2024.03.30

【プロが教える】家の名義変更とは?手続きの流れや必要書類、費用について徹底解説!

【プロが教える】家の名義変更とは?手続きの流れや必要書類、費用について徹底解説!

家や土地などの不動産を所有している場合、何らかの理由でその名義を変更することが必要になるかもしれません。しかし、名義変更の手続きは複雑で、どんな書類が必要なのか、どれくらいの費用がかかるのかなど、悩んでしまう人も多いです。

この記事では、家の名義変更について詳しく解説します。基本的な流れや必要書類、費用など、家の名義変更に関する内容をまとめましたので、検討している方はぜひ参考にしてみてください。

監修者

家の名義変更とは?

家の名義変更とは?

家の名義変更とは、不動産(家や土地)の所有者が変わる際に必要となる手続きのことを指します。

具体的には、家を売買した場合や相続した場合など、新たに所有者となる人の名義に変更するための手続きです。この手続きは不動産登記とも呼ばれ、法務局で行われます。

さらに、名義変更は単なる手続き以上の意味を持ちます。名義人が変わるという事は、法的にその不動産の所有者が変わるということです。

したがって、所有権を正しく移転させるためには、この名義変更が必須となります。

家の名義変更が必要な4つのケース

家の名義変更が必要な4つのケース

ここでは、家の名義変更が必要となる具体的なケースを4つご紹介します。

  • 遺産相続
  • 生前贈与
  • 財産分与
  • 不動産売買

項目ごとに詳しくみていきましょう。

1.遺産相続

家の所有者が亡くなった際は、亡くなった人(被相続人)からその家を相続する人(相続人)へと、不動産の名義変更を行う「相続登記」が必要です。

2024年4月1日からは、相続登記が義務化され、不動産の所有者が亡くなってから3年以内に相続登記を完了させなければなりません。この義務を怠ると、10万円以下の過料が課される可能性があるため注意が必要です。

また、相続人が複数いたり、遺言書がなかったりする場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、各自の相続分を明確にする必要があります。協議が成立した後、遺産分割協議書を作成し、それに基づいて相続登記を進めます。

2.生前贈与

生前贈与は、所有者が存命中に不動産やその他の財産を無償で誰かに譲る行為を指し、相続税の対策として利用されることもあります。この手続きを通じて不動産を贈与する場合、所有権移転登記が必要です。

生前贈与を受けると、贈与された財産に応じて贈与税が課税される可能性があり、特に不動産贈与の場合は登録免許税や不動産取得税などの追加費用が発生します。したがって、生前贈与を検討する際はこれらのコストも考慮しなければなりません。

さらに、相続財産が一定額を超える場合は相続税が課されます。生前贈与におけるこれらの税負担や法的手続き、家族間の問題については、専門家と相談しながら慎重に進めるのがおすすめです。

3.財産分与

離婚に伴う財産分与は、夫婦が共同で形成した財産を公平に分配する制度です。共有名義だった家を片方の名義に変更するなど、家の名義変更が必要になることがあります。

財産分与においては、婚姻中に購入した不動産も、夫の単独名義であっても、妻が家事を分担することで夫を支えた場合、実質的に夫婦共有のものとみなされ、分配の対象になります。

しかし、名義変更は土地と建物の所有者が異なる場合や、住宅ローンが残っている場合など、複雑になることが多いです。離婚後も同じ家で暮らすのが現実的でない場合、家を売却して現金化したり、どちらかが単独名義にし、もう一方が持ち分相当の代金を受け取るなどの方法が考えられます。

4.不動産売買

不動産売買の過程で、家を売ったり買ったりする際には所有権の変更が伴います。この所有権移転登記は、売却した人から購入した人へ正式に所有権を移すために必要で、一般的には売却代金の決済と引き渡しの同日に行われます。

この手続きは通常、専門知識を持つ司法書士によって行われます。また、売却する家に抵当権が設定されている場合は、売却代金で住宅ローンを返済し、抵当権抹消登記も同時に実施することが一般的です。

このプロセスを通じて、買主は所有権を第三者に対して主張できるようになり、不動産売買が正式に完了します。不動産売買におけるこれらの手続きは複雑であり、売却予定の不動産が住宅ローンによって担保されている場合は、一括返済してから名義変更手続きを行う必要があるため、専門家の助言を仰ぐことが重要です。

家の名義変更手続きの流れ

家の名義変更手続きの流れ

上記に挙げた4つの名義変更手続きの流れを紹介します。自分に該当するケースを事前に把握しておきましょう。

遺産相続の場合

物故者の不動産が相続人に移行する際は、名義変更が必要となります。その流れは以下の通りです。

  1. 相続開始の日を確定する:この日は通常、物故者の死亡日となります。
  2. 相続人を確定する:法定相続人や遺言による相続人を明確にします。
  3. 相続財産を確定する:相続財産として、不動産(家や土地)や動産、預貯金などがあります。
  4. 相続分を確定する:法定相続分に従い、または遺言により、各相続人が取得する財産を定めます。
  5. 名義変更の手続きをする:登記所に必要な書類を提出し、名義変更の手続きをします。

この流れを踏まえ、必要な書類を揃えて手続きを進めることで家の名義変更を完了させることができます。

必要書類

遺産相続の場合、家の名義変更は相続人間での協議の結果、遺産分割協議書を作成することから始まります。不動産の場合、戸籍謄本や死亡診断書などの必要書類とともに、遺産分割協議書を法務局へ提出します。

必要書類

  • 遺産分割協議書
  • 戸籍謄本
  • 死亡診断書
  • 登記申請書
  • 不動産評価証明書

これらの手続きは専門的な知識が必要なため、専門家である司法書士への依頼がおすすめです。特に、遺産分割協議が円滑に進まなかったり、遺産税の計算が必要だったりする場合、専門家の意見を求めることで、多くのトラブルを避けることができます。

生前贈与の場合

生前贈与の手続きは、次のとおりです。

  1. 必要書類の準備:不動産の贈与に際しては、贈与者と受贈者それぞれが準備すべき書類があります。
  2. 登記申請書の作成:法務局への登記申請に必要な書類を作成します。
  3. 付随書類の作成:登記申請と共に提出する必要書類を作成します。ここでは、不動産の取引を証明する登記原因証明情報や、登録免許税を納税するための収入印紙を貼付した書類などが必要です。
必要書類

生前贈与の場合、次の書類が必要となります。

必要書類

  • 贈与証明書
  • 登記申請書
  • 戸籍謄本・抄本(贈与者・受贈者の分)

財産分与の場合

財産分与を実施する際の手順は、次のとおりです。

  1. 合意形成:分割する財産の内容とその配分方法について、夫婦間で合意に達する必要があります。法律では、離婚後でも財産分与を求めることが可能です。ただし、権利を行使できるのは離婚後2年間に限られるため、この期間内に手続きすることが重要です。
  2. 書類の準備:財産分与に際して必要となる書類は、裁判による離婚と協議離婚とで異なります。
  3. 登記申請書の作成:財産を譲渡する側と受け取る側が共に、財産分与に関する登記申請書を作成します。この手続きにより、財産の正式な移転が法的に確認されます。
必要書類

財産分与の場合、次の書類が必要となります。

必要書類

  • 財産分与協議書
  • 戸籍謄本
  • 不動産登記原票
  • 印鑑証明書

不動産売買の場合

不動産売買の手続きは、次のとおりです。

  1. 契約の締結:不動産の売買契約が成立すると、売主と買主は契約書を作成します。
  2. 必要書類の準備:売主と買主は、それぞれに必要な書類を用意します。どのような書類が必要かは、自分の立場に応じて異なります。用意が難しい書類がある場合は、不動産会社や司法書士に早めに相談することが大切です。
  3. 物件の引き渡しと代金の支払い:物件の引き渡しと代金の支払いは通常、金融機関で行われます。
  4. 登記申請:司法書士が名義変更手続きを担当する場合、必要書類を受け取り、所有権移転登記の申請を法務局にて行います。必要に応じて抵当権の抹消登記もします。
  5. 登記完了と書類の返却:登記申請後、約2週間で登記が完了します。
必要書類

不動産売買の場合、次の書類が必要となります。

必要書類

  • 不動産登記申請書
  • 印鑑証明書
  • 売買契約書
  • 登記事項証明書

家の名義変更にかかる費用

家の名義変更にかかる費用

家の名義変更には費用がかかります。主な費用を紹介します。

登録免許税

家の名義変更には、不動産登記するため「登録免許税」の支払いが必須です。この税金は、不動産の価格や名義変更の内容によって金額が変動します。

具体的には、物件の評価額とその変動率(所得税法に基づく評価額の変動率)に基づき計算されます。たとえば、1,000万円の物件を引き継いだ場合、その評価額の変動率が3%とすると登録免許税は30,000円になります。

また、登録免許税の申告・納付は、名義変更手続きをする際に必要な書類を法務局に提出するタイミングで行います。これらの手続きは専門的な知識を要するため、司法書士に依頼するのが一般的です。

出典:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

司法書士の報酬

司法書士の報酬は、作業内容や地域、司法書士個々の方針により異なります。一般的な相場としては、名義変更一つにつき約5万円〜10万円程度です。

また、名義変更だけでなく、相続登記や贈与登記など他の手続きを行う場合もあり、これに伴う追加の費用や、難易度が高いケースでの追加料金も発生することがあります。

なお、すべての司法書士が同一料金を請求するわけではありませんので、名義変更を依頼する前には、何を含んだ金額なのか、どのような作業をするのかをしっかりと確認し、理解した上で依頼することが重要です。

その他

家の名義変更に関連したその他の費用としては、印紙代や通知料などが挙げられます。これらは手続きをする際に発生する一般的な費用で、実際にかかる金額は手続きの内容や規模により異なります。

特に、印紙代は不動産取引の契約書に必要で、金額は契約の内容によって変動します。また、通知料は名義変更を行った旨を関係各所に通知するための費用です。

家の名義変更でよくある3つの質問

家の名義変更でよくある3つの質問

最後に、家の名義変更でよくある質問にお答えします。

  • 質問1.家の名義変更をするべき理由とは?
  • 質問2.家の名義変更は自分でできる?
  • 質問3.家の名義変更時の司法書士の選び方は?

それぞれ詳しくみていきましょう。

質問1.家の名義変更をするべき理由とは?

家の名義変更は、建物の正式な所有者を公的に明らかにするために不可欠です。相続や売買を通じて土地や建物を取得した際、名義変更を行うことで、新しい所有者が自分であると第三者へ正式に認められるようになります。

特に、相続が発生した場合の不動産名義変更、すなわち相続登記は、過去には放置されがちなケースが見られましたが、所有者不明の土地問題を未然に防ぐため、2024年4月から相続登記が義務化されました。これにより、相続によって所有権を得たことを知った日から3年以内に登記を完了させなければ、最大で10万円の過料が課される可能性があります。

質問2.家の名義変更は自分でできる?

家の名義変更は、原則的に自分でも手続きが可能です。しかし、不動産登記に関する法律や手続きは専門的かつ複雑であり、誤りがあると取り返しがつかない場合もあります。

多くの場合、専門家である司法書士に依頼することが一般的です。誤りを防ぎ、スムーズな手続きを進めるためにも、専門家の力を借りることをおすすめします。

質問3.家の名義変更時の司法書士の選び方は?

家の名義変更には専門的な知識と手続きが必要であり、そのための専門家として司法書士が存在します。では、どのようにして司法書士を選べばよいのでしょうか。

まずは、信頼性と経験です。名義変更手続きをスムーズに進めるためには、豊富な経験と確かな専門知識が求められます。そのため、一定の実績を持つ司法書士を選ぶことが重要です。

また、相談しやすい司法書士を選ぶことも大切です。名義変更は難解な手続きが多いため、理解しやすい言葉で説明してくれたり、質問に丁寧に対応してくれる方がよいでしょう。

さらに、費用の明瞭性も重要なポイントです。手続きの際にかかる費用をしっかりと明示してくれる司法書士を選びましょう。

以上の点を考慮して、信頼できる司法書士を選ぶことが家の名義変更をスムーズに進めるコツです。

まとめ

まとめ

家の名義変更は、建物の正式な所有者を明確にするために欠かせない手続きです。名義変更をしないままでいると、将来的に相続などの際に問題が生じる可能性があり、相続による家の所有権移転に関しても、義務化されることになりました。

この手続きは、時間と労力を要する作業ですが、必ずしも司法書士に依頼する必要はありません。自分自身で行うことも可能です。

家の名義変更が必要になった際は、遅延することなく迅速に対応しましょう。

なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。

不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから

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