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2023.12.24
【プロが教える】不動産の売却益(譲渡所得)は確定申告が必要?手続きの手順や必要書類を徹底解説!
不動産を売却した際、発生した譲渡所得については確定申告が必要です。この記事では、申告に必要な手順や提出書類、税率の適用について詳しく解説します。
売却益の正確な申告方法を理解して、適切に手続きを進める参考にしてみてください。
不動産売却後の確定申告は必要?
不動産売却後に確定申告が必要かどうかは個人の状況によります。譲渡所得があれば、基本的に譲渡所得税の確定申告が必要です。
もし、申告漏れや遅れがあれば、「無申告加算税」や「過少申告加算税」「延滞税」などの追徴課税が発生します。また、意図的な売却益の隠し行為が発覚すると、重加算税の対象となることもあります。
そもそも確定申告とは
確定申告とは、1年間の所得合計を所轄の税務署に申告し、納税することです。給与所得者における年末調整が確定申告にあたります。
不動産を売却すると、所得税や復興特別所得税、住民税が発生します。とくに「所得税」については確定申告が必要です。
住民税は翌年度に申告した所得に基づき課税されます。また、手続きは不動産譲渡の翌年2月16日から3月15日の間に行われます。
確定申告が必要なケース
基本的に、不動産売却で課税所得が出るケースでは確定申告が必要です。たとえば、1,000万円の利益が出た場合、この金額が課税所得となります。
不動産売却による利益は「譲渡所得」として所得税の対象になりますが、「申告分離課税」に分類されるため、給与所得や事業所得とは分けて税額を計算します。つまり、独立して税額を算出する必要があり、通常の確定申告書とは別に分離課税用の確定申告書も必要です。
確定申告が不要なケース
不動産を売却したあと、利益が出なかった場合、基本的には確定申告する必要はありません。不動産売却時の支出が収入金額を上回るケースでは、譲渡所得がゼロまたはマイナスになるためです。
譲渡所得の計算は、売却による収入から取得費と譲渡費用を差し引いて行います。たとえば、収入金額が3,000万円、取得費と譲渡費用が合計3,500万円だった場合、譲渡所得はゼロとなり、確定申告が不要です。
不動産売却後の確定申告の手順は5つ
不動産売却後の確定申告の手順には、以下の5つが挙げられます。
- 書類を準備する
- 譲渡所得税を計算する
- 書類を記入する
- 納税地の税務署に申請する
- 納税または還付を受ける
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1:書類を準備する
確定申告には次の6つの書類が基本的に必要です。確定申告書第一表、第二表(B様式)、申告書第三表(分離課税用)、譲渡所得の内訳書【土地・建物用】、売買契約書のコピー、建物・土地の登記事項証明書、領収書などです。
これらの書類は税務署や国税庁ホームページから入手できます。書類の漏れがないように、適切に準備しなければなりません。
必要書類一覧
必要となる書類は以下の表を参考にしてみてください。
書類名 |
内容 |
確定申告書第一表、第二表(B様式) |
個人事業者や土地・建物を売った人などが使用する |
申告書第三表(分離課税用) |
給与所得とは分離して課税される場合に必要となる |
譲渡所得の内訳書【土地・建物用】 |
売却した不動産に関する情報を記入する書類 |
売買契約書の写し |
不動産を購入・売却時の不動産売買契約書のコピー |
建物・土地の登記事項証明書 |
売却し不動産の登記事項証明書 |
領収書 |
取得費・譲渡費の証明として必要 |
2:譲渡所得税を計算する
譲渡所得税の計算式は以下の通りです。
譲渡所得税=[売却価格 – 購入価格 – (譲渡費用+取得費) – 控除額]× 税率
この計算には、費用(譲渡費用、取得費)、控除額、税率の確認が必要です。譲渡費用には不動産売却時の仲介手数料、印紙税、立ち退き料などが含まれます。
取得費には購入代金、建築費用、登録免許税などがあり、建物の減価償却も考慮しなければなりません。これらの費用を正確に計算し、譲渡所得税を算出します。
税率を確認する
不動産の所有期間によって異なる税率を理解することは重要です。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として高い税率が適用されます。
一方、5年を超える所有期間の場合は「長期譲渡所得」として税率が低くなります。自宅売却で所有期間が10年を超える場合、さらに税率が軽減され、3,000万円特別控除と併用が可能です。税率の違いは以下の表を参考にしてみてください。
譲渡所得の長短区分 |
所得税 |
住民税 |
長期譲渡所得(5年超) |
15.30% |
5% |
短期譲渡所得(5年以下) |
30.60% |
9% |
長期譲渡所得 |
所得税 |
住民税 |
6,000万円以下の部分 |
10.20% |
4% |
6,000万円を超える部分 |
15.30% |
5% |
特別控除を確認する
居住用不動産を売却する場合、最大3,000万円の特別控除を利用できることを忘れないようにしてください。たとえば、夫婦共有名義の物件では、最大6,000万円まで控除が可能です。この控除は課税譲渡所得が3,000万円以内の場合、譲渡所得税を全額免除できます。
また、3000万円控除の適用要件や申請方法は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却における3,000万円控除とは?適用要件や必要書類について徹底解説! | ビリーフ株式会社
3:書類を記入する
確定申告書の記入は、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」が便利です。入力するだけで納税額が自動計算され、簡単に確定申告書を作成できます。
また、わからなくなったときは問い合わせ窓口に電話で相談できます。確定申告書、申告書第三表、譲渡所得の内訳書は正確に記入し、必要に応じて「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」を参考にしてください。
4:納税地の税務署に申請する
確定申告書の提出先は納税地の税務署です。期日は通常2月中旬から3月中旬ですが、年によって異なることがあるため、税務署または国税庁の公式サイトで確認してください。
また、提出方法は郵送、直接持参、国税電子申告・納税システム(e-Tax)の3つがあります。とくにe-Taxはオンラインで24時間提出でき、還付の場合はスピーディーな処理が期待できます。
5:納税または還付を受ける
納税が必要な場合は、2月中旬から3月中旬の期間に全額納付します。また、納税が難しい場合は、半分以上を期間内に納付し、残りは5月31日まで延納できます(利子税がかかる場合があります)。
また、納税方法には現金、口座振替、e-Tax、クレジットカードを選択可能です。還付の場合、指定の金融機関口座に振り込まれます。しかし、繰越控除の特例を利用する場合、還付金は4月から5月にかけて振り込まれます。
不動産 売却益 確定申告でよくある3つの質問
不動産の売却益に関する確定申告でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.不動産売却後に確定申告しないとどうなる?
- 質問2.不動産売却後の確定申告の方法は?
- 質問3.相続した不動産を売却した場合も確定申告は必要?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1. 不動産売却後に確定申告しないとどうなる?
確定申告しなければ、以下のようなリスクがあります。
- 罰金を課せられてしまう
- 余分に税金をしはらわなければならない
譲渡所得があるにもかかわらず期限を過ぎて申告すると、無申告加算税や延滞税として罰金が課せられてしまいます。
また、無申告加算税は納付すべき税額に応じて異なり、50万円までは15%、それを超える部分は20%が加算されます。損益通算の適用要件を確認し、条件に合致する場合は申請して不要な納税を避けるようにしてください。
質問2. 不動産売却後の確定申告の方法は?
不動産売却後の確定申告には、個人で行う方法と税理士に依頼する方法があります。
個人で行う場合、インターネット上から申告するか、税務署や市区町村の庁舎に設置される臨時会場で手続きします。不安な場合は、税務署で行われる税理士による無料相談の利用を検討してみてください。
また、税理士に依頼する場合、報酬は事務所によって異なりますが、一般的に10万円から20万円が相場です。
自分で確定申告すると、税理士や会計士の費用がかからず、売却益を多く手元に残せるかもしれません。しかし、計算や申告書作成のミスを避けるために専門家の利用を検討する価値はあります。
質問3. 相続した不動産を売却した場合も確定申告は必要?
相続した不動産を売却する場合でも、譲渡所得が発生すれば確定申告が必要です。購入価格が不明な場合は売却金額の5%を概算取得費として計算できますが、これにより譲渡所得が増え、税負担が重くなるおそれがあります。
そんなときに役立つのが「相続空き家の3,000万円特別控除」です。この控除は特定の要件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円控除できます。この特別控除を受けるためには、必要書類を揃えて期限内に確定申告しなければなりません。
まとめ
不動産の売却益に関する確定申告について解説しました。売却益は、不動産の売却価格から取得費や売却にかかった費用を差し引いた金額として計算されます。売却益には税金がかかり、所有期間によって異なる税率が適用されます。
不動産の売却益に関する確定申告は複雑になることが多いため、税理士などの専門家に相談することがおすすめです。
なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。
不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから