2025.10.27

特殊清掃とは?通常の清掃との違いや失敗しない業者選びのポイントもご紹介!

特殊清掃とは?通常の清掃との違いや失敗しない業者選びのポイントもご紹介!

親族が予期せぬ事故や孤独死などで亡くなった場合、通常の清掃では対応できない状況に途方に暮れる方は少なくありません。発見が遅れた場合、現場は血液や体液による汚染、強烈な異臭、そして大量の害虫が発生しているケースが多く、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。

このような特殊な現場を原状回復し、衛生的な環境を取り戻すために専門的な技術と知識を持つのが「特殊清掃」です。本記事では、特殊清掃が具体的にどのような作業を行うのか、費用はどの程度かかるのか、さらに「信頼できる業者」をどう選ぶのかについて解説します。

監修者

特殊清掃とは?

特殊清掃とは?

特殊清掃とは孤独死や事件、事故、自殺といった変死現場や、火災・水害による災害現場など通常の清掃では対応が困難な特殊な環境を、専門的な技術と機材を用いて原状回復させる清掃業務です。特に、遺体の発見が遅れた現場で、血液や体液による汚染、強烈な腐敗臭、害虫の大量発生といった衛生上の深刻な問題が発生している場合に、安全・確実に問題を解決するために行われます。

特殊清掃と通常の清掃との3つの違い

特殊清掃と通常の清掃との3つの違い

特殊清掃と通常のハウスクリーニングは、作業の目的、範囲、専門性の点で大きな違いがあります。ここからは、特殊清掃と一般的な清掃の違いについて解説します。

1.目的と対象とする汚れの種類が異なる

通常の清掃(ハウスクリーニング)は、日常生活で発生するホコリ、油汚れ、カビなど、表面的な汚れを対象とし、生活空間の快適さを保つのが目的です。一方、特殊清掃の対象となるのは、血液、体液、排泄物、汚物、腐敗物といった、感染症のリスクや強烈な悪臭を伴う特殊な汚染物質です。

特殊清掃は、これらの病原菌やウイルスの温床となる汚れを、専門的な手法で根本から除去し、公衆衛生を回復させるのが主な目的です。

2.除菌・消臭の技術レベルと専門性が異なる

一般的な清掃は、市販の洗剤や消毒液を用いて表面的な除菌を行います。特殊清掃では、通常の清掃では取り切れない建材の奥に染み込んだ腐敗臭や汚染に対処しなければなりません。

そのため、二酸化塩素などの強力な殺菌効果を持つ特殊薬剤を噴霧し、感染症対策を施した防護服を着用して作業するのです。また、臭い戻りを防ぐために、オゾン発生器やヒドロキシル発生器といった高性能な専門機材を用いて、原因物質を分子レベルで分解する脱臭作業を行う点が決定的に異なります。

高度な専門技術は、特殊清掃業者だけが持ち得るものです。

3.作業範囲に遺品整理や専門的な付帯作業が含まれる

通常の清掃は、基本的に清掃と整理整頓が中心です。しかし、特殊清掃の現場では、汚染物となった家財や、故人の遺品が混在しているケースがほとんどです。

そのため、特殊清掃業者は感染リスクを考慮しながら、遺族の意向を尊重しつつ、遺品整理や不用品処分を同時に行います。さらに、体液などが深く浸透している場合は、汚染箇所の床材や壁材の解体・撤去、リフォームまでを連携して行う場合が多く、作業範囲が広範囲に及ぶ点が通常の清掃とは大きく異なります。

なお、遺品整理と特殊清掃の違いについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:遺品整理と特殊清掃の違いとは?特殊清掃が必要な理由や費用相場をご紹介! | ビリーフ株式会社

特殊清掃の費用はどれくらい?

特殊清掃の費用はどれくらい?

特殊清掃の料金は、現場の間取りや汚染の程度、発見までの期間によって大きく変動します。ここでは、特殊清掃の全体的な費用相場と、作業内容別の目安について解説しましょう。

【間取り別】特殊清掃費用の全体相場

特殊清掃は、部屋の広さ(間取り)と、汚れの程度によって概算の費用目安が定められています。汚染が軽度か重度かで金額の幅が広がるため注意が必要です。

間取り別費用相場

間取り

費用目安

1R・1K

7~30万円

1LDK~3LDK

13~50万円

4LDK以上

20~60万円

上記の表は、床上清掃や消臭、害虫駆除などの基本的な作業を含む概算です。汚染が床下まで達している場合や、付随して遺品整理を依頼する場合は、費用は上記の金額を大きく超える可能性があります。

そのため、必ず現地見積もりを取る必要があります。

なお、特殊清掃の費用相場については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:特殊清掃の費用相場はいくら?料金相場と安く抑える3つの方法をご紹介! | ビリーフ株式会社

【作業内容別】特殊清掃の料金目安

特殊清掃の費用は、どのような作業が必要になるかによって個別に算出するのが実情です。現場の状況に応じて、以下の作業項目が加算されます。

◆作業内容別費用相場

作業内容

費用目安

フローリング清掃

3万円〜

浴室清掃

3万円〜15万円以上

汚染された畳の撤去

1枚約3,000円〜

汚染物の撤去

1万円〜

除菌・消毒

1万円〜

オゾン脱臭機の消臭

3万円~

害虫駆除

1万円〜

消臭については、臭いの程度によって作業日数や使用する機材が変わるため、費用に大きな幅が出やすい部分です。臭気分析などを実施する業者も存在します。

特殊清掃費用が高額になりやすい理由

特殊清掃費用が高額になりやすい理由

特殊清掃費用が高額になる主な理由は、以下の3点に集約されます。

  • 発見までの期間

体液の汚染が床材や建材に深く浸透し、清掃だけでなく解体・リフォームが必要になる

  • 現場の状況

ウジ虫やハエが大量発生している、またはゴミ屋敷状態である場合、害虫駆除や不用品処分の作業量が増える

  • 必要な消臭レベル

強烈な死臭を完全に消し去るために、オゾン脱臭などの専門的な処置が複数回・複数日にわたって必要となる

費用負担者と火災保険適用の可能性

費用負担者と火災保険適用の可能性

特殊清掃費用の負担者は、原則として賃貸物件の場合は借主または連帯保証人、持ち家の場合は所有者(遺族)です。ただし、賃貸契約書の内容によっては、貸主が費用の一部を負担するケースもあります。

また、火災保険の汚損や損壊などの特約によっては、特殊清掃費用や原状回復工事の費用が適用される可能性があります。保険の契約内容によって大きく異なりますので、まずは加入している保険会社に相談してみましょう。

失敗を防ぐ!特殊清掃業者選びで押さえるべき5つのポイント

失敗を防ぐ!特殊清掃業者選びで押さえるべき5つのポイント

特殊清掃は、緊急性が高く、依頼者にとって精神的にも余裕がない状況で業者を選ばなければならない場合が多いものです。トラブルを防ぐために、以下の点に注意し、優良業者を選ぶ基準を明確にしておきましょう。

1.専門性とケース別の実績が豊富にある

特殊清掃は、一般的な清掃とはまったく異なる専門的な知識と技術が必要です。孤独死、ゴミ屋敷、火災現場など、依頼したい現場と同じようなケース別の実績が豊富にあるかを確認しましょう。

実績が多い業者は、さまざまな現場に対応してきたノウハウがあり、予期せぬトラブルにも冷静に対処できる可能性が高くなります。特殊清掃に特化している業者かどうかをホームページや口コミから確認するようにしてください。

2.見積もりの内訳と料金体系が明確である

特殊清掃の費用は高額になる場合が多いので、明瞭な見積もりが絶対条件です。見積もりの内訳が「特殊清掃一式」のように大雑把にまとめられている業者は要注意です。

「体液除去」「オゾン脱臭(1日あたり)」「不用品処分(トラック1台あたり)」など、作業内容と料金が明確に記載されているかを確認しましょう。また、現地調査後の追加料金の有無についても事前に詳しく説明してくれる、誠実な業者を選ぶのが大切です。

3.廃棄物処理に関する法令遵守と関連資格の有無

血液や体液で汚染された家財や不用品は、一般廃棄物として通常のゴミには出せません。特殊清掃業者には、法令に基づいた適切な廃棄物処理を行う「産業廃棄物収集運搬許可証」などが必要です。

また、遺品を適切に扱う「遺品整理士」などの関連資格を保有するスタッフが在籍しているかどうかも、信頼性を測る指標です。法令遵守の意識が高い業者は、安心して依頼できる優良業者でしょう。

4.完全消臭や消臭の保証を明確にしている

特殊清掃において最も重要なのが消臭です。経験や技術が不十分な業者に依頼すると、一時的に臭いが消えたように感じても、後日「臭い戻り」が発生する場合があります。

そのため「完全消臭保証」や消臭作業に関する保証期間を明確に提示している業者を選ぶのがポイントです。また、悪徳業者は契約を急かし、消臭料金を前払いさせようとするケースがあります。

消臭の効果を依頼者自身が確認した上で、消臭料金が後払いできる業者を選ぶ方がリスクを軽減できるでしょう。

5.秘密厳守と依頼者・近隣住民への配慮

特殊清掃が必要な現場は、プライバシーに関わる非常にデリケートな問題を含んでいます。業者が秘密厳守を徹底しているか、近隣住民への配慮を怠らないかどうかも重要な判断基準です。

具体的には、社名や作業内容が分からないように配慮された車両で作業に来るか、作業時のスタッフの言動が適切かなどを、問い合わせ時の対応から見極めるのが大切です。依頼者の心情に寄り添い、丁寧で分かりやすい説明をしてくれる業者は、信頼できる可能性が高いと言えます。

「特殊清掃とは」でよくある3つの質問

「特殊清掃とは」でよくある3つの質問

「特殊清掃とは」でよくある質問を3つ紹介します。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

質問1.特殊清掃を依頼するまでに、自分で何をすべきですか?

特殊清掃が必要な現場では、遺族が自己判断で現場に入るのは危険です。感染症のリスクや、精神的な負担を考えると、専門業者にすべてを任せるのが最善でしょう。

ただし、故人の大切な遺品や貴重品が明確に分かっている場合は、警察や管理会社などの許可を得た上で、防護を徹底して取り出せるものだけ取り出しておくように検討できます。それ以外の汚染が疑われる場所には、絶対に立ち入らないようにしてください。

換気扇を回したり、窓を開けたりなど清掃に関わる行為をせず、そのままの状態で特殊清掃業者の到着を待つようにしましょう。

質問2.特殊清掃の作業時間はどれくらいかかりますか?

特殊清掃の作業時間は、現場の状況と汚染の程度によって異なり一概には言えません。軽度の汚染で間取りが1ルーム程度であれば、清掃と一次消臭で数時間から1日程度で完了する場合もあります。

しかし、孤独死で腐敗が進み、体液の汚染が広範囲に及んでいる場合は、除菌、汚染物の除去、徹底的な消臭に加えて、解体やリフォームが必要なケースもあるのです。そのため、完了までに数日、長い場合は数週間を要する場合もあります。

正確な作業時間を知るには、必ず業者による現地見積もりを受け、具体的な作業工程と時間を提示してもらうのが大切です。

質問3.特殊清掃をせずに通常の清掃業者に依頼しても大丈夫ですか?

特殊清掃が必要な現場を、通常の清掃業者や自分で対応するのは絶対に避けるべきです。通常の清掃では、血液や体液などに潜む感染症のリスクに対応できる適切な防護や薬剤を持っておらず、作業者の安全が確保できません。

また、死臭の原因物質を根本から分解する専門的な消臭技術がないため、表面的な汚れが落ちても、臭い戻りがほぼ確実に発生します。再び特殊清掃業者に依頼する結果となり、二重に費用がかかる可能性もあります。

特殊清掃はプロの専門業者に一任するのが、安全で経済的な選択です。

まとめ

まとめ

特殊清掃は、孤独死や事故現場など、一般の清掃では対応が困難な特殊な汚染を、除菌、消臭、不用品処分といった専門的な作業によって、元の衛生的な状態に回復させる重要な業務です。費用は間取りや汚染の程度に大きく左右されるため、必ず現地見積もりを取得し、料金体系が明瞭な業者を選ぶのが失敗を防ぐカギとなります。

信頼できる特殊清掃業者を選ぶポイントは、実績、資格、完全消臭保証の有無です。優良な特殊清掃業者に依頼すれば、精神的にも経済的にも負担を最小限に抑えながら、故人の尊厳を守れます。

遺族が安心して、新しい生活を始められる環境を取り戻せるでしょう。

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