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2024.10.14
住まない実家は相続してはいけないの?住まない実家の活用方法や相続放棄の注意点をご紹介!
居住しない実家を相続するべきか悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。空き家となった実家を放置しておくと、空き家問題で周囲に迷惑をかけたり、「特定空き家」に指定されたりするリスクがあります。
本記事では、住まない実家は相続可能か、住まない実家の活用方法や相続放棄の注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
住まない実家は相続してはいけないの?
最近では、実家の引き継ぎによる負担が増大しているため、相続を避ける傾向があります。実家を相続して住まない場合、相続税や固定資産税がかかります。
さらに、空き家の管理が必要となり、その費用は大きな負担となりかねません。空き家のまま維持するのにはコストがかかり、相続する人にとって経済的な重荷となる可能性が高いです。
相続税がかかる
「小規模宅地等の特例」が利用できない場合、相続税が大幅に増加します。この特例は、被相続人と同居していた親族が土地を相続する際、土地の評価額が下がると税負担を軽減できるものです。
しかし、相続人が同居していなかった場合、この特例を適用できず、土地の高額な評価に対して相続税が課されます。このため、事前の計画が欠かせません。
参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
固定資産税がかかる
固定資産税や都市計画税は、所有しているだけで毎年発生する税金です。固定資産税は評価額にもとづき算定され、標準税率は1.4%ですが、土地の立地や広さによっては高額な負担となります。
また、定期的なメンテナンスも必要であり、管理の手間や修繕費用も必要です。このため、住む予定がない場合は売却を検討するのも負担を減らす方法の1つです。
維持管理費がかかる
建物の劣化を防ぐためには、定期的な換気や庭の手入れが必要です。遠方の物件となると放置する場合が多く、売却が難しくなり、周囲にも迷惑をかけてしまいます。
また、水道や電気の基本料金も毎月発生して、利用がない場合でも負担が発生します。管理を委託するサービスを利用するのも手段ですが、月々のコストがかかる点がデメリットです。
特定空き家になる恐れがある
実家を空き家のまま放置しておくと、自治体から「特定空き家」に指定されかねません。特定空き家に指定されると、固定資産税の減税特例が受けられなくなり、税額が最大で6倍に増える可能性があります。
これにより、住宅用地として扱われなくなるため、土地の評価が更地同様となります。さらに、改善の勧告を無視し続けると、行政による強制解体や罰金が科せられる場合もあるため、注意が必要です。
住まない実家の取り扱い方法
次は、住まない実家の取り扱い方法について解説します。
- 売却する
- 寄付する
- 国に返却する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.売却する
不動産を売却する際には、中古住宅として売り出すか、建物を解体して土地のみで売却する方法があります。中古住宅として売る場合、メンテナンスが必要ですが、比較的コストは少なく済みます。
一方、更地での売却は解体費用がかかるものの、売却がスムーズに進む場合が多いです。どちらの方法を選ぶにしても、不動産会社との十分な相談が欠かせません。
2.寄付する
立地条件が悪く売却が難しい物件は、固定資産税や管理費がかさむばかりで負担が大きくなります。寄付先としては、自治体や認可地縁団体、法人、さらには隣地の個人所有者などが挙げられます。
しかし、自治体や認可地縁団体などは利用目的が決まらない場合、寄付を受け入れないケースも少なくありません。このため、個人に寄付する場合は贈与税の負担が発生する点に注意しなければなりません。
なお、土地は寄付できるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】土地は寄付できる?不要な土地を手放す方法やよくある質問をご紹介!
3.国に返却する
2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属法」により、不要な土地の所有権を国に返却することが可能になりました。この制度は、相続した土地を維持する負担が大きい場合に有効ですが、国庫に帰属させるためにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。
返却できるのは更地のみで、審査手数料や10年分の土地管理費用が必要となるため、一定のコストがかかります。しかし、土地の維持が難しい場合には負担を軽減する手段として利用を検討する価値があります。
住まない実家の活用方法は3つ
次は、住まない実家の活用方法について解説します。
- 賃貸経営
- 空き家バンクの利用
- 駐車場
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.賃貸経営
建物の状態がよければ、そのまま貸し出して安定した収入が得られます。また、古い建物であってもリノベーションを行い、古民家風の物件として貸し出す方法もあります。
しかし、賃貸経営には固定資産税や維持管理費がかかり続けるため、これらの費用を考慮したうえで家賃の設定をしなければなりません。さらに、管理会社への委託費用も発生するため、収益性の検討が必須です。
2.空き家バンクの利用
自治体が運営する「空き家バンク」は、売り手と買い手をマッチングするサービスで、地方への移住を希望する人が利用する場合が多いです。たとえば、古民家をカフェにしたり、仕事場にするケースがあります。
また、実家を売却すれば、維持費の負担を減らせるだけでなく、地域の活性化にも寄与できるため、実家が郊外や地方にある場合におすすめです。さらに、一部自治体では補助金の提供もしているため、負担を減らせるメリットがあります。
3.駐車場
駐車場経営は初期費用が低く抑えられる特徴があり、一般的には月極駐車場として運営するケースが多いです。狭小地や形状が特殊な土地でも駐車場として活用できるため、売却やほかの用途への転用も比較的容易です。
また、市街化調整区域でも問題なく運営できます。このため、土地の活用方法としては、リスクが低く、「まずは駐車場にして様子を見る」という人も増えています。
相続放棄する場合の注意点は3つ
次は、相続放棄する場合の注意点について解説します。
- 3か月以内に手続きする
- 相続財産管理人の選定が必要になる
- 相続をすべて放棄しなければならない
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.3か月以内に手続きする
実家の相続を放棄したい場合、被相続人の死亡後3か月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。期間を過ぎると放棄が認められないため、迅速な判断が求められます。
しかし、正当な理由があれば期間の延長が認められる場合もありますが、家庭裁判所での手続きが必要です。相続放棄を考える際は、土地活用の可能性や不動産の市場価値を早めに把握して、判断材料を整えましょう。
2.相続財産管理人の選定が必要になる
相続財産管理人は、相続人に代わって相続財産の管理や精算を行う責任者です。相続人全員が相続放棄を選択した場合、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。
管理人としての役割を引き受けると、実家を含めた財産の管理や精算が求められます。これにより、相続放棄をした後でも、一定の管理義務が残る可能性があるため注意が必要です。
3.相続をすべて放棄しなければならない
相続放棄を行うと、実家の不動産だけでなく、現金や預貯金、有価証券などすべての相続財産を放棄しなければなりません。このため、実家の維持や管理からは解放されますが、そのほかの財産も一切受け取れなくなるため、注意が必要です。
相続放棄は、相続財産全体に対する権利を手放す意味があるため、慎重な判断が求められます。
住まない実家は相続してはいけないでよくある3つの質問
最後に、住まない実家は相続してはいけないでよくある質問について紹介します。
- 質問1.住まない実家を売却する際の注意点は?
- 質問2.実家の相続を回避するリースバックとは?
- 質問3.住まない実家を相続してメリットのあるケースは?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.住まない実家を売却する際の注意点は?
住まない実家を売却する際の注意点は、以下のとおりです。
- 中間業者からのリフォームの提案は慎重に判断する
リフォーム費用は売主負担であり、当面を売却価格に上乗せするのは難しい。このため、利益が見込まれるかどうかをしっかり考える必要がある
- 空き家バンクの成約率は低い空き家
空き家バンクを利用しても、成約率が低い傾向にある。早期に売却したい場合、専門の買取業者への依頼を検討しておく必要がある
- 相続登記を必ず行う
相続登記は令和6年から義務化されており、未登記の場合には罰金が科される可能性があるため、注意しなければならない
なお、不動産売却の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】不動産売却の流れは7ステップ!手続きに必要な書類もわかりやすく解説!
質問2.実家の相続を回避するリースバックとは?
リースバックを利用すれば、実家の所有者がリースバック業者となるため、実家の相続は発生しません。さらに、親は実家に住み続けることが可能です。
しかし、リースバック契約は定期借家契約である場合が多く、期限が来ると退去が求められるリスクがあります。また、売却価格も通常より低くなる傾向があるため、利用する際には家族での十分な話し合いが必要です。
質問3.住まない実家を相続してメリットのあるケースは?
住まない実家の相続によって得られるメリットとしては、売却による現金化や賃貸経営、駐車場としての活用などが挙げられます。しかし、築年数が古かったり立地が悪かったりする場合は売却や賃貸の活用が難しい可能性があります。
また、空き家として放置すると老朽化が進み、あとで住むのが困難になる場合も珍しくありません。さらに、相続後には名義変更が必要で、これを怠ると不利益が発生する場合があります。
まとめ
本記事では、住まない実家は相続可能か、住まない実家の活用方法や相続放棄の注意点をご紹介しました。
最近では、実家の引き継ぎによる負担が増大しているため、相続を避ける傾向があります。このため、売却や寄付(自治体や認可地縁団体など)、国への返却といった方法で処理する選択肢もあります。
さらに、賃貸経営や駐車場としての活用、空き家バンクを利用する方も多い傾向です。「空き家バンク」は、売り手と買い手をマッチングするサービスで、地方への移住を希望する人が利用する場合が多いです。
また、相続放棄する場合、被相続人の死亡後3か月以内に家庭裁判所に申し立てをして、相続人に代わって相続財産の管理や精算を行う責任者である、相続財産管理人を選任しなければなりません。
相続放棄を行うと、実家の不動産だけでなく、現金や預貯金、有価証券などすべての相続財産を放棄しなければならないため注意してください。
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