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2024.06.14
不動産売買の買付証明書とは?提出するメリット・デメリットや書き方のポイントを徹底解説!
不動産売買を検討している方で、買付証明書について具体的に知りたいという方もおられないでしょうか。この書類は、購入希望者が不動産会社や売主に対して、真剣な意思を示すための重要な書類です。
本記事では、買付証明書の概要や提出するタイミング、メリット・デメリットについて解説します。また、書き方ポイントや提出する場合の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売買の買付証明書とは?
不動産の取引においては、購入希望者が正式に購入意向を示すための書面が不可欠です。これは、購入者が特定の不動産を購入する意思を明確にするために提出されるものであり、「買付証明書」や「購入申込書」といった名前で知られています。
これらの書類は、高額な取引で後のトラブルを避けるため、また売主に対する信頼性を確保するために欠かせません。書面による意思表示は、売買契約に向けた交渉の出発点となり、双方の意向を明確にする役割を果たします。
不動産売買で買付証明書を提出するタイミング
買付証明書は、不動産購入の際に買主の意思を伝えるための重要な書類です。一般的に、物件の内覧後に購入の意思が固まった時点で提出します。
この書類自体に法的拘束力はありませんが、売主に対して真剣な購入意思を示すための重要な手段であり、売主が契約する相手や条件を決める際の参考情報の1つです。提出にあたっては、不動産会社を介して行う場合と直接売主に渡す場合があります。
買付証明書を提出するメリットは3つ
次に、買付証明書を提出するメリットについて解説します。
- 売主との交渉がスムーズに進められる
- 値下げ情報が優先的に入手できる
- 不動産会社との関係が築ける
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.売主との交渉がスムーズに進められる
不動産の購入を検討する際には、計画的な資金管理が非常に大切です。購入希望価格を設定する際には、自分の予算内で無理のない額を決定するようにしましょう。
これは、購入後の生活を安定させ、長期的な満足度を高めるために必要なステップです。また、購入希望額が市場価格と大きく異なる場合、交渉がスムーズに進まない可能性があります。
そのため、市場価格を調査し、不動産会社と相談しながら現実的な価格を設定するのが望ましいです。さらに、購入希望の物件が見つかった際には、迅速な対応が求められます。
2.値下げ情報が優先的に入手できる
物件購入時には、売主の意向や市場の動向を理解しなければなりません。とくに、売り出し後すぐや人気エリアの物件は高値で取引される傾向があります。しかし、一定期間売れ残ると価格が下がる場合もあります。
このような状況で、不動産買付証明書を提出しておくと、価格変更の情報を優先的に得られる可能性が高いです。売主が価格を下げる際、証明書を提出した購入希望者にオファーが来る場合もあり、希望の価格に近づくチャンスが増えます。
3.不動産会社との関係が築ける
買付証明書の提出によって、不動産会社との信頼関係を築けます。買付証明書は購入の意思を示す重要な書類であり、この提出により、真剣に物件の取得を考えている意思表明が可能です。
不動産会社は信頼性のある取引相手を重視しており、買付証明書の提出はその一環として評価されます。また、具体的な購入意欲を示せば、優先的に情報提供を受けたり、交渉を有利に進められるようになります。結果として、円滑な取引が進み、長期的に良好な関係構築が期待できるわけです。
買付証明書を提出するデメリットは3つ
次に、買付証明書を提出するデメリットについて解説します。
- 安易な提出は信用を失うリスクがある
- いい加減な記載内容はトラブルの原因になる
- 交渉が後回しになる可能性もある
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.安易な提出は信用を失うリスクがある
買付証明書を安易に提出すると、信用を失うリスクがあります。買付証明書は購入意思を強く示す書類であり、提出後に撤回してしまうと、購入者の信頼性に影響を与えます。
不動産会社は、買付証明書を提出した購入者を真剣な顧客とみなすため、安易な提出や撤回は信用を損ないかねません。とくに、何度も同じ行動を繰り返すと、不動産会社からの評価が低下し、今後の取引において不利になる場合があります。
さらに、ほかの購入希望者との競争が激化するなかで、安易な提出は時間とリソースの無駄となり、信頼関係の構築に悪影響をおよぼします。
2.いい加減な記載内容はトラブルの原因になる
買付証明書は、購入の意思を正式に示すための重要な書類です。一度提出すると、簡単には変更できないため、慎重に準備する必要があります。
たとえば、価格を下げるような変更を希望する場合、売主との間でトラブルが発生する可能性があります。また、提出後に簡単に取り下げると、その物件を購入するチャンスを失いかねません。買付証明書を提出する前には、内容を十分に確認し、慎重に判断して提出するようにしましょう。
3.交渉が後回しになる可能性もある
不動産購入の際には、提出する買付証明書の内容が重要です。売主は、より良い条件を提示する購入希望者を優先的に交渉対象とします。
そのため、自分の条件が劣っている場合や無理な条件を提示した場合、交渉の優先順位が下がる可能性があります。とくに、売却希望価格に対して大幅な値引きを求めるなどの行為は、売主や不動産会社との信頼関係を損ないかねません。
適切な条件を提示するためには、市場価格や物件の状況を十分に調査し、現実的で納得のいく内容を提案するようにしましょう。
【記載項目別】買付証明書の書き方ポイント
次に、買付証明書の書き方ポイントを項目別に解説します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.希望購入金額
希望物件を購入する際の買付証明書には、購入希望者が希望する金額を記入しますが、これは不動産情報誌や広告に掲載されている金額とは異なります。買付証明書に記載する金額は、実際の売買交渉における希望額となるため、慎重に決定しましょう。
もし、高めの金額を提示すれば、希望物件を優先的に確保できる可能性が高まりますが、もちろん支払い可能な範囲内での金額を記入することが大切です。実際の売買価格は、買付証明書提出後に買主と売主の間で協議して決定されます。
2.物件情報
物件を購入する際には、建物や土地に関する詳細な情報が必要です。たとえば、物件の正式な名称や所在地、建物の構造、延床面積などが挙げられます。
これらの情報は購入決定において重要な要素であり、正確に把握する必要があります。とくに、家屋番号は登記に基づく識別番号として必要ですが、わからない場合は登記簿を確認するか、不動産会社や仲介業者に問い合わせるようにしましょう。
3.手付金・中間金
不動産取引において、手付金と中間金は重要な役割を果たします。手付金は、売買契約時に買主が売主に預けるお金で、一般的には物件価格の5〜10%の範囲で設定されます。
また、契約が成立しても、物件の引き渡しや代金支払いなどが完了するまでの間、買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返還すれば契約を解除することが可能です。これは、双方にとって違約金としての役割を果たします。
一方で、中間金は手付金と残代金の間に支払われるお金であり、その存在や金額は取引によって異なります。手付金や中間金の適切な金額設定は、売主に対する真剣さを示すだけでなく、融資審査や売却リスクの軽減にも効果的です。
4.残代金
購入希望額から手付金と中間金を引いた残額を残代金と呼びます。この残代金は、物件の引き渡し時に支払われるもので、その際に鍵が渡されるのが一般的です。
とくに、住宅ローンを利用する場合、銀行で売主、不動産会社、司法書士、買主などが集まり、融資の決済や所有権移転の手続きが行われます。これにより、最終的に所有権が正式に移転し、鍵の引き渡しが完了します。この一連の流れは、不動産取引における重要なプロセスです。
5.有効期間
不動産取引において、購入希望者が提出する買付証明書には法的効力がないものの、期限を設定していないと売主からの返答を待つ期間が長引く可能性があります。そのため、買付証明書には有効期限を設定するのが一般的です。
期限の設定により、売主に対して真剣な購入意志を示すことができ、売渡承諾書の提示を促進する効果が期待できます。また、購入希望者が現在の自宅を売却して新しい物件を購入する場合には、有効期限内に売却活動を終える必要があります。
売却が遅れると二重ローンのリスクが高まるため、事前に不動産会社と相談して適切な期限を設定するようにしましょう。
6.買主情報
物件購入希望者の情報は、売主がその購入希望者の支払い能力を評価するために重要です。とくに、氏名や住所、職業、勤務先、年収、資産状況などの情報が欠かせません。
年収については、会社員の場合は源泉徴収票に記載された支払金額を、自営業の場合は総収入額を記載します。購入者の自己資金についても明確に記載すれば、売主に信頼性を示せます。
7.契約希望日・引き渡し希望日
物件の購入に際しては、購入希望者が売主に対して柔軟かつ明確な意向を示す必要があります。売主との交渉を円滑に進めるためには、引き渡し希望日や契約希望日を具体的に提案し、可能な限り売主の都合に合わせる姿勢を見せると効果的です。
たとえば、複数の日程を提示し、売主に選択の余地を与えるのがおすすめです。また、各ステップのスケジュールを明示すると、売主側も計画を立てやすくなります。
買付証明書を提出する場合の注意点は3つ
次に、買付証明書を提出する場合の注意点について解説します。
- 物件購入の申込書ではない
- 損害賠償を請求される可能性がある
- 有効期限を厳守する必要がある
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.物件購入の申込書ではない
売買契約書と買付証明書の混同は不動産取引においてしばしばみられますが、両者の役割は異なります。売買契約書は売主と買主の合意のもと、不動産の売買を正式に取り決める書類であり、詳細な契約条件や約款が記載されます。
一方、買付証明書は購入希望を表明するための書類で、購入希望金額やそのほかの条件が記載されていますが、これ自体では契約は成立しません。売買契約書が必要なのは、諸条件が整い、実際に取引が進行する段階です。
買付証明書の提出はあくまで購入意思の表明であり、法的に契約が成立するには、売主と買主の正式な合意が必要です。
2.損害賠償を請求される可能性がある
買付証明書は、不動産取引において購入の意思を示す重要な書類ですが、法的拘束力は持ちません。しかし、契約が進行中である場合、不合理な理由で取り下げると、双方に損害賠償の可能性が生じるケースがあります。
これは信頼関係を損ね、相手に不利益を与える行為とみなされるためです。とくに、売主に対して不合理な取り下げをすると、過去の判例でも賠償責任が認められたケースがあります。
もし、買付証明書を提出する際や取り下げる際には、慎重な判断が必要であり、適切な理由を明示して関係者との信頼関係を維持する努力が大切です。
3.有効期限を厳守する必要がある
買付証明書の有効期限を設定する際は注意が必要です。物件の購入手続きには、売主との交渉期間や住宅ローンの審査期間が含まれます。これらを考慮して、買付証明書の有効期限を設定しなければなりません。
有効期限は一般的に1週間〜2週間程度が適切ですが、場合によっては最長で約1ヶ月まで設定する必要があります。買付証明書の期限切れに注意し、計画的な対応を心がけましょう。
不動産売買の買付証明書でよくある質問は3つ
最後に、不動産売買の買付証明書でよくある質問を紹介します。
- 質問1.買付証明書の提出義務はある?
- 質問2.売主が提出する売渡承諾書とは?
- 質問3.買付証明書を提出した後の流れは?
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.買付証明書の提出義務はある?
買付証明書は法的に提出義務はないものの、不動産取引の過程で一般的に使用されています。この書類は、物件購入希望者が購入意思を示すために不動産会社へ提出するもので、形式はさまざまですが、内容には共通点があります。
主な項目には購入希望価格や物件の詳細情報、手付金額、住宅ローンの情報、有効期限などが含まれるのが一般的です。また、複数の購入希望者から提出される場合があり、売主や不動産会社はこれをもとに交渉の優先順位を決定します。
質問2.売主が提出する売渡承諾書とは?
売渡承諾書は、売主が売却の意思を明示するために作成する書類です。購入希望者から不動産買付証明書を受け取り、その内容に同意した場合、売主は売渡承諾書を提出します。
これにより、購入希望者は売買交渉の権利を得ますが、売渡承諾書自体には法的効力がないため、交渉の過程で撤回してもペナルティは発生しません。しかし、交渉が始まると売主には信義則に基づく配慮義務、説明義務、誠実交渉義務が課されます。
これらの義務を怠ると、購入者から損害賠償を求められる可能性があるため、注意が必要です。
質問3.買付証明書を提出した後の流れは?
購入を希望する物件で売主から承諾を得た後、不動産売買契約の締結に進みます。ローンを利用する場合、この時点で金融機関の事前審査が必要です。
ローンの審査を通過しなければ、必要な資金が調達できず、購入が困難になります。事前審査をクリアすると、融資が受けられる金額が確定し、売主との契約を正式に結ぶことが可能です。契約時には手付金を支払い、ローンの本審査を経て金融機関と正式な契約を締結します。
まとめ
本記事では、買付証明書の概要や提出するタイミング、メリット・デメリット、書き方のポイント、提出する場合の注意点について解説しました。
不動産売買における買付証明書は、購入希望者が売主に対して真剣な意思を示すための重要な書類です。提出のタイミングは、物件選定後、具体的な交渉に入る前が適しています。
提出するメリットとしては、値下げ情報が優先的に入手できる点や不動産会社との信頼関係が築ける点などが挙げられます。一方で、安易な提出は信用を失い、いい加減な記載内容ではトラブルの原因となる可能性が高いです。
そのため、記載項目は正確に記載し、有効期限も厳守しましょう。また、買付証明書は物件購入の申込書ではないため、間違えないようにしてください。
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