2023.10.21

不動産売却の「委任状」とは?必要になるケースや気をつけるべきポイント、ひな形があるサイトをご紹介!

不動産売却の「委任状」とは?必要になるケースや気をつけるべきポイント、ひな形があるサイトをご紹介!

不動産売却をおこなう場合、自分だけで対応するのは難しいものです。特に、不動産売却に関する知識が乏しい場合や、忙しくて対応できない場合などでは第三者に委任するケースも多く見られます。

不動産売却を委任する際には、委任状が必要となりますが、どのように作成すればよいのでしょうか。この記事では、不動産売却における委任状が必要になる場合や、実際に作成する際の流れなどを紹介します。

監修者

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不動産売却における「委任状」とは?

不動産売却における「委任状」とは?

不動産売却における委任状とは、任意の代理人が顕名行為をおこなう場合に必要となる書類のことです。 例えば、共有名義の不動産を売却したい場合、共有者の一人が代理人となって売却を進めるケースがあります。

もし、 本人が成年被後見人である場合は、委任状を使って任意代理人が不動産を売却できません。以上のような制約はあるものの、自分自身で不動産売却を進めることが難しい場合は、委任状を作成して他の方に委任することができる形です。

代理人とは?

不動産売却における委任状には、不動産売却を進めることを依頼する代理人に対して、代理権があることを証明する効力があります。代理人は、不動産売却を考えている所有者から委任を受け、所有者の代わりとなって売却に関する手続きをおこなうことになります。

例えば、様々な事情により所有者から売却を委任された方が、委任状によって事前に取り決めた範疇で、不動産売却に関連する一連の手続きをおこなうことが可能です。不動産の購入を考えている方が現れた場合、所有者以外の方が交渉に割り込んでくると不審に思うものですが、そこで委任状があると委任された代理人であることが分かるため、安心感が生まれます。

また、代理人としてはあくまでも代理人という立場であって、所有者でないことを委任状で証明することが可能です。なお、代理人が自分があくまでも代理行為をおこなっていることを明らかにする行為を顕名と呼ばれています。

代理と使者の違い

委任状は、不動産売却において所有者の代理人であることを証明する書類となりますが、不動産売却には代理の他に使者という考え方があります。代理の場合、所有者の代わりとなって各種意思表示や法律行為をおこなうことが可能です。

一方で、使者の場合は所有者の意思を伝えることが主な担当範囲となり、決定権はありません。もし、使者が不動産の売買契約を結んだとしても、無効となるため注意が必要です。

もし、売買契約を含めて依頼したい場合は、委任状を作成して代理人に権限を委任する必要があります。

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不動産売却で委任状が必要になる4つのケース

不動産売却で委任状が必要になる4つのケース

実際に、不動産売却において委任状が必要となるケースとして、以下4つが挙げられます。

  1. 売却したい不動産が遠方にある場合
  2. 売買契約に立ち会えない場合
  3. 共有名義の不動産を売却する場合
  4. 売却手続きを専門家に依頼する場合

各ケースについて、詳しく解説します。

1.売却したい不動産が遠方にある場合

例えば、普段は実家から遠く離れた場所に暮らしている場合で、親が亡くなって実家を手放すことになったとします。その場合、不動産売却を進めるにあたって頻繁に実家まで戻って対応するためには時間と費用がかかってしまうものです。

また、売却することが決まった場合には最終的に契約を結ぶ必要がありますが、そこで委任状により代理人を立てて交渉することで、売却手続きを進めることが可能です。遠方にある場合には、ほかにも普段は海外に住んでいる場合や、自身が高齢者施設に入居していて外出制限がある場合にも、代理人を立てて契約を進める場合があります。

2.売買契約に立ち会えない場合

売買契約を結ぶ場合、基本的には所有者が対応することになります。ただし、先に紹介したとおり必ずしも売買契約を結ぶ際に立ち会えるわけではなく、立ち会いできない場合は代理人を立てて契約を代理してもらうことが可能です。

売買契約を結ぶタイミングで、立ち会えないというケースは決して稀ではなくよくあることです。よって、代理人による契約は頻繁に用いられる方法となっています。

3.共有名義の不動産を売却する場合

不動産の場合、単独名義ではなく共有名義で保有している場合があります。例えば、単独で保有するためには費用的に厳しく、複数人で協力して不動産を所有する場合や、投資目的で複数人が出資して保有する場合は、共有名義となる形です。

共有名義の不動産を売買契約する場合、基本的には所有者全員の立ち会いが必要となります。ただし、保有者が多ければ多いほど、全員のスケジュールが合わずに日程が決められない場合が多いです。

そこで、委任状により特定の人物に契約行為を依頼すれば、全員が集まることなく売買契約を進めることができます。

4.売却手続きを専門家に依頼する場合

不動産売却については、相応の知識や経験が必要になる場合が多いです。特に、スピーディーかつより高値で売却したい場合は、専門家に依頼した方がより効率よく売却を進めることができます。

そこで、専門家に売却手続きを依頼する場合、委任状の発行が必要です。また、仕事が多忙で契約までにかかる時間を確保できない場合や、入院や通院の関係で時間が取れない場合などでも、委任状により専門家に売却を依頼する場合があります。

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不動産売却で委任状が使用できない3つのケース

不動産売却で委任状が使用できない3つのケース

不動産売却を進めるにあたって委任状を利用したい場合でも、必ずしも適用できるわけではありません。以下のケースでは、委任状を利用することができません。

  1. 売主が成年被後見人である
  2. 法定代理人に該当する
  3. 破産手続が開始されている

各ケースの詳細は、以下のとおりです。

1.売主が成年被後見人である

売主が成年被後見人である場合、委任状を使用できません。成年被後見人とは、認知症などによって判断能力がない方のことを指します。

成年被後見人の場合は判断能力がない関係上、代理人に対して委任するという判断自体を正常におこなえないと考えられているためです。そこで、成年被後見人が不動産の売却を進める場合は、裁判所が指定した成年後見人が法定代理人を担当して売却をおこなう必要があります。

2.法定代理人に該当する

法定代理人とは、成年後見人や未成年者の親権者といった、法律で定められた代理人のことを指します。法定代理人の場合、当事者の意思とは関係なく法律に従い任命されて、権限も細かく規定されているのです。

もし、法定代理人に該当する事象の場合は、委任状を使用して代理人を立てて売却を進めることができません。

3.破産手続が開始されている

もし、不動産の所有者が破産手続が開始した物件を売却しようとしても、委任状によって代理人を立てられません。本人が債務超過の状態となり債務者または債権者が破産の申し立てをおこなったタイミングで裁判所が破産手続開始を決定します。

破産手続開始のタイミングで選任されるのが破産管財人であり、破産管財人は裁判所から選任された代理人というような立場で売主となり売却をおこない、得られた金銭を債権者に分配する形が取られます。よって、代理人を立てられず破産管財人が主導となり売却を進めなければなりません。

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不動産売却の委任状を作成する流れは3ステップ

不動産売却の委任状を作成する流れは3ステップ

不動産売却において、委任状を作成する場合は以下のステップを踏む必要があります。

  1. 代理人を選定する
  2. 委任する内容を決める
  3. 委任状を準備して作成する

各ステップの詳細は、以下のとおりです。

ステップ①代理人を選定する

最初のステップとして、誰を代理人に選定するかを決める必要があります。専門家に代理人に指名する場合と、共有名義で所有している場合は共有名義者の中から選ぶなどの方法があります。

代理人については、基本的に誰にでも委任できますが、基本的には信頼できる人物に依頼してください。具体的には、親族や弁護士、司法書士などに依頼するケースが多く見られます。

ステップ②委任する内容を決める

不動産売却における委任状では、どの範囲まで所有者と同じ権限を委任するかを決めることができます。例えば、不動産売却を一任するとした場合、代理人に対してあらゆる権限が委任されることになるのです。

もし、代理人が所有者にとって納得いかない金額で売却しても、それを覆すことは不可能です。よって、委任状の中でどの範囲までを委任するのかを明確にしておき、代理人の候補者と整合した上で正式に発行する必要があります。

ステップ③委任状を準備して作成する

代理人に委任する内容を決定したら、実際に委任状を作成します。委任状には定められたフォーマットは存在せず、以下の項目を満たして作成してください。

  • 委任の範囲:売主代理人として売買契約書に記名押印するなどを詳細に記載する
  • 売買物件の表示項目:土地の場合は所在地・地目・地積、建物の場合は所在地・種類・構造・床面積を記載する
  • 売却の条件:売却価格や手付金額・手付解除期限・引き渡し予定日などを記載する
  • 委任状の有効期限:有効期限を月日まで詳細に記載する
  • 委任者の住所・氏名・捺印:実印で押印する
  • 代理人の住所・氏名

また、冒頭に不動産の売却を代理人に委任する旨の記載が必要です。

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委任状を書く際に気をつけるべき8つのポイント

委任状を書く際に気をつけるべき8つのポイント

実際に委任状を作成する場合、注意すべきポイントがあります。具体的には、以下のポイントに注意して正しく作成してください。

  1. 委任状の書式には決まりがない
  2. 委任内容を限定して明記する
  3. .委任状には実印で押印する
  4. 委任状には捨印は押さない
  5. 曖昧な表現は避ける
  6. 必ず当事者の住所も記載する
  7. 有効期限を明記する
  8. 「以上」を記載して第三者による改ざんを防ぐ

各ポイントについて、詳しく解説します。

1.委任状の書式には決まりがない

先に紹介したとおり、委任状の書式には特に決まりはありません。不動産会社などではひな形が用意されている場合があり、ほかにもインターネットなどでひな形を公開しているサイトも存在します。

ひな形を活用すれば、自分で様式を作成することなく必要事項を記入するだけでよいため便利です。

2.委任内容を限定して明記する

委任状では、委任内容を明確にする必要があります。どの範囲まで委任するのかを明確にすると同時に、禁止行為もしっかりと指定することが重要です。

これにより、お互い齟齬なく自分の希望する形で代理人により売却を進めることができます。

3.委任状には実印で押印する

委任状は、実印を用いて印鑑証明書も添付することをおすすめします。委任状の場合、定められた書式が存在しないため、三文判で押印しても問題ありません。

ただし、不動産売却は高額な取引になる場合が多いため、実際には実印による押印と印鑑証明書の添付まで要求される場合が大半です。よって、委任状には実印で押印した方が無難です。

4.委任状には捨印は押さない

委任状で誤った箇所がある場合、修正印によって修正する場合があります。その場合、委任状の空欄箇所に捨印を押印しておく必要があるのです。

もし捨印が押印されていると、代理人が修正して勝手に委任する項目を書き加えることも可能となってしまうのです。よって、委任状には捨印は押さないようにしてください。

5.曖昧な表現は避ける

委任状は一種の契約文書となりますが、曖昧な表現を使用するとどちらにも取られてしまうことがあります。これにより、所有者と代理人との間で解釈の違いが生まれ、所有者にとっては望まない形で売却が進んでしまうケースがあるのです。

よって、曖昧な表現を避けて事前に代理人との間で整合しておく必要があります。

6.必ず当事者の住所も記載する

委任状には、委任者と代理人の氏名、住所を必ず記載してください。これは、氏名だけ記載すると同姓同名の人がいる可能性が考えられるためです。

委任者、代理人を正確に特定するためには、名前だけでなく必ず住所も記載してください。

7.有効期限を明記する

委任状には、いつまで委任するのかの期限を記載してください。もし有効期限を曖昧にすると、トラブルに発展した場合に代理人の権限がないと見なされてしまう可能性があるためです。

必ず、半年程度を目処に年月日まで記載してください。

8.「以上」を記載して第三者による改ざんを防ぐ

委任状に必要な項目を記載したら、必ず文末に「以上」の文字を記載します。これにより、それ以降に追記できなくなる効果があります。

悪意のある第三者は、勝手に項目を書き加えるリスクがありますが、以上を記載することで改ざんを防止できる効果があるため、必ず記載してください。不動産売却におけるトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:不動産売却で起こりがちなトラブルとは?回避するための事前対策も紹介!

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委任状以外で必要になる書類

委任状以外で必要になる書類

委任状以外にも、委任者・代理人それぞれの立場で以下の書類を準備する必要があります。

対応者

必要な書類

委任者

・印鑑証明書
・実印
・住民票

代理人

・印鑑証明書
・実印
・住民票
・本人確認書類

各書類は、最新版を用意する必要があります。

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不動産売却における委任状のひな形があるサイト4選

不動産売却における委任状のひな形があるサイト4選

実際に委任状を作成する場合、ひな形があると便利です。以下のサイトでは、ひな形が用意されているのでぜひ活用したいものです。

  1. すまいステップ
  2. マイナビニュース
  3. ズバット 不動産売却
  4. LIFULL HOME’S

各サイトの詳細は、以下のとおりです。

 1.すまいステップ

すまいステップ

引用:すまいステップ公式HP

すまいステップは、提携している不動産会社や担当者を限定しているため、優良な業者を見つけやすいメリットがあります。これは、厳しい基準を満たした方のみを担当者として選定しているためです。

よって、紹介されている不動産会社は少ないものの、外れが少ないのが特徴です。不動産売却のひな形コピペ用テキストが公開されており、ドキュメントソフトに貼り付ければ簡単に様式を作成できます。

2.マイナビニュース

マイナビニュース

引用:マイナビニュース公式HP

マイナビニュースは、ビジネスパーソンに向けた、幅広いジャンルの情報を提供している総合ニュースメディアです。不動産に関する情報も多く見られ、とても参考になります。

マイナビニュースの記事では、不動産売買の委任状の書き方をひな形つきで解説しています。

3.ズバット 不動産売却

ズバット 不動産売却

引用:ズバット 不動産売却公式HP

ズバット 不動産売却は、20年以上にわたり比較サイトを運営している豊富な実績があるため、信頼できる点が魅力的です。また、最大6社に一括して査定依頼できるため、高値売却が見込めるメリットがあります。

ズバット 不動産売却では、責任者が監修した記事の中で委任状の書き方やひな形を公開しています。

4.LIFULL HOME’S

LIFULL HOME'S

引用:LIFULL HOME’S公式HP

LIFULL HOME’Sは、見つけやすさを重視したポータルサイトとして有名です。不動産会社の紹介ページが充実しているため、選定する際に役立ちます。

コラム内では、コピペ可能なひな形付きが公開されているため、ぜひ活用してください。

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不動産売却の委任状でよくある3つの質問

不動産売却の委任状でよくある3つの質問

ここでは、不動産売却の委任状でよくある質問を紹介します。

質問1.代理人としてふさわしい人物とは?

代理人を指名する場合、ふさわしい人材として信頼できる人物であるかを重視してください。あくまでも依頼者の立場になって、より有利な条件で売却を進めてもらえる人物を指名しましょう。

また、不動産売却に関する知識やノウハウがある人物であることも重要です。

質問2.代理人による不動産売却で失敗しないためのコツは?

代理人による不動産売却で失敗しないためのコツとしては、適切な人材に依頼できるかがポイントとなります。また、代理人とは常に連絡が取れるように体制を整える必要があります。

また、仲介の不動産会社を利用する場合は、必ず担当者と面会してお互いの方針などを整合してください。

質問3.委任を避けた方が良い人とは?

不動産売却において代理人を選定する際には、友人や会社の同僚などは避けた方が無難です。不動産の売買契約の相手方の利益に密接に関係するため、安易に仲がよいだけの理由で代理人を選ぶのは危険です。

信頼できる存在として、親族や専門家に依頼することを検討してください。

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まとめ

まとめ

不動産売却を進める上で、代理人を立てることでスムーズに売却を進められるメリットがあります。また、専門家に依頼すると、より高値で売却できるチャンスがあるためおすすめです。

ただし、委任状により代理人を立てる場合は注意すべきポイントもあります。今回紹介したポイントに注意して、最適な人物に委任して効率よく売却を進めてください。

なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。

不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから

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