2025.02.02

不動産の減価償却とは?計算方法や注意点、よくある質問まで詳しくご紹介します!

減価償却は、不動産投資や賃貸経営に欠かせない会計処理のひとつです。建物や設備の価値が年々減少する分を経費として計上できるため、節税対策としても役立ちます。

本記事では、不動産の減価償却の概要や計算方法、注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者

LINE_CTA

不動産の減価償却とは?

不動産の減価償却とは?

減価償却とは、企業が固定資産を購入した際、その費用を一度に計上せず、資産の使用可能期間にわたって分割して経費として処理する会計方法です。たとえば、10年間使用可能な機械を購入した場合、購入費用を10年間にわたって均等に計上すると、企業の財務状況をより正確に反映できます。

このプロセスにより、固定資産の価値を貸借対照表上で段階的に減少させられるのが特徴です。減価償却は、企業の収益や費用を適切にマッチさせるために欠かせない手法であり、適用する資産の種類や耐用年数にもとづいて計算が行われます。

減価償却の仕組み

減価償却は、事業で使用される建物や機械などの固定資産の価値を、使用年数に応じて段階的に費用として計上する会計手法です。たとえば、5000万円で取得した鉄筋コンクリート造のビルの場合、法定耐用年数が50年であれば、毎年100万円を減価償却費として計上します。

一方で、土地のように時間の経過で価値が減少しないとみなされる資産は、減価償却の対象外です。このような減価償却費の計上により、資産の使用による価値の減少を会計上で反映させ、経営の実態をより正確に示せます。

また、減価償却は現金の支出を伴わないため、企業の資金繰りに直接影響をおよぼさないという特徴もあります。

法定耐用年数との関係性

減価償却において耐用年数とは、資産の使用可能期間を示す重要な指標であり、固定資産が機能を果たし続けると想定される期間です。この期間は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」にもとづき定められており、税務計算の基準となります。

たとえば、鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は47年、木造の建物では22年とされています。しかし、これは税務上の基準であり、資産の実際の使用可能期間や物理的な寿命を直接反映するものではありません。

また、事業用資産と非事業用資産では異なる耐用年数が設定されており、非事業用資産の耐用年数は通常、事業用資産より長めに定められています。この制度は、固定資産の使用に伴う価値の減少を適切に会計処理するために欠かせない仕組みです。

LINE_CTA

不動産の減価償却の計算方法

不動産の減価償却の計算方法

次は、不動産の減価償却の計算方法について解説します。

  • 定額法
  • 定率法

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

定額法

定額法とは、固定資産の取得価額をその耐用年数にわたって均等に配分して、毎期同じ金額を減価償却費として計上する方法です。この計算方法では、取得価額に定額法の償却率を掛けて1期分の減価償却費を算出します。

たとえば、耐用年数が10年の機械を1000万円で取得した場合、毎年100万円を減価償却費として計上します。資産の使用状況にかかわらず、一定額が経費となる点が特徴です。

税務上では、建物やその付属設備、構築物について定額法が法定の償却方法として採用されています。しかし、過去に取得された資産については旧定額法が適用される場合もあり、計算方法は異なるため注意が必要です。

定率法

定率法は、固定資産の未償却残高に一定の償却率を掛けて毎期の減価償却費を計算する方法です。この方法では、資産の使用初期に多くの減価償却費が計上され、その後、計上額が徐々に減少します。

たとえば、取得価額1000万円の機械を定率法で償却する場合、初年度は未償却残高全額に償却率を掛けて計算して、翌年以降は未償却残高が減るに従って償却額も少なくなります。定率法は、早期に多くの償却費を計上できるため、資産の価値減少を迅速に反映させる点が特徴です。

しかし、償却保証額や改定償却率が適用される場合があり、後半の償却費は一定額に調整される場合もあります。機械や器具備品において、税務上採用される場合が多い手法です。

LINE_CTA

不動産における減価償却の注意点

不動産における減価償却の注意点

次は、不動産における減価償却の注意点について解説します。

  • 土地と建物の不動産価格を分ける
  • 建物の用途を変えた場合による減価償却の計算

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

土地と建物の不動産価格を分ける

土地と建物を一括で取得した場合、土地は非減価償却資産、建物は減価償却資産に分類されるため、それぞれの価額を区別して計上する必要があります。取得総額が一括で記載されている場合でも、土地と建物の価額を分けて算出して、建物の価額については耐用年数に応じて減価償却を行いましょう。

また、売買契約書に内訳が明記されていれば、その記載をもとに計上しますが、内訳が不明な場合は、時価や固定資産税評価額の割合を基に按分します。この按分作業は、税務処理において大切な根拠となるため、詳細な計算内容を不動産の保有期間中は適切に保管しなければなりません。

建物の用途を変えた場合による減価償却の計算

建物の耐用年数は、使用目的や利用方法に応じて異なる期間が定められています。同じ構造の建物であっても、事務所用に使用する場合は50年、店舗用として使用する場合は39年と設定されています。

このように、減価償却資産の耐用年数等に関する省令でそれぞれの用途に応じた耐用年数が設定されているのが特徴です。たとえば、事務所として使用していた建物を途中で店舗に変更する場合、原則として用途変更が行われた時点から新しい用途にもとづいた耐用年数で減価償却を行います。

しかし、年の途中で転用が行われた場合には、当該年の減価償却費を新しい用途にもとづく耐用年数で計算することが可能です。このため、用途変更時には、新たな計算基準を確認しなければなりません。

LINE_CTA

不動産の売買や賃貸借で「ビリーフ」が選ばれる理由

不動産の売買や賃貸借で「ビリーフ」が選ばれる理由

参考:ビリーフ株式会社

「ビリーフ」が不動産の売買や賃貸借で選ばれる理由は、幅広い専門家との連携によるトータルサポートが手厚いためです。司法書士や税理士などのプロフェッショナルと協力して、不動産の売買や査定、相続に関する資産運用まで包括的に対応しています。

さらに、不動産コンサルティングマスターの資格を持つスタッフが、実務経験を活かして信頼性の高いアドバイスを提供しています。

LINE_CTA

減価償却 不動産でよくある3つの質問

減価償却 不動産でよくある3つの質問

最後に、減価償却 不動産でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.中古不動産を取得した場合の減価償却の計算方法は?
  • 質問2.減価償却を使うのはどのような場面?
  • 質問3.減価償却費を計上するメリットは?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.中古不動産を取得した場合の減価償却の計算方法は?

中古の建物や設備を取得した場合、その耐用年数は減価償却費の計算に必要な指標として設定されますが、実際の建物の利用にはほとんど影響しません。事業用として使用する際は、取得後の使用可能期間を見積もり、耐用年数として採用します。

しかし、使用可能期間を正確に算出するのが難しい場合には、簡便法が用いられます。

  • 法定耐用年数を超えて使用されている場合

「法定耐用年数×20%」で算出された耐用年数

  • 法定耐用年数の一部が経過した場合

「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で算出して、端数は切り捨てる

参考:No.5404 中古資産の耐用年数|国税庁

質問2.減価償却を使うのはどのような場面?

減価償却は、不動産投資や売却の際に重要な役割を果たします。

賃貸物件を所有している場合、賃貸経営で得た収入は、不動産所得として確定申告しなければなりません。減価償却費を経費として賃貸収入から経費を差し引けるため、経理上の所得を減らし節税につながる点が特徴です。

また、不動産を売却する場合、不動産の売却で得た利益譲渡所得と呼ばれ、「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で算出されます。取得費は、購入代金から減価償却費を差し引いて求めます。減価償却費を多く計上していると、取得費が低くなり、譲渡所得が増える点に注意が必要です。

取得費が不明な場合には、売却金額の5%を概算取得費として算出が可能です。しかし、概算取得費が実際の取得費よりも低くなると、税負担が増えてしまうため、注意しなければなりません。

なお、不動産売却の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【プロが教える】不動産売却の流れは7ステップ!手続きに必要な書類もわかりやすく解説

質問3.減価償却費を計上するメリットは?

事業用不動産において、減価償却費の活用は節税に有効です。アパートやマンション経営などで得た不動産所得に対して課税される際、減価償却費を経費として計上できるため、課税対象となる所得を減らせます。

これは実際の支出を伴わない経費で、所得額を圧縮できるため、所得税や住民税の負担を軽減する効果があります。しかし、不動産を売却する場合、これまでに計上した減価償却費が譲渡所得の計算に影響を与えるため、譲渡所得が増加し、結果的に納税額が増える可能性があるため注意が必要です。

一方、居住用不動産の売却では、特別控除などの制度を利用すれば、譲渡所得税の負担の軽減ができます。

LINE_CTA

まとめ

まとめ

本記事では、不動産の減価償却の概要や計算方法、注意点をご紹介しました。

減価償却とは、企業が固定資産を購入した際に、その費用を一度には計上せず、資産の使用可能期間にわたって分割して経費として処理する会計方法です。たとえば、事業で使用される建物や機械などの固定資産の価値を、使用年数に応じて段階的に費用として計上できます。

この場合、法定耐用年数を考慮する必要があり、資産の利用可能期間が計算の基準となります。計算方法は、毎年同額を返済する「定額法」や、固定資産の未償却残高に一定の償却率を掛けて、毎期の減価償却費を計算する方法の2種類です。

また、土地と建物を一括で取得した場合、土地は非減価償却資産、建物は減価償却資産に分類されるため、それぞれの価額を区別して計上しなければなりません。

さらに、建物の耐用年数は、使用目的や利用方法に応じて異なる期間が定められているため、変更した際には、新たな計算基準を確認しましょう。

なお、「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから

監修者

トップへ戻る
LINE相談 ご来店予約