2023.11.18

不動産売却における3,000万円控除とは?適用要件や必要書類について徹底解説!

不動産売却における3,000万円控除とは?適用要件や必要書類について徹底解説!

不動産売却時には、売却益に対して税金が発生します。しかし、3000万円控除の特例を使うことによって、大幅に税金を抑えることが可能です。

この記事では、3000万円控除の適用要件や申請方法、よくある質問について詳しくご紹介します。これからマイホームなどを売却しようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

監修者

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3,000万円特別控除とは?

3,000万円特別控除とは?

3,000万円特別控除とは、個人が居住していた不動産を売却する際に適用できる制度です。その名の通り、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できます。

基本的に、不動産売却によって発生した利益(譲渡所得)には所得税と住民税がかかります。しかし、3,000万円特別控除を利用すると、譲渡所得に対して税金がかからない範囲が3,000万円まで拡大し、大幅な節税が可能です。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

  • 譲渡価格 – (取得費用 + 譲渡費用) – 特別控除(3,000万円控除等)

居住用財産の3,000万円特別控除を利用することによって、譲渡所得税(譲渡所得にかかる税金)を節税できます。

また、取得費と譲渡費用の内容は、以下の通りです。

  • 取得費:土地購入代金、仲介手数料、登記費用、印紙税など
  • 譲渡費用:仲介手数料、印紙税、測量費用、取壊し費用など

譲渡所得は売却価格から購入時の経費総額や建物の減価償却費を差し引いて算出し、税額はプラスの譲渡所得がある場合にのみ発生します。

適用要件

3,000万円特別控除の適用には、以下の6つの条件が必要です。

  1. 売却する物件はマイホームであり、以下のいずれかを満たす必要があります。
  2. 現在主に住んでいる自宅
  3. 転居後3年目の年末までの売却(解体から1年以内で賃貸していない土地を含む)
  4. 単身赴任の場合、配偶者が住んでいる建物
  5. 物件の買主が親族や夫婦、同族会社など特殊な関係でないこと
  6. 売却した年の前年、前々年に、譲渡損失が出た場合の損益通算・損失の繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  7. 売った年、その前年及び前々年に、マイホーム買い換え・交換の特例を受けていないこと
  8. 売却した不動産に関して、固定資産の交換特例、収用等の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  9. 災害によって売却する場合、住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売ること

また、この控除を受けるための条件として、ほかにも以下のような条件が設けられています。

  • 自分が現在住んでいる家であること
  • 節税目的ではないこと
  • 娯楽や保養のための家ではないこと
  • 前年および前々年に3,000万円の特例控除など他の特例を受けていないこと
  • 売却相手が生計をひとつにする親族ではないこと

その他の詳しい要件は国税庁ホームページで確認できます。

参照:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

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【ケース別】3,000万円特別控除が受けられるその他の特例

【ケース別】3,000万円特別控除が受けられるその他の特例

3,000万円特別控除が受けられるその他の特例についてケースごとに分けてご紹介します。

1.相続した物件を売却する場合

 相続空き家の3,000万円特別控除は、相続や遺贈で取得した不動産の売却時に適用される制度です。この特例は、被相続人が居住していた不動産に対して適用されるもので、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

対象となる不動産は、被相続人が居住していた家であることが前提条件です。建て替えや一時的な居住者がいる場合は適用されません。

また、特別控除の対象となる不動産には以下の要件が必要です。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物
  • 区分所有建物登記がされていない建物
  • 相続の開始時点で被相続人以外に居住者がいなかったこと

 相続空き家の3,000万円特別控除は、一般的な3,000万円特別控除とは別の制度であり、被相続人がマイホームとして居住していた不動産に対して適用されるものです。

2.マイホームを取り壊して敷地を売却する場合

マイホームを取り壊し、敷地を売却する際の3,000万円特別控除適用要件は、建物解体から1年以内に敷地売買契約を結ぶことが必要です。また、建物解体から売買契約締結日まで、敷地を駐車場などとして第三者に貸し付けていないことが求められます。

もしも、敷地を駐車場や賃貸などで人に貸した場合は、特別控除の適用外です。これらの要件に関する詳細情報は、国税庁のホームページで確認できます。

3.人に貸していた物件を売却する場合

自宅の一部を第三者へ貸し出している場合、控除が適用されるのは、自分が居住用として使用していた家屋の部分に限定されます。また、マイホームであった物件を賃貸にしている場合でも、特定の条件を満たせば3,000万円特別控除の対象です。

売却時点ですでにマイホームでない物件を売却する場合は、住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売却する必要があります。

4.店舗と併用していた物件を売却する場合

建物の一部が店舗として使用されている場合、控除の対象となるのは、自身の居住のために使用していた部分のみと定められています。店舗部分の譲渡所得は控除対象外です。

また、住宅部分が全体の90%以上を占める場合は、建物全体に3,000万円特別控除が適用されます。その際、床面積に基づいて住宅部分と店舗部分の割合を判定し、確定申告時には住宅の床面積が分かる書類が必要です。

5.共有名義の物件を売却する場合

共有名義の不動産を売却する場合、各共有者は自分の持ち分に対して特例を申請できます。その際、共有者ごとに確定申告を提出する必要があり、譲渡所得は共有者の持分割合に応じて按分されます。

しかし、敷地のみを共有している場合、建物の所有者以外は3,000万円特別控除を適用できません。また、共有していたマイホームを売却する場合、適用要件に合致すれば全共有者が3,000万円の特別控除を受けることが可能です。

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3,000万円特別控除の申請方法

3,000万円特別控除の申請方法

3,000万円特別控除の申請方法に必要な書類と申請期間について、それぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

必要書類

3,000万円特別控除の申請に必要となる書類は、以下の表を参考にしてください。

必要書類

取得場所

確定申告書・譲渡所得の内訳書

税務署

戸籍の附票

役所

譲渡した土地・建物の全部事項証明書

法務局

売却書類のコピー

本人所有

取得書類のコピー

本人所有

住民票の写しもしくはマイナンバーカード

本人準備

確定申告に必要となる書類と併せて複数の書類を集めなければなりません。また、状況によってほかの書類を求められる場合も考えられますので、事前に相談会などを活用して確認してください。

申請期間

3,000万円特別控除の申請機関については、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告する必要があります。

 例を挙げると、令和5年に不動産を売却した場合、令和6年の2月16日~3月15日の間に申告が必要です。また、譲渡所得が3,000万円以下の場合も確定申告は必須となり、申告しなければ特別控除は適用されません。

もしも、自身で期間内に手続きができない場合、税理士に確定申告を依頼することも可能です。

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不動産売却の3000万円控除に関するよくある3つの質問

不動産売却の3000万円控除に関するよくある3つの質問

不動産売却の3000万円控除に関するよくある質問には、以下の3つが挙げられます。

  • 質問1.控除対象に入らないケースとは?
  • 質問2.3,000万円特別控除と併用できる制度はある?
  • 質問3.不動産売却で損失が出た場合は?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.控除対象に入らないケースとは?

居住用財産の3,000万円特別控除が適用されないケースには、以下のようなものが挙げられます。

  • 特別控除を受けることを目的として購入した
  • 自宅新築時に一時的に住んでいた家屋
  • 一時的な目的で入居していた家屋
  • 趣味や娯楽、保養のために所有する家屋

自己名義の不動産であり、要件を満たしていたとしてもこれらの場合は対象外です。

質問2.3,000万円特別控除と併用できる制度はある?

3,000万円特別控除と併用できる制度には、「10年超所有軽減税率の特例」が挙げられます。こちらの制度は、譲渡所得の税率を軽減するため、令和元年の消費税率引き上げに伴い導入されました。

対象は10年を超えて所有していたマイホームとなり、適用要件は3,000万円特別控除と同様です。ただし、住宅ローン控除との併用はできません。

譲渡益が6,000万円超の場合は所得税・住民税合わせて20.315%の税率が適用され、譲渡益が6,000万円以下の場合は14.21%の税率が適用されます。例を挙げると、却益が6,000万円、所有期間10年超の場合、税額は(6,000万円 – 3,000万円)× 14.21% = 約426万円です。

質問3.不動産売却で損失が出た場合は?

不動産売却で損失が出た場合、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けられます。適用条件は、以下の通りです。

  • 資産の譲渡に係る損失が生じていること
  • 居住用財産の定義を満たしていること
  • 所有期間が売却する年の1月1日時点に5年を超えていること
  • 新居を購入すること(一定の要件を満たす必要がある)

損失が発生した場合、他の所得からの差し引きが可能です。1年で差し引けなかった損失は翌年以後3年間の総所得から繰越控除できます。また、住宅ローン控除との併用もできますが、確定申告が必要です。

参照:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

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まとめ

まとめ

不動産売却における3000万円控除について解説しました。3000万円控除は、マイホームなど個人が居住していた不動産を売却した際、発生した売却益から最大3000万円が控除される制度です。

しかし、こちらの制度を利用するには、条件や期限が定められています。ぜひ、この記事を参考にして3000万円控除を活用し、節税につなげてみてください。

なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。

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