーズに売却が行えるでしょう。
以下記事では、不動産売却の手順や必要な書類などについて詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【プロが教える】不動産売却の流れは7ステップ!手続きに必要な書類もわかりやすく解説!
質問2.不動産売却にかかる税金は?
不動産売却には税金が課されます。そのため不動産を売却する際は、売却益に対してどのくらいの税金がかかるのか、計算方法も含めて理解しておくと良いでしょう。
以下記事では、不動産売却にかかる税金と税金の計算方法、および不動産売却にかかわる控除や節税のポイントを詳しく解説しています。不動産の売却を検討していて税金の計算方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却にかかる税金の計算方法|譲渡所得の控除制度や節税ポイントをわかりやすく解説!
質問3.信頼できる不動産会社に依頼するには?
不動産売却の際、最も重要なのは「信頼性の高い不動産会社を見つける」ことです。各不動産会社は得意なエリアや物件タイプが異なり、選択によっては売却金額に数百万から数千万の大きな差が生じることもあります。
しかし、個人の努力だけで最適な会社を選ぶのは容易ではありません。そのため、効率的に信頼できる会社を見つける方法として「不動産一括査定サイト」の利用をおすすめします。
以下記事では不動産一括査定サイトを利用するメリットや、おすすめのサービスなどを紹介しています。ぜひあわせて参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却におすすめ|人気の不動産一括査定サイト20選をご紹介!
まとめ
家を売却する際のタイミングは非常に重要であり、ここまでその要点について解説してきました。売り時を的確に判断するためには、まず自身の不動産の現在価値を正確に把握することが必要です。売却額はさまざまな要素によって差が出るため、ベストなタイミングを知ることで、より高額での売却を目指すことが可能となります。
また、信頼できる不動産会社を選ぶことも欠かせません。適切な会社に相談し、納得のいく売却を実現するためのサポートを受けることが、成功の鍵となります。家を売る考えがあれば、最適なタイミングを見極め、しっかりとした計画を立てて進めていきましょう。
なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。
不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから