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2024.02.24
【プロが教える】競売とは?任意売却との違いやデメリット、回避方法を徹底解説!
「自宅が競売にかけられてしまった」「収入が激減して家賃が払えないかもしれない」と不安になっていませんか?
もしも今住んでいる家が競売にかけられるような事態になった際には、競売の知識と回避方法を知っておくことが重要です。この記事では、競売の基礎知識と競売の流れ、任意売却との違いやデメリット、回避方法を不動産のプロが解説しています。
競売について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
競売とは?
不動産競売とは、住宅ローン返済の滞りが生じた際に、金融機関などの債権者が裁判所へ申し立てをして、担保としている不動産の強制売却を行う手続きです。
この過程では、抵当権などの担保権を債権者が行使し、裁判所が不動産を差し押さえて公開競売にかけます。競売による売却は、一般市場価格よりも低く設定されることが多く、債務者や所有者の意向は反映されません。
不動産競売の開始は、主に住宅ローンの返済問題が原因です。裁判所が介入して不動産を売却することになります。
任意売却との違い
任意売却とは、住宅ローンなどの返済が困難になった際に、債務者と債権者が協力して市場価格に近い価格で不動産を売却する方法です。これにより、売却から得られる収益で債務の一部を返済し、残債を減少させられます。
一方で、競売は裁判所が介入し、強制的に不動産を売却する手続きであり、売却価格が市場価格よりも大幅に低くなる傾向があります。
任意売却の過程では、債務者にはさまざまな責任があり、複数の債権者や共同所有者、連帯保証人との協議が必要です。この手続きは煩雑で時間を要するものの、自宅をより高価で売却できる可能性があり、将来への影響も考慮すると価値ある選択といえます。
公売との違い
不動産の差し押さえにおける競売と公売の主な違いは、実施主体と目的にあります。競売は債務不履行が原因で金融機関などの債権者が申し立て、裁判所が手続きを進めることにより不動産を売却します。
これに対し、公売は税金の滞納が原因で、国税局や地方自治体が税金の徴収を目的として不動産を売却するものです。
競売は裁判所が、公売は国や地方自治体が管轄し、どちらも物件の買い手を一般から広く募集し、物件情報はインターネットで公開されます。公売は、国税庁や地方自治体が国税徴収法や地方税法に基づき、税の滞納により差し押さえた不動産を強制的に売却する手続きである点が特徴です。
競売の種類は2つ
競売の種類には、以下の2つが挙げられます。
- 担保不動産競売
- 強制競売
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.担保不動産競売
担保不動産競売とは、債務者や保証人によって設定された抵当権や根抵当権がある不動産が、債権の回収を目的として裁判所によって競売にかけられる手続きです。日本においては、多くの競売物件がこのカテゴリに属します。
債権者は、返済不能に陥った不動産を裁判所に申し立て、競売を通じて資金を回収します。裁判所は申立てを受け付け、特定の事件番号を与えて競売手続きを進めます。
主なケースとしては、住宅ローンの返済不能が挙げられます。この競売過程は債権者にとって資金回収の機会を提供する一方で、売却価格が市場価格よりも20〜30%低くなるリスクも伴います。
2.強制競売
強制競売とは、債務者が裁判所からの支払い命令に従わない場合に、債権者が裁判所に申し立てを行い、債務者の不動産を売却する手続きです。強制競売は抵当権によるものではなく、裁判所が発行する債務名義、つまり借金の存在や範囲を証明する公的文書に基づいています。
債務者が所有する不動産は裁判所が管轄し、「ヌ事件」として進行され、債務者の意向は考慮されずに法律に基づき手続きが行われます。事業資金の借り入れや管理費の滞納などが、強制競売の一般的な例です。裁判所のホームページで競売情報を確認でき、平成16年の法整備以降、一般個人の入札も増えていることが特徴です。
競売の手順は8ステップ
競売の手順は、以下の8ステップです。
- 一括返済を求められる
- 保証会社が代わりに返済する(代位弁済)
- 競売開始の通知書が届く
- 現況調査が行われる
- 入札通知と情報開示される
- 売却許可を決定する
- 売却代金が納付される
- 所有権が移転する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.一括返済を求められる
ローン滞納が一定期間続くと、債務者は分割での返済権利を失って「期限の利益喪失」となり、債権者からローンの残額に対する一括返済を求められます。とくに、住宅ローンの場合は3~6ヶ月の滞納でこの状況に至ることが一般的です。
この段階で返済が不可能な場合、債権者は不動産の競売手続きを開始します。保証会社が介在する場合は、債務者が一括返済できない際に保証会社が代位弁済を行い、そのあと保証会社から債務者への一括返済が請求されるという流れです。
ただし、交渉によっては分割返済の再設定が可能な場合もあります。このプロセスを経ても返済が困難な場合、債務者はさらに厳しい措置に直面することになります。
2.保証会社が代わりに返済する(代位弁済)
住宅ローンの返済に困窮した際、保証会社が金融機関に代わって債務者の残債務を清算するのが「代位弁済」のプロセスです。この手続きを経ると、保証会社から債務者に代位弁済の実行を知らせる通知が届き、債務者は以後、保証会社に対して直接債務の返済をする必要があります。
もしも保証会社への返済が可能であれば、不動産の競売を避けられますが、元々金融機関への一括返済が困難だった債務者が保証会社へ返済するのは難しい状況が予想されます。このように、代位弁済は債務者にとって金融機関から保証会社へ債権者が変わるという変化をもたらしますが、根本的な返済問題の解決には至らない場合が多いです。
3.競売開始の通知書が届く
保証会社への返済が不可能となった際、保証会社は裁判所へ不動産の競売を申し立てます。裁判所がこの申し立てを認めた場合、競売手続きが始まります。
この手続きが開始されると、債務者には裁判所から「不動産競売開始決定通知」という形で公式な通知が送られてくるのが一連の流れです。この通知は、債務者が抱える債務問題が新たな段階に入ったことを意味し、金融機関や保証会社が裁判所を通じて債務の回収を図る過程で発生します。
4.現況調査が行われる
競売プロセスが開始されると、裁判所は債務者に「競売開始決定の通知書」を送付し、不動産の競売手続きが始まったことを通知します。この通知のあとには、「現況調査のための連絡書」が届き、競売対象の不動産に関する詳細な調査が行われます。
執行官は調査する上で広範な権限を持ち、債務者は現況調査の実施を拒否することはできません。調査では、裁判所の執行官と不動産鑑定士が物件を訪れ、物件の外観だけでなく内部の状態もチェックし、写真撮影をしたり、物件に関する質問をしたりします。
調査結果は「評価書」として1~2ヶ月以内に裁判所に提出され、競売プロセスの次の段階へと進みます。
5.入札通知と情報開示される
競売の開始決定後、約3〜6ヶ月で債務者に「期間入札の通知」が送られてきます。この通知書には、入札に関する具体的な以下のような情報が明記されています。
- 入札する期間
- 開札日
- 売却決定が下される日
- 物件の売却基準価格
通知書通達後は、競売物件の詳細が官報やインターネット上の不動産物件情報サイトを通じて一般に公開され、期間内に希望者が入札する流れです。
入札では、希望者が提案する条件や価格を記載した書類を裁判所に提出し、指定された日にこれらの入札書が開封されます。そこで最も高い価格を提示した人が物件の落札者となり、購入権利を獲得することになります。
6.売却許可を決定する
開札日にて最高額を入札した人が落札者として選ばれ、そのあと購入の審査を経て売却許可の決定がなされます。このプロセスは競売開始決定から約4ヶ月で完了することが多い傾向にあります。
競売の取り下げを希望する場合、開札前日までに裁判所への申し出が必要です。しかし、落札者が購入代金を支払ったあとの取り下げはできません。
債権者は、一括返済や任意売却を選択して競売手続きを中止させられます。このように、落札者の決定後は裁判所による厳密な審査が行われ、売却が正式に許可されるまでの一連の流れが確立されています。
7.売却代金が納付される
落札者が裁判所に購入代金を支払うことで、住宅ローンなどの債務を持つ金融機関や保証会社が債権を回収します。購入の審査を経て裁判所によって落札者の購入が承認されたあと、支払われる代金は、債権者への債務返済に充てることが可能です。
この過程により、債務者の不動産は新たな所有者に移り、債権者は回収可能な資金を得られます。
8.所有権が移転する
競売プロセス開始から約6〜8ヶ月後、落札者が代金を全額支払うことで、不動産の所有権が正式に落札者へ移転します。この段階で元の債務者や現居住者は物件を明け渡し、転居しなければなりません。支払い完了と同時に所有権の移転が行われ、債務者は物件から立ち退くことが法的に義務付けられています。
過去には居座る事例も見られましたが、現在では警察の立ち合いのもと、必要に応じて強制的に立ち退きが行われるため、居座りは事実上できません。立ち退きの際には、落札者との話し合いで一定の融通が利くこともありますが、基本的には速やかな移転が求められます。
競売のデメリットは3つ
競売のデメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 売却価格が低くなる
- プライバシーが侵害される
- 強制的に追い出される
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.売却価格が低くなる
競売による不動産売却では、通常の市場価格と比較して売却額が60%から80%程度低くなる傾向があり、これが最大のデメリットです。その結果、売却から得られる金額が少なくなり、債務者が抱える住宅ローンなどの債務の一部が未返済のまま残ることがあります。
売却価格が低下する主な理由には、買い手が物件の内覧を行えない、建物に欠陥があっても買い手がそのリスクを負担しなければならないなど、買い手にとって不利な条件が存在することが挙げられます。
2.プライバシーが侵害される
不動産が競売にかけられる際、プライバシーの侵害が大きな問題となります。競売の過程で行われる現況調査では、執行官によって家の内外が調査され、この情報はインターネットや裁判所の公告を通じて公開されます。
その結果、不動産が競売にかけられている事実が広まるのは防げません。落札を検討している者が周囲の人々に対して聞き取りをすることもあります。
このように、競売プロセスが進むと、個人の金融状況に関する情報が広く晒されることとなり、個人のプライバシー保護に関して重大な懸念が生じるかもしれません。
3.強制的に追い出される
競売による不動産の売却では、債務者は法律に基づき、一方的に物件から退去させられることになります。任意売却の場合は転居費用の支援や転居時期の調整など、売却条件について債権者との間で交渉が可能ですが、競売プロセスではそのような交渉の余地が全くありません。
新しい所有者が決まった場合、元の住人は不動産を明け渡さなければならず、もし退去を拒否して物件を占有し続けると、裁判所の執行官によって強制的に退去させられることになります。強制退去は次の居住地が未定であっても実行され、債務者は法的な措置により自宅から追い出される可能性があります。
競売の回避方法は3つ
競売の回避方法には、以下の3つが挙げられます。
- 残債を一括返済する
- 金融機関に相談する
- 任意売却する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.残債を一括返済する
住宅ローンの滞納が発生している状況でも、全額の残債を一括で返済すれば競売のプロセスを停止させられます。
ただし、この一括返済は多くの場合、経済的負担が非常に大きく、返済のための資金を用意することが難しいため、実現可能性は低いのが事実です。実際のケースでは、一括返済が可能ならば競売に至ることはないはずです。
このような状況を避けるために、多くの債務者は任意売却という選択肢を考えます。任意売却は、競売を回避し、よりコントロール可能な方法で不動産を売却する手段として、現実的な解決策となり得ます。
2.金融機関に相談する
住宅ローンの返済が困難になった、または困難になりそうな状況にある場合、直ちに金融機関に連絡して状況を相談することが重要です。収入減や失業など、返済能力に影響を及ぼす変化が生じた際には、返済計画の見直しを求めることが可能です。
金融機関は、借入期間の延長や、返済額を一時的に減らすなどの対応策を提案してくれることがあります。これにより、不動産が競売にかけられるリスクを低減させられます。
3.任意売却する
任意売却は、住宅ローンの滞納が生じた際に、債権者との協議を経て一般市場で不動産を売却する手段です。この方法では、通常の競売よりも高い価格で物件を売却するチャンスがあり、プロセスが公になることなく、個人的に進めることが可能です。
さらに、売却代金から転居費用を捻出できる場合もありますが、債権者の了承を得る必要がある点や、適切な売却のための時間が必要となります。競売を避けたい、または可能な限り高価での売却を望む場合は、任意売却を選択肢に含め、専門家からのアドバイスを求めることが推奨されます。
競売とはでよくある3つの質問
競売とはでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.競売にメリットはある?
- 質問2.競売ではなく任意売却するとどんなメリットがある?
- 質問3.競売を取り下げることはできる?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.競売にメリットはある?
競売に関しては、債務者にとって多くの不利益が伴うものの、一部メリットも存在します。とくに大きなメリットは、売却手続きの手間が少なくなる点です。裁判所が売却プロセスを管理するため、債務者は自らが手続きを進める必要がありません。これは一般的な不動産売却や任意売却と比較して負担が軽減されると言えます。
また、住宅ローン滞納から競売実施、そして退去まで通常1年程度の時間がかかるため、新しい住まいを探すための準備期間が確保されます。ただし、新しい所有者が確定した後は迅速な退去が求められるため、この点には注意が必要です。
質問2.競売ではなく任意売却するとどんなメリットがある?
任意売却を選択すると、競売に比べて以下のようなメリットがあります。
- 自分の意思によって不動産を売却できる
- 市場価格に近い価格で不動産を売却できる
- 引越しの期間が持てる
- プライバシーの侵害リスクを軽減できる
住宅ローン返済に行き詰まった際には、任意売却を積極的に検討し、債権者との協議を試みてください。自己破産などの望ましくない事態を避け、生活再建に向けた一歩を踏み出せる可能性があります。
質問3.競売を取り下げることはできる?
競売の取り下げは、開札日の2日前までに申請することが可能です。競売開始の通知後、実質的に行動できる期間は約4ヶ月です。この短い期間内で任意売却を含む代替手段を模索するには、迅速な行動が必要となります。
早期に金融機関との相談を始め、任意売却の準備に着手してください。
住宅ローンの返済に問題が生じた場合、4〜6ヶ月の滞納で競売のリスクが高まるため、事前に金融機関と交渉を開始することで、競売を避ける時間を確保できます。また、部分的にでも返済を続けることで、競売に至るまでの期間を延長できる可能性があります。
まとめ
競売の基礎知識と競売の流れ、任意売却との違いやデメリット、回避方法を解説しました。
競売は、家賃を滞納したり、住宅ローンが払えなかったりする行為を数ヶ月続けただけで陥る可能性があります。競売による売却は一般市場価格よりも低く設定されることが多く、債務者や所有者の意向は反映されないケースがほとんどです。
このような状態にならないためにも、この記事を参考にして競売の知識を身につけてください。なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。
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