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2024.02.24
【プロが教える】根抵当権の抹消方法は?抵当権との違いや必要書類、抹消しないリスクを徹底解説!
「根抵当権を設定したはいいものの、事情が変わって抹消したい」とお悩みではありませんか?
この記事では、根抵当権の抹消方法から、抵当権との違い、必要提出書類の内容、抹消しなかった場合のリスクを不動産のプロが解説しています。根抵当権の抹消方法についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも根抵当権とは?
根抵当権とは、不動産を担保として金融機関などの債権者が融資を提供する際に利用される担保権の一種です。返済不能に陥った際に債権者が不動産を競売にかけ、売却代金から融資返済を優先的に行うための仕組みです。
この際、事前に定められた「極度額」があり、その範囲内であれば繰り返しの借入れと返済が可能で、完済しても根抵当権自体は消滅しません。借入れのたびに新たな抵当権を設定する手間と費用を削減できるため、反復して融資を受ける必要がある事業資金に対する融資で活用されます。
また、債務不履行時、債権者は設定された極度額の範囲内であれば、担保不動産の売却から全ての債権を回収する権利があります。
抵当権との違い
抵当権と根抵当権の主な違いは、抵当権がひとつの融資取引に対して設定される点にあります。この方式は、繰り返しの借入れが必要ない一般的な融資、たとえば住宅ローンでは好まれます。借入金が完済された時、該当する抵当権は自動的に消滅し、債務者は登記上からその抵当権を抹消することが可能です。
債務不履行の状況では、債権者は不動産を売却し、その売却代金から借入金本体と、直近2年間の利息や損害金のみを優先して回収することが認められています。しかし、それ以前の利息は抵当権を通じては回収できないという制限があります。
根抵当権の抹消に必要な手続きは4ステップ
根抵当権の抹消に必要な手続きは、以下の4ステップです。
- 不動産の査定額と残債を確認する
- 債権者と交渉する
- 元本確定する
- 抹消登記を申請する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.不動産の査定額と残債を確認する
不動産売却を考えた際には、最初に不動産の査定額を専門家に依頼して算出します。同時に、金融機関への残債額も確認し、完済に必要な総額を明らかにしてください。これには、未払い利息や繰り上げ返済手数料も含まれます。
根抵当権や抵当権が設定されている場合、これらの担保権は完済まで存在し続けるため、売却代金が残債を超える場合はスムーズに完済し、担保権の抹消が可能です。
しかし、売却代金が残債に満たない場合、不足分をどう補填するかが問題となり、抵当権の抹消や不動産の売却が困難になります。この際、他の不動産を新たな担保とするか、残債を残した状態で売却できる特例を利用するなど、債権者との交渉が欠かせません。
2.債権者と交渉する
抵当権と異なり、根抵当権の抹消には借入金の完済だけでは不十分で、債権者の同意が必要です。
とくに根抵当権は、極度額の範囲内で複数回の借入が可能なため、債権者はその権利を容易に放棄したがらないことがあります。そのため、不動産を売却し所有権を移転するためには、債権者と根抵当権の抹消について交渉をする必要があります。
このステップでは、債権者が「取引関係を維持したい」と考えることもあって、時間と労力を要する場合が多いです。根抵当権の抹消を巡る交渉は、不動産の売買や所有権の移転を円滑に進めるために避けて通れない過程です。
3.元本確定する
金融機関との交渉後、根抵当権の元本を確定させる手続きに移ります。この過程では、これまでに借りた総額と返済総額を明確にし、新たな借入れを停止させます。元本確定は根抵当権が持つ「繰り返し融資を受ける」機能を終了させ、抵当権のような状態に変更してください。
完全に返済が終了した場合、金融機関からは根抵当権の抹消に必要な書類が提供され、債務者はこれを使って抹消登記ができます。このプロセスを経ると、不動産の売却や権利変更が可能になります。
4.抹消登記を申請する
根抵当権の抹消に向けた最終段階として、抹消登記の申請が行われます。一般的な抵当権の抹消手続きと同じく、不動産売却の一環として所有権移転登記と同時に実施されます。金融機関から提供される抹消登記用書類に必要情報を記入し、法務局に提出することで手続きは完了です。
申請に際しては、法務局から入手可能な申請書を利用し、適切な添付書類を同封する必要があります。この手続きは自身で行うことも可能です。しかし、書類の準備や手続きには専門知識が求められるため、司法書士に依頼することが推奨されます。
根抵当権の抹消に必要な書類
根抵当権抹消の過程では、金融機関から提供されるいくつかの重要書類が必要です。これらは抹消手続きを進めるために欠かせません。具体的には以下のものが含まれます。
必要書類 |
内容 |
抵当権抹消登録申請書 |
登記の英雄、権利者情報、不動産情報などを記載する。雛形は法務省サイトから入手可能 |
登記原因証明情報 |
解除証書や放棄証書がこれにあたり、解除日の確認が必要 |
抵当権設定契約書 |
登記済証であり、契約当初の内容と現状を比較し、不動産の所有者や住所の変更があれば追加手続きが必要 |
法人番号記載書類 |
金融機関の資格証明に記載(有効期限に注意) |
不動産所有者と抵当権者の委任状 |
根抵当権抹消を司法書士が代行することに対する承諾書類 |
印鑑 |
登記申請人の印鑑 |
費用 |
一件の不動産につき登録免許税として1,000円必要 |
司法書士に抹消手続きを依頼する際には、不動産所有者から特別に用意する書類はなく、認印や身分証明書が必要となります。これらの書類は抹消登記をスムーズに進めるために重要です。金融機関からの書類受領後は迅速に手続きを開始してください。
根抵当権を抹消しないままでいるリスクは4つ
根抵当権を抹消しないままでいるリスクには、以下4つが挙げられます。
- 不動産売却が困難になる
- 必要書類の期限が切れてしまう
- 相続者の負担が増える
- 金融機関が合併すると手続きが増える
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.不動産売却が困難になる
根抵当権が残る不動産の売却は、潜在的な購入者にとってリスクを感じさせる要因となります。完済していたとしても、この権利の登記が存在することで、買い手は物件の負債状況に対して疑念を持つ可能性が考えられるのです。
根抵当権は、一度設定されると極度額内で複数回の融資が可能になるため、購入者は将来的に物件が競売にかけられるリスクを懸念します。そのため、抵当権が付帯している物件は、市場での売却が難しい状況に陥ります。
2.必要書類の期限が切れてしまう
借入金の完済後に金融機関から受け取る根抵当権の抹消同意書類は、法務局へ提出して抵当権を解除します。ただし、提出に必要な書類には有効期限が設けられているものがあります。とくに、資格証明書などは発行後3ヶ月で期限が切れてしまうため、期限内に手続きを完了させなければなりません。
期限切れ後の再発行には、再び手数料が発生し、時間もかかります。そのため、迅速に手続きを進めることが求められ、完済後は早めに抵当権抹消の手続きを進めることがおすすめです。
3.相続者の負担が増える
根抵当権が残された状態で不動産を相続すると、相続人は複雑な手続きを迫られます。まず、相続登記を済ませたあとに、不動産にかかる根抵当権の抹消登記も行う必要があります。時間が経過している場合、貸し手の金融機関が合併等で変わっていることもあり、その際はさらに根抵当権移転登記の手続きが必要です。
これらの手続きは、債務者本人ではなく相続人がしなければなりません。そのため、必要書類の収集や手続きの複雑さが相続人の負担を大きくします。
4.金融機関が合併すると手続きが増える
金融機関が合併した場合、根抵当権の抹消に必要な書類の差し替えが必須となり、通常では不要だった追加手続きが必要になります。書類の再発行には追加の費用と時間がかかり、手続きの複雑化を招きます。
借入金の返済後は、金融機関の組織変更が生じる前に、迅速に根抵当権の解除をすることがおすすめです。これにより、不必要な手間とコストを避けられます。
根抵当権の抹消でよくある3つの質問
根抵当権の抹消でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.根抵当権の抹消登記は自分でできる?
- 質問2.根抵当権の抹消登記にかかる費用は?
- 質問3.根抵当権を抹消していない不動産は売却できる?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.根抵当権の抹消登記は自分でできる?
借り入れが完済され、金融機関が合意した場合、根抵当権の抹消登記ができます。この手続きは個人でも実施できますが、複雑な書類の準備が必要なため、専門家である司法書士に依頼することが一般的です。
司法書士への依頼費用は大体1万円から3万円で、手続き完了まで約10日から1ヶ月かかります。もしも自分で手続きをする際には、以下のステップを参考にしてください。
- 金融機関から提供された書類の確認
- 委任状の捺印
- 司法書士による法務局への登記申請代行
- 登記完了後の書類を返送する
上記のような書類の準備には専門的な知識が求められます。司法書士へ依頼した方がスムーズな手続きができるため、余計な手間や時間を省けます。
質問2.根抵当権の抹消登記にかかる費用は?
根抵当権の抹消登記に関する費用については、主に以下の通りです。
- 司法書士への報酬
- 登記申請時の登録免許税
- その他の雑費
司法書士に支払う報酬は、不動産の詳細や必要な書類の量によって異なりますが、大体の目安としては一件につき15,000円〜30,000円が一般的です。登記申請の際には、不動産一件ごとに1,000円の登録免許税が必要になります。
また、登記簿謄本の取得や書類郵送などの雑費も発生し、これらは2,000円〜3,000円程度を見積もります。これらを合わせると、根抵当権抹消登記の総費用は約18,000円〜34,000円になることが想定されますが、具体的な額は司法書士の報酬に左右される点に留意が必要です。
質問3.根抵当権を抹消していない不動産は売却できる?
根抵当権が設定された不動産は、通常の方法での売却は困難です。抵当権は、借入金の完済と共に自動的に解消されますが、根抵当権は極度額内での繰り返し融資が可能なため、自然消滅しません。
その結果、完済後も根抵当権が登記簿上に残り続け、第三者には借入がないことが証明できない状態になります。購入者がこの状態の不動産を買うことは、ほとんどありません。仮に売却が成立しても条件面で不利になることが予想されます。
根抵当権のある不動産を売却するためには、事前に金融機関との交渉を通じて抹消手続きをする必要があります。これは金融機関にとっても取引先を失うことになるため、時間と労力が必要です。不動産売却を考えている場合、計画的に手続きを進めることが重要です。
まとめ
根抵当権の抹消方法から、必要提出書類の内容、抹消しなかった場合のリスクを解説しました。根抵当権には極度額があり、その範囲内であれば繰り返しの借入れと返済が可能です。
完済しても根抵当権自体は消滅しないため住宅ローンに設定する人が多い制度ですが、抹消しないままだと不動産売却が難しくなったり、相続人の負担が増えたりしてしまいます。
根抵当権を抹消したくなった際には、この記事をぜひ参考にしてみてください。なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。
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