2023.09.30

【プロが解説】不動産における「抜き行為」とは?不法行為になる具体例やよくある質問もご紹介!

【プロが解説】不動産における「抜き行為」とは?不法行為になる具体例やよくある質問もご紹介!

不動産会社にとっては、少しでも利益をあげるために様々な努力をおこなっています。ただし、努力ではなく違反行為に当たる行動を取る場合があり、その代表例が抜き行為となります。

では、抜き行為とは一体どのようなことを指すのでしょうか。この記事では、抜き行為の概要や、どのような点が不法にあたるのかを徹底解説します。

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不動産における「抜き行為」とは?

不動産における「抜き行為」とは?

抜き行為とは、不動産を売却したいと考えている売主や貸主、そして買主と不動産会社との間で仲介契約を結んでいるのにもかかわらず、別の不動産会社が新たな契約を結んでしまうことです。通常、仲介契約を結んでいる以上、その不動産業者が売却完了まで担当する形が一般的です。

ただし、別の不動産会社がより手数料を割引するなどの甘い声をかけて、顧客を横取りするような行為となります。当然、当初仲介契約を結んでいた不動産業者からすれば、寝耳に水となり決して気分がよい行為ではありません。

もし、抜き行為が発生する場合は二重契約が結ばれる形となります。

不動産の一般的な仲介の仕組み

不動産を売買する際の一般的な流れとして、売り手としては不動産を購入してくれる相手を探す必要があります。ただし、買い手を探すのは簡単ではなく、知り合いなどで不動産を探しているというケース以外では大変な労力をかけて探さなければなりません。

また、売却する以上はより高い金額で売りたいものです。そこで、不動産仲介を受けることで不動産の売却先を探すだけでなく、価格交渉や契約手続きなどを代行してもらえます。

不動産仲介においては、売主と買主ともに仲介を行うために媒介契約を結びます。仲介契約には3つの方法があり、それぞれに以下のように条件が異なるのです。

  • 専属専任媒介契約:1社のみ契約して自分では売却活動をおこなえない
  • 専任媒介契約:専属専任媒介契約と同じく仲介業者は1社のみの契約するが、自分で買主を探すことができる
  • 一般媒介契約:複数の業者と仲介契約を結べる

抜き行為のパターン例

抜き行為の典型パターンを紹介すると、Aさんが不動産の売却を目的としてB社と専任専属契約を結んだとします。そして、実際に販売活動を開始している最中に、C社が売りに出している不動産の情報を発見しました。

そこで、C社が不動産を探しているDさんを紹介するとAさんに持ちかけて、AさんとC社との間で契約を結び、売買が成立するパターンが該当します。このように、本来であればAさんとB社との間で専任契約を結んでいるにもかかわらず、C社がB社を飛ばして契約することを、抜き行為と呼ぶのです。

抜き行為は法律上は違法とならない

抜き行為は、正確に言えば法律上では違法行為とはなりません。これは、抜き行為が違法であるという法律が存在しないためです。

ただし、違法ではないとしても合法というわけでもありません。本来、契約を結んでいるにもかかわらず、ほかの業者が勝手に割り込んできて契約を取るのは、不動産業界ではタブー行為とされています。

よって、決して印象が良くない行為であることを、不動産業者側も売主・買主側も理解しておく必要があるのです。

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抜き行為が不法行為になる具体例

抜き行為が不法行為になる具体例

抜き行為は、正確には違法行為ではないものの、場合によっては不法行為とされてしまう場合があります。ここでは、売主、買主それぞれの立場で、不法行為となるケースを紹介します。

売主側が不法行為となる場合

抜き行為によって、売主が不法行為とされてしまう場合として、すでに依頼している不動産会社以外の業者より、安い仲介手数料で仲介を持ちかけられるケースです。具体的には、不動産を売りに出している情報を見つけて、「買主を紹介しますのでご連絡ください」などの連絡が入ります。

また、より有利な条件で売却できるなどのメリットが情報として提供される場合が多く、それに魅力を感じてしまい話を持ちかけた業者と契約を結ぶと抜き行為となってしまうのです。本来は、専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結しているのに、別の不動産会社を乗り換えること自体が契約違反となります。

買主側が不法行為となる場合

買主についても、中抜きにおいて不法行為とみなされるケースがあります。例えば、物件を内覧するだけであれば、まだ購入に至っておらず誰もがとる行動であり、抜き行為には該当しません。

ただし、媒介契約を締結していない場合であっても、抜き行為に当てはまるケースがあるのです。具体的には、実質的に媒介業務がおこなわれた後に、その不動産会社を外して売買契約が成立したケースです。

例えば、不動産仲介会社を通して買付証明証を提出したり、価格交渉をおこなったりした場合が該当します。実際に、過去の最高裁判所での判例で買主に対して仲介手数料の支払いを命じたケースもあるため、注意が必要です。

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不動産業界における「抜き以外」のタブー行為

不動産業界における「抜き以外」のタブー行為

不動産業界において、抜き行為は明確な違法行為にはなりませんが、タブー視されている行為です。実は、抜き行為以外にもタブー行為として以下が有名です。

  • 飛ばし
  • 囲い込み

各行為について、詳しく解説します。

飛ばし

通常、不動産仲介業務で最初に物件を案内を受けた業者からしか、物件を購入できません。ただし、違う業者に売却を依頼したり直接個人で買主に対して売却を持ちかけることを、飛ばしと呼びます。

また、不動産業者が同伴せずお客様だけで物件に行かせることも飛ばしとする場合が多いです。ダイレクトに売主と契約して、仲介手数料の支払いを免除することになり、仲介業者飛ばしと呼ぶことも多いです。

囲い込み

囲い込みとは、売却の委任契約を結んだ不動産会社が、意図的に情報を隠したり独占したりする行為を指します。通常、媒介契約を受けたら定められた期間内に物件情報を指定流通機構(レインズ)に登録しなければなりません。

これを、自分で買主を見つけたいためにほかの不動産業者に物件を紹介しないケースがあるのです。これは、仲介手数料を売主と買主の双方から得るために、不動産会社が売却物件を自社で抱え込んで他社には紹介しない行為となり、売主に対してはデメリットしかありません。

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不動産の抜き行為でよくある4つの質問

不動産の抜き行為でよくある4つの質問

ここでは、不動産の抜き行為においてよくある質問を紹介します。

質問1.不動産の抜き行為による媒介業者の損失とは?

不動産の抜き行為があると、仲介業者としてはせっかく売却を見込める不動産を、ほかの業者に奪われてしまうことになります。これにより、本来得るべき仲介手数料を失ってしまう損失が発生します。

また、実際に不動産の売却を進めるためにかけた工数が、すべて無駄となってしまう形です。

質問2.不動産の抜き行為で損害賠償請求されるケースとは?

抜き行為は、不法行為には該当しないものの、媒介契約違反で損害賠償等を請求されるケースがあります。媒介契約違反が明確な場合は、媒介契約の相手方の不動産業者から提訴されるとまず勝ち目がありませんので注意してください。

質問3.依頼先の変更は中抜きになる?

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、宅地建物取引業法で契約期間の上限は3カ月と定められています。これを超えた場合や途中で正規の手続きで解約を進めれば、抜き行為には該当しません。

さらに、​​一般媒介契約を結んでいる場合、複数の不動産会社に依頼することが前提となるため、依頼する業者を変更するのは問題ありません。

質問4.不動産購入で仲介業者を途中変更する際の注意点は?

途中で仲介業者を変更する場合、変更するタイミングや理由によって違約金が発生するリスクがあります。高い違約金を負担しなければならない場合もあるため、契約を事前に確認しておくことが重要です。

また、出回り物件扱いをされる可能性があり、今後売れにくくなるリスクがあるため注意してください。さらに、買主の場合は損害賠償請求の可能性があること、業界内で悪評が流れる可能性があります。

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まとめ

まとめ

不動産業界において、抜き行為は明白な違法行為ではないものの、タブー視されているのは事実です。また、マナー違反となり場合によっては損賠賠償しなければならない場合もあります。

もし、抜き行為に該当するような誘いがあったとしても、絶対におこなわないようにしましょう。なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。

不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから

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