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2024.10.07
抵当権抹消手続きに必要な書類とは?手続きの流れや注意が必要なケースを徹底解説します!
住宅ローンを完済した場合や住宅を売却する場合、抵当権抹消の手続きが必要です。抵当権抹消手続きを検討されている方のなかには、必要な書類について詳しく知りたいという方もおられるのではないでしょうか。
本記事では、抵当権抹消手続きに必要な書類や手続きの流れ、注意が必要なケースをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
抵当権とは?
抵当権とは、借入れの際に不動産を担保にする仕組みです。債務者は金融機関から資金を調達し、その見返りとして自らの不動産を担保として差し出します。もし、返済が滞った場合、金融機関は担保を売却し、損失を回収する権利を持ちます。
この仕組みは、融資を行う側にとってのリスク管理の一環であり、債務者にとっても資金調達の手段の1つです。なお、担保設定には特定の法的手続きが伴い、適切な登記によって権利が正式に成立します。
抵当権抹消登記を行うべき理由は3つ
次に、抵当権抹消登記を行うべき理由について解説します。
- 融資が組めない
- 売却が難しくなる
- 書類を紛失した場合に手間がかかる
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.融資が組めない
抵当権が残っている不動産では、新たな融資を受けるのが難しくなります。とくに、同じ不動産に複数の抵当権が設定されている場合、優先順位が問題です。
最初に設定された抵当権を「一番抵当」と呼び、次に設定されたものを「二番抵当」といいます。二番抵当は、一番抵当の債権者が債権回収を終えた後に資金を回収するため、資金が残っていない可能性が高いです。
このため、金融機関は二番抵当以降の融資に対して慎重になります。また、ローン完済後も登記簿に抵当権が残っていると、再度融資を受ける際に問題が生じるため、早急に抵当権抹消の手続きを行う必要があります。
2.売却が難しくなる
不動産を売却する際には、抵当権を抹消するのが基本的な手続きです。これを後回しにすると、売却のスケジュールに影響をおよぼす場合があります。とくに、必要な書類が見当たらない場合、抵当権抹消に数週間かかるケースもあるため、早めに対処しておくのが賢明です。
また、抵当権が残ったままの不動産は買い手にとってリスクが高く、売却が困難です。購入者は、売主が自由に不動産を処分できる可能性を懸念するため、結果として取引が成立しにくくなります。
なお、不動産売却の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】不動産売却の流れは7ステップ!手続きに必要な書類もわかりやすく解説! | ビリーフ株式会社
3.書類を紛失した場合に手間がかかる
抵当権抹消に必要な書類を紛失すると、抹消手続きに手間がかかり、再発行を依頼する必要が出てきます。ただし、金融機関によっては再発行できない書類も存在するため、余分な書類が必要になる可能性があります。
これにより、必要な手続きに遅れが生じるケースがあるため、借入れを完済した際には、早めに抵当権を抹消するようにしましょう。また、時間を無駄にしないためにも、必要な書類はしっかり保管しておかなければなりません。
抵当権抹消手続きに必要な書類
抵当権を抹消するためには、いくつかの書類が必要です。まず、登記申請書は法務局で取得できるほか、ウェブサイトでもダウンロードできます。次に、登記原因証明情報(弁済証書)は、借入先の金融機関から完済時に送られてくる書類です。
また、登記識別情報通知(登記済証)も同様に、抵当権設定時に交付されるもので、完済後は大切に保管しておく必要があります。また、抵当権者の委任状があれば、所有者が単独で抹消登記を申請することも可能です。
抵当権抹消手続きの流れは3ステップ
次に、抵当権抹消手続きの流れについて解説します。
- ステップ1.書類を準備する
- ステップ2.登記申請書に記入する
- ステップ3.法務局へ申請する
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
ステップ1.書類を準備する
抵当権抹消登記を行うためには、さまざまな書類が必要です。まずは、登記申請書を用意しましょう。これは不動産の情報更新時に必要な書類で、オンラインまたは書面で法務局に提出できます。
次に、登記済証または登記識別情報が必要です。これらは抵当権設定時に発行され、完済後に所有者に送られます。また、登記原因証明情報として弁済証書を提出する必要があります。弁済証書は、ローン完済を証明する重要な書類です。
さらに、抵当権者の委任状も必要で、一般的には金融機関から送られてきます。このように、必要な書類を事前に準備することがスムーズな手続きにつながります。
ステップ2.登記申請書に記入する
まずは、用意した登記申請書に必要な情報を記入します。記入すべき内容には以下が含まれます。
- 登記の目的
- 登記原因
- 抹消対象の登記
- 権利者と義務者
- 添付資料
- 申請日
- 申請人兼義務者代理人
- 登録免許税
- 不動産の詳細
法務局の公式サイトには記載例が用意されているため、それを参考にしながら正確に記入するようにしましょう。
ステップ3.法務局へ申請する
書類の準備が整ったら、法務局に提出します。提出方法は、窓口に持参するか、郵送のいずれかです。この際、管轄の法務局に提出することを忘れないでください。
マイナンバーカードを所持している場合は、オンラインでの申請も可能ですが、申請後2日以内に書類を郵送するか、窓口に持参する必要があります。「書類の記入方法が不明」「全ての書類が揃っているか不安」と感じた場合は、窓口で相談するのがおすすめです。
抵当権抹消手続きで注意が必要なケース
次に、抵当権抹消手続きで注意が必要なケースについて解説します。
- 住所や氏名に変更がある場合
- 相続と同時に抵当権抹消手続きをする場合
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
住所や氏名に変更がある場合
引越しや結婚などの理由で、登記簿に記載されている所有者や抵当権者の氏名や住所が変わった場合、抵当権抹消登記と同時にこれらの変更を申請する必要があります。住所変更の場合は、転居の経緯を示す住民票と住所変更登記申請書が必要で、申請書は法務局のウェブサイトからダウンロードできます。
もし転居が多く、住民票だけでは不十分な場合は、戸籍の附票を役所で取り寄せなくてはなりません。一方、氏名変更の場合には、戸籍謄本と本籍が記載された住民票が必要です。
相続と同時に抵当権抹消手続きをする場合
亡くなった方の不動産に抵当権が設定されている場合、相続人の方は注意が必要です。この不動産を相続するには、まず相続登記と抵当権抹消登記の2つを行う必要があります。
抵当権抹消登記の権利者は相続人となるため、最初に故人から相続人への所有権移転登記を行うことが重要です。この相続登記が完了した後に、相続人は抵当権の抹消登記を申請できます。
この手続きは順序が大切で、相続登記がなければ抵当権を抹消できないため、しっかりと段取りを整えて進めましょう。
抵当権抹消手続きの必要書類でよくある3つの質問
最後に、抵当権抹消手続きの必要書類でよくある質問をご紹介します。
- 質問1.抵当権抹消手続きにかかる費用は?
- 質問2.抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼するメリットは?
- 質問3.抵当権抹消手続きのタイミングは?
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.抵当権抹消手続きにかかる費用は?
抵当権抹消手続きにかかる費用は、以下のとおりです。
- 登録免許税
不動産1件につき1000円で、土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合は2000円必要。マンションの場合、敷地がまたがっている場合があるため注意しなければならない
- 事前調査費用
窓口で最新の登記事項証明書を取得する場合は、不動産1件につき600円必要。また、法務局「登記情報提供サービス」で確認する場合、不動産1件につき500円で、登記情報提供サービスの場合は332円かかる
- 抵当権抹消確認費用
抵当権抹消登記後、抹消されているか確認するために必要。事前調査費用と同様の費用がかかる
- 雑費
法務局への交通費や郵送代、登記簿謄本の確認費用などが必要で、1000円~2000円が目安
質問2.抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼するメリットは?
抵当権の抹消手続きを自分でする場合、書類の準備や記入が煩雑で、はじめての作業だと手戻りが生じる可能性があるため、司法書士に依頼するのが効果的です。また、相続に伴う手続きでは、住所変更などの予期せぬ問題も発生しかねません。
このため、司法書士に依頼するのがおすすめです。追加の費用はかかりますが、安心して手続きを進められます。
なお、抵当権抹消にかかる司法書士費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:抵当権抹消に司法書士費用はいくらかかる?依頼するメリットや費用相場を徹底解説!
質問3.抵当権抹消手続きのタイミングは?
抵当権の抹消登記手続きに期限は設けられていませんが、住宅ローンを完済した際にすみやかに手続きするのがおすすめです。住宅ローンを完済すると、金融機関から必要な書類が送付されてくるため、その流れで手続きするとスムーズに手続きが進みます。
また、抵当権が付いた不動産を売却する場合も、抹消手続きが必要です。登記簿上で抵当権が残ったままの状態だと、買い手が抵当権の消滅を確認できず、売却時の不安材料となる場合が多いため、評価が低くなる可能性があります。
まとめ
本記事では、抵当権抹消手続きに必要な書類や手続きの流れ、注意が必要なケースをご紹介しました。
抵当権が残っている不動産では、新たな融資を受けるのが難しくなり、売却する際のスケジュールに影響を与えてしまいます。さらに、抵当権抹消に必要な書類を紛失すると、再発行が必要ですが、金融機関によっては再発行できない書類も存在するため、余分な書類を揃えなければなりません。
抵当権抹消手続きには、登記申請書や登記原因証明情報(弁済証書)、登記識別情報通知(登記済証)、抵当権者の委任状が必要です。書類には、法務局やウェブサイトで取得するものや、事前に保管しておくものなどがあるため、確認しながら準備を進めましょう。
また、登記簿に記載されている所有者や抵当権者の氏名や住所が変わった場合、抵当権抹消登記と同時に変更申請をしなければなりません。亡くなった方の不動産に抵当権が設定されている場合、相続登記の手続きを忘れないでください。
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