Blog
ブログ
2024.11.30
家(不動産)を相続した場合にかかる税金とは?必要な手続きや相続税の計算方法をご紹介!
家や不動産を相続する際、どのような税金が発生するかご存知でしょうか。税金の種類は、相続税だけでなく、不動産取得税や登録免許税がかかる場合もあり、必要な手続きや書類の準備方法を理解しておく必要があります。
本記事では、家(不動産)を相続した場合にかかる税金や必要な手続き、相続税の計算方法をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
家(不動産)を相続した場合に必要な手続き
土地や建物の所有者が変わると、法務局で登記内容の変更が必要です。相続による所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれ、複数の手続きを踏まなければなりません。手続きは、以下のとおりです。
- 相続人を確定
被相続人の戸籍を調査して、相続人を確定する。これは登記に不可欠であり、想定外の相続人が判明する場合もある
- 相続財産を確定
相続財産を明らかにするため、不動産関連の書類を収集する。この際、法務局や役所から登記事項証明書、名寄帳、公図、地積測量図などを取得するとスムーズに進む
- 相続税評価額の計算
建物の評価額は、固定資産税評価額と同額のため、役所から送付される「固定資産税課税明細書」を準備する。しかし、土地の場合、路線価が設定されている地域では路線価方式、路線価のない地域は倍率方式によって評価額を算出する
- 相続税の申告、納付
管轄の税務署に納付する
- 相続登記
期限は相続開始を知った翌日から10か月以内に実施する。相続税の申告前に登記しても、問題はない
家(不動産)を相続した場合にかかる税金
次は、家(不動産)を相続した場合にかかる税金について解説します。
- 登録免許税
- 相続税
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記情報を変更する際に必要な税金です。許税の税率は0.4%で、以下の計算式で求めます。
- 固定資産評価額×税率0.4%
評価額は、市区町村が発行する「固定資産評価証明書」をもとに確認できるため、最新の情報を使用しましょう。税額の計算では、評価額の1,000円未満が切り捨てられ、登録免許税も100円未満を切り捨てます。
税金の納付は現金が原則で、金融機関での支払い後、領収証書を登記申請書に添付して法務局に提出します。また、3万円以下の場合は収入印紙での納付もでき、印紙は郵便局や一部の法務局で購入可能です。
相続税
相続税は、被相続人から財産を受け継いだ際に課される税金です。対象となる財産は、現金や不動産だけでなく、有価証券や車両、貴金属など多岐にわたります。
この税金は、累進課税制度を採用しており、財産額が大きいほど税率も上昇します。しかし、相続税には基礎控除が設けられており、多くの場合、この控除額を超えない範囲では税金が発生しません。また、小規模宅地等の特例など、さまざまな減税措置を活用すれば、納税額を抑えられます。
家(不動産)の相続税を計算する流れは5つのステップ
次は、家(不動産)の相続税を計算する流れについて解説します。
- ステップ1.正味の遺産総額を計算する
- ステップ2.基礎控除を計算する
- ステップ3.課税遺産総額を計算する
- ステップ4.相続税の総額を計算する
- ステップ5.各相続人の相続税を計算する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
ステップ1.正味の遺産総額を計算する
「正味の遺産総額」は、プラスの財産からマイナスの財産と非課税財産を差し引いた額です。プラスの財産には現金や預貯金、不動産、株式などが含まれ、相続開始前3年以内の贈与額や相続時精算課税制度での贈与も加算対象です。
一方、マイナスの財産には借入金や未払金が含まれ、非課税財産には葬儀費用や仏壇、墓石の購入費用などが該当します。「正味の遺産総額」をもとに、相続税の基礎控除や課税額を計算します。
たとえばプラスの財産が1億5,000万円で、マイナスの財産と非課税財産が合計1,700万円の場合は「正味の遺産総額」の計算は以下のとおりです。
- 1億5,000万円-(1,500万円+200万円)=1億3,300万円
ステップ2.基礎控除を計算する
相続税の計算において、まず基礎控除額を以下の計算式で求めます。
- 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば、法定相続人が3人の場合、「3,000万円+(600万円×3)」となり、基礎控除額は4,800万円です。また、死亡保険金や死亡退職金には特別な非課税枠があり、計算式は以下のとおりです。
- 500万円×法定相続人の数
仮に、死亡保険金がある場合、非課税枠として「500万円×3」で計算した「1,500万円」をプラスの財産から差し引けます。この基礎控除と非課税枠を活用すれば、相続税の負担を軽減できます。
ステップ3.課税遺産総額を計算する
課税遺産総額は、相続税の対象となる部分を示し、正味の遺産総額から基礎控除額を差し引いて算出されます。たとえば、正味の遺産総額が1億3,300万円で、基礎控除額が4,800万円の場合、課税遺産総額の計算式は、以下のとおりです。
- 1億3,300万円-4,800万円=8,500万円
この金額をもとに、相続税の計算を進めていきます。
ステップ4.相続税の総額を計算する
相続税の計算では、法定相続分にもとづいて財産を分割して、相続税の総額を求めなければなりません。たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、配偶者の法定相続分は1/2、子どもたちはそれぞれ1/4ずつとなります。
この割合で財産を分けた後、国税庁のホームページに掲載されている「相続税の早見表」を使用して、それぞれの相続分に対する税率や控除額を適用して計算します。
- 配偶者の相続税額:8,500万円×1/2×20%-200万=650万円
- 子ども1人あたりの相続税:8,500万円×1/4×15%-50万=268万7,500円
- 相続税の合計:650万円+268万7,500円+268万7,500円=1,187万5,000円
参考:相続税の税率|国税庁
ステップ5.各相続人の相続税を計算する
今回のケースでは、相続割合が配偶者2/5、子供A2/5、子供B1/5となっています。この割合にもとづき、各相続人が負担する相続税を計算すると、以下のようになります。
- 配偶者:相続税の総額1,187万5,000円×2/5=475万円
- 子どもA:相続税の総額1,187万5,000円×2/5=475万円
- 子どもB:相続税の総額1,187万5,000円×1/5=237万5,000円
この計算を正確にするには、早見表や計算式の理解が大切です。しかし、不安がある場合は税理士に相談して、適切な専門家のサポートを得ると安心です。
相続税の土地評価額の計算方法
次は、相続税の土地評価額の計算方法について解説します。
- 路線価方式
- 倍率方式
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
路線価方式
路線価は、特定の道路に面した標準的な土地1平方メートルあたりの評価額で、相続税や贈与税の計算に用いられる基準値です。路線価方式では、以下の計算式で評価額を算出します。
- 路線価×その土地の面積(地積)
たとえば、土地面積が200㎡で路線価が1㎡あたり20万円の場合、評価額は以下のとおりです。
- 20万円×200㎡=4,000万円
また、複数の道路に面した土地や形状が特殊な土地では、調整が必要となる場合があります。評価額を正確に計算するためには、国税庁が公表する「路線価図」を活用して、適切な路線価を確認しましょう。
倍率方式
郊外の土地などで路線価が設定されていない場合、倍率方式を用いて評価額を計算します。計算式は、以下のとおりです。
- 固定資産税評価額×特定の倍率
倍率は、国税庁のホームページで「評価倍率表」を確認して、該当する地域や地目に対応する倍率を調べましょう。
たとえば、固定資産税評価額が1,500万円で倍率が1.2の場合、評価額は以下のとおりです。
- 1,500万円×1.2=1,800万円
この方法は計算が簡単で、地域や土地の条件に応じて正確に評価ができます。また、相続財産全体を評価する際には、土地だけでなく建物やそのほかの財産も個別に算出して、最終的な税額を計算します。
家相続 税金でよくある3つの質問
最後に、家相続 税金でよくある質問について解説します。
- 質問1.家の相続税はいつまでにどのように申告するの?
- 質問2.相続税の計算や相続税対策を専門家と進めた方がいい理由は?
- 質問3.親名義の家を相続する際の注意点は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.家の相続税はいつまでにどのように申告するの?
家を相続した場合、その価値はプラスの財産としてほかの遺産と合算して、相続税の計算に含める必要があります。相続税の申告は、「被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内」に行わなければなりません。
この期間内に、申告書を作成して、被相続人が住んでいた地域を管轄する税務署へ提出しましょう。期限を過ぎると、加算税や延滞税が発生する可能性があるため、早めの準備が大切です。家を含む遺産全体の評価を正確に行い、必要な書類を揃えて確実に申告を進めましょう。
質問2.相続税の計算や相続税対策を専門家と進めた方がいい理由は?
不動産の相続において、評価が適切にされていない場合、相続税額が過大になるリスクがあります。接道状況や土地の形状、高低差などの要因は評価額に大きく影響するため、正確に反映させるには専門的な知識が必要です。
不動産の評価額が数百万円〜数千万円単位で変動する場合もあり、そのまま相続税額に影響をおよぼします。相続税の計算や申告は煩雑で専門性が高いため、適切な知識を持つ税理士に依頼すれば、正しい評価をもとに適正な額での申告ができます。
質問3.親名義の家を相続する際の注意点は?
2024年4月1日から、不動産を相続した場合の「相続登記」が法律で義務化されました。この登記手続きには、登録免許税や司法書士への報酬といった費用がかかります。不動産の評価額によって登記費用は異なるため、事前に見積もりを確認しておくと安心です。
また、親名義の不動産を相続したくない場合、相続放棄も可能ですが、放棄するとすべての財産を受け取れなくなるため注意が必要です。不動産以外にプラスの資産が多い場合、放棄による不利益が大きくなる可能性があります。
さらに、相続放棄をほかの相続人に伝えずに行うと、負担の偏りやトラブルを招く場合があるため、十分に注意してください。
なお、住まない実家は存続するべきかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:住まない実家は相続してはいけないの?住まない実家の活用方法や相続放棄の注意点をご紹介!
まとめ
本記事では、家(不動産)を相続した場合にかかる税金や必要な手続き、相続税の計算方法をご紹介しました。
土地や建物の所有者が変わると、法務局で登記内容の変更が必要です。相続による所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれ、複数の手続きを踏まなければなりません。
不動産を相続した際にかかる税金としては、不動産の登記情報を変更する際に必要な登録免許税や、被相続人から財産を受け継いだ際に課される相続税の2種類です。それぞれの税金は、計算式で算出されます。
相続税の場合、遺産総額や基礎控除などをもとに算出され、正確に計算するには早見表や計算式の理解が大切です。また、土地の評価額については「路線価方式」や「倍率方式」などの方法があり、状況に応じて適用される計算方法が異なります。
詳しい計算方法や税率などは、国税庁のホームページを確認しましょう。しかし、不安がある場合には税理士に相談し、適切な専門家のサポートを得るのがおすすめです。
なお、「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから