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2023.12.16
【プロが教える】不動産売却のチラシは信用していいの?注意点からよくある質問まで徹底解説!
自己所有の不動産に住んでいる場合、誰もが一度は売却チラシを見たことがあるかもしれません。しかし、注意深く見なければ悪質業者との接点となってしまうおそれもあります。
この記事では、不動産売却チラシを業者が配る理由や確認すべきポイント、よくある質問まで詳しく解説します。不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売却のチラシは信じても大丈夫?
不動産売却を検討している場合、よく見かける「不動産を高く売却します」などのチラシは、慎重な扱いが必要です。これらのチラシは不動産売却希望者を対象としており、「売却物件大募集」「成約御礼」「不動産を高く査定します」などの魅力的な謳い文句が記載されています。
しかし、これらのチラシの情報を全て鵜呑みにするのはおすすめできません。高額査定や売却成功の事例などの記載は、あくまでその不動産会社のアピールポイントであり、実際の売却条件や市場価格とは異なる場合があるからです。
したがって、不動産売却のチラシを見た際は、その情報を参考のひとつとして考え、複数の不動産会社に相談し、実際の市場価格や売却戦略について詳しく聞くことが重要です。信頼できる情報とアドバイスを得ることで、適切な売却を実現できます。
不動産会社がチラシを配る4つの理由
不動産会社がチラシを配る理由には、以下の4つが挙げられます。
- 売り物件を増やせる
- 他社と差別化できる
- 業務の効率が上がる
- 両手取引が狙いやすい
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.売り物件を増やせる
不動産会社にとって、売り物件の多さは大きなアピールポイントです。購入希望者は選択肢が多い不動産会社を好み、物件の数が多いほど売買契約の成立確率が高まります。これは、売り物件が不動産仲介取引における「商品」に相当するからです。
しかし、一般的な商取引と異なり、不動産会社は物理的な在庫リスクを抱えず、売却物件を集めても原価は発生しません。このため、物件募集の広告費を除けば、不動産会社には売り物件を無限に集めるメリットがあり、契約成立の機会を増やせます。
2.他社と差別化できる
売り物件の多さは、他社との差別化において重要な要素です。多くの物件を保有することで、珍しい物件を扱う可能性が高まり、競合との差別化が図れます。
とくに、売主との独占契約をすることで、その物件を自社だけで取り扱えるため、ほかの不動産会社では扱えない独占物件として購入希望者にアピール可能です。このような独占契約は、他社との競争で優位に立つための強力な手段となります。
3.業務の効率が上がる
不動産会社が売主を獲得することは、業務効率を向上させる上で重要です。売主は物件を売る明確な理由を持っているため、一度契約すればほとんどの場合、売却が見込めます。この点で、売主からの手数料獲得は比較的確実で、短期間での売却も可能です。
一方で、買主に対しては長期間にわたるこまめなフォローが必要で、購入に至らないこともあります。そのため、不動産会社は売り物件を保有し、売主へのチラシ配布などを通じて効率的な業務を目指しています。
4.両手取引が狙いやすい
不動産会社は、売主と買主を結びつける両手取引により、より多くの成功報酬を得られます。しかし、現代ではインターネットの普及により買主が自ら情報を収集しやすくなり、両手取引の機会は減少傾向にあります。
この状況に対応するため、不動産会社は売り物件の数を増やし、両手取引の可能性を高めているのです。売り物件を増やすことで、双方から報酬を得る機会を増やしています。
悪質な不動産業者に連絡した場合のリスクは4つ
悪質な不動産業者に連絡した場合のリスクには、以下の4つが挙げられます。
- 高い査定額を提示される
- 囲い込みで売却期間が長期化する
- 希望価格で売却できず値こなしされる
- 買取保証をつけられてしまう
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.高い査定額を提示される
不動産売却のチラシには、相場より高い金額が提示されることが一般的です。これらのチラシでは、具体的な高額な売却金額が記載されており、売主が連絡すると、実際の査定でも相場より高い額が提示されます。
しかし、重要なことは、提示された査定額が実際の売却価格を保証するものではないという点です。査定額はあくまで参考値であり、実際の売却価格とは異なる可能性があることに注意しなければなりません。
2.囲い込みで売却期間が長期化する
囲い込みとは、不動産会社が両手仲介を目指し、他社を通じた仲介を断ったり、正しい売買情報を共有しない行為です。これにより、不動産会社は両手仲介による2倍の仲介手数料を得るメリットがありますが、売主にとってはデメリットが大きくなります。
囲い込みにより買主発見の機会が減少し、売却期間が長引くおそれがあります。また、購入希望者間の競争が生じにくくなるため、売却価格が低くなる傾向です。
不動産の売却は本来、広範な情報公開によって、より高値での売却を目指す方法ですが、囲い込みはこれに反するため、売主に不利益をもたらすことがあります。
3.希望価格で売却できず値こなしされる
不動産売却の際、高い査定額を提示されても、相場より遥かに高い価格設定の物件は通常売却されません。実際に市場に出しても、長期間買主が見つからない場合、売主は価格を下げるしかなくなります。
これにより、「売れ残り感」が生じ、初めから相場価格で出していた場合よりも最終的な売却価格が低くなるおそれがあります。この結果、チラシで見た金額と実際の売却額に大きな差が生じると、売主とって大きな損失です。
とくに知識が乏しい売主が高い査定に誘われ契約すると、不動産が売れ残り、最終的には大幅な値下げを余儀なくされる状況になることがあります。これは「値こなし」と呼ばれる手法となり、不動産会社が長期間売れ残った物件を値下げさせることによって実施されます。
4.買取保証をつけられてしまう
不動産売却の際、一部の不動産会社は買取保証を提案することがあります。これは、仲介で売却できない場合に不動産会社が買い取る制度ですが、悪質な業者による不適切な買取保証には注意が必要です。
悪徳業者は初めに高すぎる価格で売り出し、売れない場合は相場より低い価格で買取ることがあります。買取は通常、急いで売りたい人や売りにくい物件の所有者に利用される一般的な方法ですが、一部の業者は低価格で買い取り、リフォーム後に再販することで二度手数料を得る「専任返し」という悪質な手法を用います。
このため、買取保証を利用する際は、仲介時と買取時の価格が適正かどうかを慎重に確認することが重要です。
注意すべき不動産売却チラシの確認ポイントは4つ
注意すべき不動産売却チラシの確認ポイントには、以下の4つが挙げられます。
- 物件情報が具体的に記載されている
- 高い売却価格が記載されている
- 購入希望者の存在を匂わせている
- 期間限定を強調している
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.物件情報が具体的に記載されている
不動産売却のチラシに記載された具体的な物件情報には注意が必要です。たとえば「○○地域で駅から〇分」「間取りは○○」などの詳細な情報が掲載されているチラシは、そのエリアの売主の関心を引くことを狙っています。
しかし、これらの情報は、特定のエリアに合わせて容易に作成できます。エリア内の世帯状況を把握している不動産会社は、その地域の一般的な物件の間取りを予測できるため、これを利用してエリア特有の詳細な物件情報をチラシに掲載することが可能です。
これは、実際に買い手が求める情報ではなく、売り物件を増やすためのエリア指向の情報である可能性が高いため、チラシの情報をそのまま信用するのは避けてください。
2.高い売却価格が記載されている
不動産売却のチラシに掲載されている高い売却価格は、多くの場合、相場より高めに設定されています。しかし、実際の成約価格とは異なることが多い傾向です。
実際には、売却価格より低い金額で取引されることが一般的となり、相場を上回る高値での売却はあまりありません。そのため、チラシに記載された「どこよりも高い」というキャッチコピーは、契約を獲得するための餌であると考えられます。不動産の売却を検討する際、あらかじめ相場を把握しておくことが重要です。
3.購入希望者の存在を匂わせている
不動産売却のチラシには「家族は○人で間取りは○○を希望」「子どもの進学に伴い○○の見える家を探している」といった具体的な購入希望者の情報が記載されることがあります。これらの情報は売主の関心を引き、チラシを信じさせる効果がありますが、実際にはこれらの購入希望者は架空の存在である場合がほとんどです。
ストーリー仕立てのチラシはとくに注意が必要となり、実際に問い合わせると、既に成約しているとされ、別の買い手を紹介されることもあります。このようなチラシは、売主の売却イメージを刺激するために、具体的な買い手情報を掲載している可能性があるため、信憑性には疑問を持つことが大切です。
4.期間限定を強調している
不動産売却のチラシに「今だけ限定」「早急」「○日限り」といった期間限定を強調する文言が掲載されている場合、慎重になるようにしてください。これらの文言は、売却を検討している人々の心理を煽り、急いで売却を進めさせるための戦略である場合がほとんどです。
実際に急いで不動産を購入したいと考える買い手はほとんどおらず、期間限定の強調は単なる煽り文句に過ぎないことが多いため、焦らされずに冷静な判断をするようにしてください。
不動産 売却チラシでよくある3つの質問
不動産の売却チラシでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.不動産会社はどこで所有者の情報を知っている?
- 質問2.不動産売却のチラシが迷惑な場合は?
- 質問3.信頼できる不動産会社の選び方は?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.不動産会社はどこで所有者の情報を知っている?
不動産会社が所有者の情報を得る方法は、主に以下の3つです。
- 登記簿謄本から情報を得る
- マンションの管理人から聞き出す
- レインズの成約事例を確認する
法務局で誰でも閲覧できる登記簿謄本には、不動産所有者の氏名や住所などが記載されており、これをもとにチラシを投函します。また、違法ではありますが、マンションの管理人から情報を聞き出すケースもあるようです。
さらに、不動産会社は無作為にチラシを投函することもあります。特定のマンションや地域をターゲットにして、売却を勧誘するチラシが配布しています。
質問2.不動産売却のチラシが迷惑な場合は?
不動産売却のチラシが迷惑な場合、以下の対処法を試してみてください。
- 不動産会社に連絡して止めてもらう
- ポストに「チラシお断り」を貼る
- 行政機関の相談窓口に連絡する
基本的には、不動産会社への連絡かチラシお断りステッカーを貼ることによって、投函頻度を下げられます。もしも、解決しない場合は行政機関に連絡してみてください。
質問3.信頼できる不動産会社の選び方は?
信頼できる不動産会社を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮することが重要です。
まず、不動産会社の免許番号を確認し、その会社の取り扱っている物件の種類や実績を把握します。また、担当者との相性も重要となり、親身になって提案してくれるかどうかも評価基準です。
さらに、査定価格が適切であり、その根拠を示してくれるかどうかも確認してください。ただし、チラシの不動産会社にのみ査定を依頼するのはリスクが伴います。成功するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し比較検討することが重要です。
なお、次のページでは、大手と中小(地元)の不動産会社の特徴を詳しく紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
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まとめ
不動産売却に関するチラシには、宅地建物取引業法や景品表示法などに基づく公正競争規約が適用され、厳格なルールに従って作成されています。これにより、嘘の情報を掲載することは基本的にありません。しかし、過度な表現で売却希望者を誘うチラシも存在し、安易に信じると売却失敗のリスクがあります。
このため、不動産売却の際には、まず市場の相場を理解することが重要です。相場を把握していれば、実情とかけ離れたチラシの情報にも慎重に対応できます。チラシの内容に躍らされず、実際の市場価値を理解することが、不動産売却を成功させるためのポイントです。ぜひ、この記事を参考にして不動産売却を成功させてみてください。
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