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2024.08.26
瑕疵担保責任とは?民法改正による主な変更点や瑕疵トラブルを防ぐためのポイントをご紹介!
「瑕疵担保責任」とは、契約内容に適合しない欠陥がある場合に、売主が負う責任です。2020年4月の民法改正に伴い、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へと変更され、その内容も大きく改められたため、注意してください。
本記事では、瑕疵担保責任の概要や民法改正による主な変更点、瑕疵トラブルを防ぐためのポイントをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
瑕疵担保責任とは?
瑕疵とは、物件や商品に隠れた欠陥や不具合が存在する場合を指します。不動産取引においては、見た目にはわからない問題や期待される性能と実際の性能が異なる場合などが含まれます。
これらの瑕疵に対する売主の責任が瑕疵担保責任です。また、2020年4月に施行された民法改正により、この責任に関する規定が見直され、売主が負う義務が一部変更されました。
このため、不動産売買の際には、売主として注意すべき点が増える結果になりました。
契約不適合責任への変更
2020年4月の民法改正に伴い、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へと変更され、その内容も大きく改められました。従来の瑕疵担保責任では、物件に隠れた瑕疵が存在する場合、売主が無過失であっても責任を負うとされていました。
しかし、改正後は契約内容に適合していない場合に、売主が責任を負うものとされています。これにより、物件の種類や品質が契約通りでない場合、買主がその事実を認識してから1年以内に通知すれば、権利が保護される仕組みです。
民法改正による主な変更点は3つ
次は、民法改正による主な変更点について解説します。
- 責任追及の焦点
- 買主が請求できる権利
- 権利を行使できる期間
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.責任追及の焦点
従来の法制度では、売主が気づかなかった隠れた瑕疵に対して責任を負う「瑕疵担保責任」が主流でした。しかし、新たな法制度では、契約書に記載された内容が基準となり、その記載と異なる場合に「契約不適合責任」を問われます。
たとえば、購入者が物件の欠陥を認識していた場合でも、それが契約書に記載されていなければ、契約不適合責任を負うことになる恐れがあります。
2.買主が請求できる権利
旧法では、瑕疵担保責任の範囲内で損害賠償や契約解除が主な救済手段でした。しかし、改正後はこれに加えて、追完請求権と代金減額請求権が新たに認められるようになりました。
このため、売主の帰責事由が増加して、買主は不具合が発生した場合に修理や代替品の提供を求められます。さらに、修理や代替品の提供が不可能な場合には、価格の減額を請求することが可能です。
3.権利を行使できる期間
以前の法制度においては、買主が瑕疵の存在を知った時から1年以内に権利を行使しなければなりませんでした。一方、新法では、契約の不適合を知った時点から1年以内に売主への通知が求められます。
この通知をすれば、その後の具体的な請求のタイミングについては自由に決められます。しかし、通知を怠ると、買主は権利を失う可能性があるため、早めの対応が必要です。
瑕疵の種類は4つ
次は、瑕疵の種類について解説します。
- 物理的瑕疵
- 法律的瑕疵
- 心理的瑕疵
- 環境的瑕疵
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.物理的瑕疵
不動産において物理的瑕疵とは、建物の雨漏りやシロアリによる被害、床の傾きなどの物理的な欠陥や問題を指します。また、土地に関しては、地盤沈下や土壌汚染、地下に埋まっている危険物などが該当する場合があります。
これらの瑕疵は、売買後に発覚する場合があるため注意が必要です。物理的瑕疵があると、建物や土地の安全性や使用価値に影響をおよぼしかねません。
2.法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、不動産が法律や条例による規制に違反しているため、利用や収益に制約が生じる状況です。具体的には、建物が建築基準法や消防法などの安全基準を満たしていない、必要な設備が欠如している場合などが該当します。
さらに、再建築が禁止されている場合なども、法律的瑕疵に含まれています。不動産を購入する際には、仲介業者がこれらの点について説明する義務を負うため、注意が必要です。
3.心理的瑕疵
不動産取引においての心理的瑕疵とは、過去にその物件で発生した事件や事故により、心理的な抵抗を感じる可能性がある状態を指します。これには、自殺や殺人、火災などが該当し、通常の生活環境が損なわれたと感じられるケースが含まれます。
こうした事実を売主が告知せずに取引した場合、契約不適合責任が問われる可能性があるため、注意しなければなりません。
4.環境的瑕疵
「環境的瑕疵」とは、物件周辺の状況が原因で生じる問題です。これには、近隣にある施設や環境要因が関わるケースが含まれます。
たとえば、騒音や悪臭を発する施設が近隣に存在する場合や、日照が妨げられたり、眺望が損なわれたりといった問題が該当します。売主がこれらの問題を認識しながらも、買主に告知しなかった場合、瑕疵とみなされる可能性が高いです。
瑕疵トラブルを防ぐためのポイントは3つ
次は、瑕疵トラブルを防ぐためのポイントについて解説します。
- 売買契約書の見直しをする
- 建物状況調査を実施する
- 瑕疵保険に加入する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.売買契約書の見直しをする
売買契約書を準備する際、新法の影響を考慮して、トラブルを未然に防ぐための確認作業が大切です。契約書には、物件の状態や特徴を詳細に記載して、責任の期間を明確にしなければなりません。
さらに、契約書の内容については専門家の助言を得るのがおすすめです。これにより、リスクを回避して、スムーズな取引を実現できます。
2.建物状況調査を実施する
建物の状態を事前に確認するためには、専門家による「建物状況調査」を依頼する方法があります。この調査は、国に登録された講習を修了した建築士が実施しており、建物の見えない部分の劣化や構造の異常を確認するものです。
この調査は、売主が手配するのも可能ですが、買主自身が信頼できる第3者機関(住宅診断を専門とする建築事務所など)に依頼する方法もあります。
3.瑕疵保険に加入する
予測不能な事故やトラブルに備えて、適切な保険を選びましょう。たとえば、瑕疵担保保険は、契約に瑕疵があった場合でも、補修費用をカバーできます。
今後、契約不適合責任の重要性が増すなかで、瑕疵担保保険の加入がますます普及していくと予想されます。これは、売主や買主に安心感を提供するための手段の1つです。
瑕疵担保責任とはでよくある3つの質問
次は、瑕疵トラブルを防ぐためのポイントについて解説します。
- 質問1.契約不適合責任にて買主ができる請求内容は?
- 質問2.契約不適合責任は短縮や免除ができる?
- 質問3.契約不適合責任に関連するその他の法律は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.契約不適合責任にて買主ができる請求内容は?
契約不適合責任にて買主ができる請求内容は、以下のとおりです。
- 履行の追完請求
契約に適合しない部分を完全な状態にするよう売主に求められる
- 代金減額請求
履行の追完了が行われなかった場合、契約不適合の度合いに応じて代金の減額を請求できる
- 損害賠償請求
不適合により発生した損害について、賠償を請求できる
- 契約の解除
重大な不適合が改善されない場合、契約を解除し代金の返還を請求できる
質問2.契約不適合責任は短縮や免除ができる?
民法は契約不適合責任に関する基本的な原則を定めていますが、当事者の合意によって変更が可能です。契約不適合責任は任意規定であるため、契約ごとに特約を設けて、買主の権利を制限したり、売主の責任範囲を狭めたりできます。
しかし、売主が知っていて伝えなかった不適合に関しては、特約の対象外です。このため、売主と買主が合意の上で事前に情報を共有し、契約内容を慎重に決定することが大切です。
質問3.契約不適合責任に関連するその他の法律は?
新築物件の購入に際して、買主の保護を強化するために、さまざまな法律が制定されています。
- 品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
新築物件の基礎構造部分に関して、引き渡しから10年間、売主に瑕疵担保責任を負わせる義務がある。この法律により、買主が安心して物件を購入できる環境が整えられている
- 住宅瑕疵担保法
売主は万一の修繕に備えて、保険に加入するか供託金を準備しなければならない。これにより、売主に支払い能力がなく、修繕を拒否した場合でも、供託金還付や保険の支払いが当てられる
まとめ
本記事では、瑕疵担保責任の概要や民法改正による主な変更点、瑕疵トラブルを防ぐためのポイントをご紹介しました。
従来の瑕疵担保責任では、物件に隠れた瑕疵が存在する場合、売主が無過失であっても責任を負うとされていました。しかし、改正後は物件の種類や品質が契約通りでない場合、買主がその事実を認識してから1年以内に通知すれば、権利が保護される仕組みです。
瑕疵は、物理的や法律的、心理的、環境の4種類に分類され、それぞれに対策が必要です。また、瑕疵トラブルを防ぐには、新法に対応した売買契約書の見直しや専門家による建物状況調査があげられます。これらは、専門的な知識が必要なため、専門家へ相談するのがおすすめです。
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