2023.11.25

不動産売買における違約金とは?契約解除の方法や違約金の相場を徹底解説!

不動産売買における違約金とは?契約解除の方法や違約金の相場を徹底解説!

不動産売買する際、契約書に違約金について盛り込むことが一般的です。「違約金」と聞いて不安に思う方もいるかもしれませんが、買主・売主の双方を保護する役割を果たします。

この記事では、不動産売買における違約金や売買契約解除の可否、相場について解説します。これから住宅を購入しようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

監修者

不動産における売買契約の解除は可能?

不動産における売買契約の解除は可能?

不動産における売買契約の解除は可能です。しかし、状況や条件によっては、違約金などのペナルティが発生してしまうおそれがあります。ここでは解除できるケース、できないケースをそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

解除できる6つのケース

解除できるケースには、以下の6つが挙げられます。

  1. 手付金放棄による解除
  2. 引渡し前の滅失・損傷による解除
  3. 消費者契約法に基づく契約の取り消し
  4. 融資特約などの条件に基づく解除
  5. 契約不適合責任による解除
  6. 反社会的勢力排除による解除

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.手付金放棄による解除

売買契約締結時には手付金を支払います。手付金はキャンセル時の違約金の役割を果たします。そのため、手付金を手放せば契約解除が可能です。一般的に手付金の相場は、売買金額の5〜10%程度とされています。

たとえば、3,000万円の住宅を購入した場合、150〜300万円の手付金を手放せば、契約を解除できます。キャンセルの理由が「支援してくれる人がだめだというから」「急に転勤しなければならなくなったから」のような自己都合であっても問題ありません。

また、売主・買主には契約締結後も契約を解除する権利があり、それぞれ次のような方法によります。

  • 売主:受領した手付金額の2倍の金額を買主に支払い解除ができる
  • 買主:支払った手付金を放棄することにより解除できる
2.引渡し前の滅失・損傷による解除

地震・台風などの天災や火災により対象不動産が滅失または損傷が生じた場合、買主の購入目的が満たせません。

軽微な損傷であり、補修によって当初の目的を満たせる場合は、売主の負担により補修するのが一般的です。また、契約条項にはその旨が記載されています。

しかし、損傷が激しい場合は、復旧・補修することは合理的でないことから、売買契約を白紙解除することが一般的です。

3.消費者契約法に基づく契約の取り消し

購入時に「資産価値が必ず上がる」「底値の今が買い時」という不確実な情報を伝えられた場合、このことが原因で購入を決断することがあります。とくに、懸念的な表現で事実ではない情報が伝えられた場合、これは法律上の保護対象となることがほとんどです。これは不当な商法によって損害を受けないように定められています。

消費者契約法に定められている規定は、消費者の権利を守るために設けられており、適切な情報に基づいて購入決定を支援することが目的です。

4.融資特約などの条件に基づく解除

契約時に「住宅ローン特約」を定めておくと、ローンが通らなかった際に違約金の支払いなく契約解除できます。

もしも、審査に通らなかった場合、販売主は受領した手付金を無利息で返金します。特約条項を契約書に記載することによって、買主を保護しますが、特約による解除の期限を設けることは一般的です。

期限を過ぎて融資が承認されなかった場合、特約は有効となるため、契約前に十分協議し、期限を設定しなければなりません。

5.契約不適合責任による解除

取引対象不動産に問題がある場合、購入者は契約解除できます。たとえば、土地を購入したのに住宅が建てられない・建物の構造上に欠陥がある・物件の瑕疵が隠されていた場合などです。

契約解除の際、買主から損害賠償請求される可能性もありますが、不動産の状況を正確に伝えて、取引しなければなりません。

また、契約不適合の部分について買主は修補や損害賠償、代金減額の請求が可能です。しかし、売主が原則としてこの責任を負うわけではありません。事情に応じて免責とするケースもあります。

6.反社会的勢力排除による解除

暴力団排除条項を契約に定めることは、反社会的勢力との関係を遮断するうえで重要です。全国の47都道府県で施行されている暴力団排除条例により、事業者は暴力団関係者との契約を避ける努力義務があります。

この条項により、契約相手が後に暴力団関係者であることが判明した場合、契約を解除できるため、事業者の信用損失を防ぎます。とくに不動産売買では、暴力団排除条項を定めることが求められ、相手方がこの条項に難色を示す場合、反社会的勢力との関わりが疑われるため、慎重に検討しなければなりません。

解除できないケース

売主が履行に着手している場合、契約を自由に解除できません。履行の着手とは、単に引き渡しの準備を進めることだけではなく、契約の履行行為の一部を客観的に認識できる形でしたことを意味します。

たとえば、売主が所有権移転登記の申請をした場合は、履行に着手した状態と見なされ、契約をキャンセルする際には違約金が発生するおそれがあります。

違約金の相場

違約金の相場

違約金の相場について以下の2つに分けて解説します。

  • 不動産売買価格の20%が上限
  • 違約金が免除になるケース

不動産売買価格の20%が上限

違約金の相場は売買価格の10〜20%が目安です。もしも、相手方が宅建業者であれば宅建業法によって定められている20%の上限を超えることはありません。

たとえば、3000万円の物件価格に対して手付金200万円を支払った場合、違約金が10%であれば300万円が違約金となります。

先に支払った手付金200万円を差し引いた100万円が実際の支払額です。また、上限と定められている20%の場合は、600万円から200万円を差し引きした400万円を支払います。

引用:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

違約金が免除になるケース

不動産の購入契約後、買主が事故に遭遇し、働けなくなる・死亡してしまう可能性を否定できません。このような状況は契約時に想定できない状況と見なされ、違約金が免除となる場合がほとんどです。

また、不動産取引に関しては業者が仲介者としての役割を果たすことがよくあります。業者が仲介している場合、このような特殊な状況下での違約金の免除や契約条件の変更に関する交渉を、買主やその代理人が業者へ依頼することが可能です。

契約解除の方法

契約解除の方法

契約解除する際、文書で手続きを進めることが原則です。とくに、裁判になるリスクを考えて「配達証明付き内容証明郵便」を使うことをおすすめします。また、口頭での契約解除は正式な手続きとしては認められません。

契約解除はやり直しができない重要事項となるため、不動産会社や必要に応じて専門家と相談することが大切です。相手方に契約解除の意思表示が届いた時点で有効となり、その後の撤回はできません。そのため、慎重な判断と適切な手続きが求められます。

不動産売買における違約金でよくある3つの質問

不動産売買における違約金でよくある3つの質問

不動産売買における違約金でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。

  • 質問1.「違約金」と「損害賠償額の予定」との違いは?
  • 質問2.「損害賠償額の予定」と「違約罰」との違いは?
  • 質問3.違約金を支払えば契約を解除できる?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.「違約金」と「損害賠償額の予定」との違いは?

不動産売買契約における「違約金」と「損害賠償額の予定」の違いは、以下の通りです。

  • 違約金:契約締結した際、契約に違反した者が支払うものとして設定される
  • 損害賠償額の予定:相手方に実際の損害を与えた場合にのみ賠償責任を負う

いずれも契約内容に反した者が支払いますが、違約金は契約が解除となった際に支払うのに対し、損害賠償額の予定は物理的損害に対して発生します。

そのため、違約金は経済的な損失がなくても支払い、損害賠償の予定は損害を与えた場合にのみ賠償責任を負います。

質問2.「損害賠償額の予定」と「違約罰」との違いは?

不動産売買契約では「損害賠償額の予定」に加えて、「違約罰」が設定されることがあります。通常、損害賠償額の予定は契約時に定めますが、契約解除後に想定された以上の経済的損失を被る可能性を否定できません。

このことに対応するため、売買契約書に違約罰を設定し、万が一の事態が発生した場合は損保賠償の予定額を超えた差額を請求します。

質問3.違約金を支払えば契約を解除できる?

契約締結後、買主が契約を解除したい場合でも、違約金の支払いだけで自動的に契約解除できるわけではありません。違約金の定めは債務不履行があった際に請求できるものですが、これは売主の権利であり、義務ではありません。

つまり、買主が債務不履行をした場合、売主は契約解除と違約金の請求を選択できるものの、契約の履行、即ち代金の支払いを引き続き求めることもできます。この選択権は売主側にあり、買主が違約金を支払ったとしても、売主が契約の履行を求めればそれに従わなければなりません。

まとめ

まとめ

不動産売買における違約金について解説しました。違約金は、買主・売主が契約を簡単に破棄できないようにする役割があります。しかし、手付金の放棄やそのほかにも法律によって定められた要件を満たすことで契約解除は可能です。

不動産の売買は大きな金額が伴うものとなるため、契約前に相互でしっかりと話し合いをし、契約書に適切な解除項目を盛り込むことが欠かせません。

ぜひ、この記事を参考にして円滑な不動産売買を実現させましょう。なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。

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