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2024.08.05
不動産売却で消費税の課税対象になるものとは?消費税の計算方法や注意点まで徹底解説!
不動産売却を検討している方で、消費税の課税対象になるものについて知りたい方も多いのではないでしょうか。法人や個人事業主が事業として行う取引は課税対象となり、消費税の納税義務が発生するため、課税対象や計算方法などを正しく理解しておく必要があります。
本記事では、不動産売却で消費税の課税対象になるものや消費税の計算方法、注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
消費税の課税対象になるものとは?
消費税は、事業者が行う取引に課税されるため、以下の4つの要件を満たすものは課税対象です。
- 国内での取引である
- 事業者が事業として行う取引である
- 対価を得て行われる取引である
- 資産の譲渡や貸付け、役務の提供に該当する取引である
たとえば、不動産の売却は資産の譲渡に該当しますが、事業者ではない個人が行う場合、消費税はかかりません。しかし、法人や個人事業主が事業として行う取引は課税対象となり、消費税の納税義務が発生する場合があります。
不動産売却で消費税が課税対象になるもの
次は、不動産売却で消費税が課税対象になるものについて解説します。
- 事業用の不動産(建物)の売却
- 仲介手数料
- 司法書士への報酬
- ローンに関する手数料
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.事業用の不動産(建物)の売却
マンションを他人に貸している事業者が、課税事業者である場合、マンションを売却する際には、建物部分に消費税が課されます。また、事業で使用している車両や機械などの資産を売却した場合も消費税が適用されます。
また、不動産業に従事している場合、課税事業者である限り、事業用の不動産の売却には消費税がかかるため注意が必要です。法人や個人事業主が事業用不動産を売却した際、売却代金は消費税の課税対象になります。
たとえば、家賃収入を目的に購入した投資用マンションを売却する際にも、消費税が課されます。課税事業者とは、消費税の納付義務がある法人や個人事業主を指し、一定の基準を満たすと課税事業者です。
2.仲介手数料
仲介手数料とは、不動産を売却する際に、売却プロセスを補助してくれる不動産会社に支払う費用です。この手数料は売却価格に応じて決まっており、以下のように計算されます。
- 売却価格が200万円以下の場合:仲介手数料は売却価格の5%に消費税が加算
- 売却価格が200万円を超え400万円以下の場合:売却価格の4%に2万円と消費税が加算
- 売却価格が400万円を超える場合:売却価格の3%に6万円と消費税が加算
このように、不動産を売却する際には仲介手数料が発生し、消費税が課されるため、正しく理解しておきましょう。
なお、不動産の売却における仲介手数料の計算については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:不動産売却の仲介手数料を計算する方法とは?支払いのタイミングや安く抑える方法をご紹介!
3.司法書士への報酬
不動産売却における所有権移転登記は、司法書士へ依頼するのが一般的です。この報酬は、売却手続きにおける書類作成や手続きの代行に対するもので、事務所の所在地や業務内容によって異なります。
また、住宅ローンの抵当権抹消には1〜3万円、登記簿の名義変更は1〜2万円程度が相場です。これらの報酬には消費税が加算されるため、不動産会社を通じて、詳細な見積もりを取るのがおすすめです。
4.ローンに関する手数料
ローンを繰り上げ返済する場合、金融機関によっては手数料が発生します。この手数料も、消費税の課税対象となります。
また、金融機関を利用した際に発生する「その他の手数料」にも消費税が含まれている場合があるため注意が必要です。さらに、手数料は金融機関や銀行によって異なります。ただし、ネットバンキングの場合は、手数料はかかりません。
不動産売却で消費税の課税対象にならないもの
次は、不動産売却で消費税の課税対象にならないものについて解説します。
- 個人の不動産(建物)の売却
- 土地の売却
- 免税事業者
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.個人の不動産(建物)の売却
個人が自宅や別荘などの住居用不動産を売却する際、売却代金は消費税の対象外です。個人の所有物である住居用不動産に限られ、たとえ課税事業者であっても、自宅や別荘の売却は非課税とされます。
また、会社員などの非事業者が住むために所有していたマンションを売却する場合も、消費税はかかりません。消費税が課せられるのは、法人や個人事業主などの事業者が行う不動産売却に限られます。
2.土地の売却
不動産の売買において、消費税の適用は特定の条件によって異なります。たとえば、土地の売却については、土地は消費される性質を持たないと見なされるため、消費税はかかりません。これは、売主が個人であっても事業者であっても同様です。一方、建物の売却には消費税が適用されます。
たとえば、不動産取引で土地の価格が1,500万円、建物の価格が2,500万円の場合、消費税が課税されるのは建物の価格2,500万円の部分のみです。このように、土地と建物では消費税の適用が異なるため、取引の際には注意しなければなりません。
3.免税事業者
個人事業主や法人で、免税事業者の場合、免税期間中の消費税は免除されます。課税売上高が1,000万円を超えると、翌年または翌々年には課税事業者となり、不動産売却時には消費税の課税対象となります。
このため、不動産売却を検討する際には、自身が課税事業者か免税事業者かを事前に確認し、適切な対策を講じなければなりません。
不動産売却における消費税の計算方法
次は、不動産売却における消費税の計算方法について解説します。
- 建物部分の購入価格から計算する
- 評価額を元に計算する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.建物部分の購入価格から計算する
不動産を売却する際に、土地には消費税が適用されないため、建物部分のみを対象に計算します。消費税は、建物部分の売却価格をもとに以下のように計算されます。
- 消費税=建物部分の売却価格÷1.1×0.1
たとえば、不動産売却価格が4,000万円、そのうち建物部分が2,500万円、土地部分が1,500万円の場合、消費税の計算は以下のとおりです。
- 消費税:2,500万円÷1.1×0.1=227万円
- 不動産売却価格(税込):4,000万円+227万円=4,227万円
不動産全体の価格で計算しないように気をつけましょう。
2.評価額を元に計算する
不動産売却において、建物と土地の価格が不明な場合、評価額をもとに計算する方法が用いられます。売買契約書には、売却金額が記載されているのが一般的ですが、建物と土地の金額が明確に区別されていない場合も珍しくありません。
この場合、固定資産税評価額や相続税評価額を参考に消費税を算出します。固定資産税評価額は、建物や土地の購入や維持にかかる税金を決定する基準額です。
さらに、相続税評価額は、贈与税や相続税を計算する際の基準となる課税価格です。評価額の算出は不動産会社が行うため、提示された金額に疑問がある場合は、担当者に確認しましょう。
不動産の売却に消費税がかかる場合の注意点は3つ
次は、不動産の売却に消費税がかかる場合の注意点について解説します。
- 消費税分を加味して売却価格を決める
- 納税資金を手元に残しておく
- 確定申告が必要となる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.消費税分を加味して売却価格を決める
不動産取引において、売却額に対する消費税を考慮せずに価格を設定すると、実際に手元に残る金額が予想よりも少なくなる可能性があります。買主から受け取った金額の一部を消費税として、納税しなければならないため、消費税を含めた売却価格の設定が欠かせません。
この設定を怠ると、最終的に得られる利益が減少し、売却の計画に影響をおよぼします。このため、売却価格を決定する際には、必ず消費税を考慮するようにしましょう。
2.納税資金を手元に残しておく
不動産を売却する際、消費税の納付額が高額になる場合が多いため、買主から受け取る売買代金を本体価格と消費税に分けておきましょう。消費税分の金額は手元に残しておき、ほかの用途に使用しないようにしておく必要があります。
また、消費税分を別の目的で使用してしまうと、消費税の納税時に資金が不足する可能性があり、納税に支障をきたしかねません。
3.確定申告が必要となる
不動産を売却した場合、翌年1月1日から3月31日までの間に個人消費税の確定申告をしなければなりません。所得税と個人消費税は異なる申告手続きが必要で、それぞれの期限を守る必要があります。
また、法人が不動産を売却した場合、消費税の申告期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内となります。もし、申告を忘れると罰則が課される可能性があるため、注意が必要です。
不動産売却の消費税でよくある3つの質問
最後に、不動産売却の消費税でよくある質問について解説します。
- 質問1.消費税の申告・納付方法は?
- 質問2.中間申告が必要なケースとは?
- 質問3.不動産の売却でかかるその他の税金は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.消費税の申告・納付方法は?
消費税の申告は、確定申告を通じて行われます。個人事業主は翌年3月末までに、法人は課税期間終了後の2か月以内に税務署に申告し納付しなければなりません。
前課税期間の消費税額が48万円を超える場合、税額に応じて納付回数と金額は異なりますが、中間申告と中間納付が義務付けられます。不動産の売却時には、課税対象者が前課税期間に480万円超の建物を売却した場合、中間申告と中間納付が求められます。
もし、納付を怠ると、加算税や延滞税が発生するため注意が必要です。納付方法には、税務署窓口での現金支払いや口座引き落とし、インターネットバンキング、クレジットカード決済、コンビニ納付、e-Taxによるダイレクト納付などがあります。
質問2.中間申告が必要なケースとは?
前年の消費税の納付額が48万円を超える個人や法人は、「中間申告」と「中間納付」が必要です。この制度は、1年の途中でその年の税金を前払いする仕組みです。
中間申告と納付の回数や金額は、前年の消費税納付額にもとづいて決まります。詳細は、以下のとおりです。
直前の課税期間の消費税額 |
中間申告の回数 |
中間納付税額 |
48万円以下の部分 |
原則不要 |
原則不要 |
48万円超え400万円以下 |
年1回 |
直前の課税期間の消費税額の1/2 |
400万円超え4,800万円以下の部分 |
年3回 |
直前の課税期間の消費税額の1/4ずつ |
4,800万円超えの部分 |
年11回 |
直前の課税期間の消費税額の1/12ずつ |
質問3.不動産の売却でかかるその他の税金は?
不動産の取引に伴う税金としては、以下が挙げられます。
- 印紙税
契約書や領収書に課せられる税金であり、不動産売買契約書も対象。税額は契約金額に応じて異なり、2024年3月31日までの契約書には軽減税率が適用される
- 登録免許税
登記にかかる税金で、買主が負担するのが一般的
- 譲渡所得税
不動産売却による利益に課せられる税金で、自己申告が必要
なお、不動産売却にかかる税金については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:不動産売却にかかる税金の計算方法|譲渡所得の控除制度や節税ポイントをわかりやすく解説! | ビリーフ株式会社
まとめ
本記事では、不動産売却で消費税の課税対象になるものや消費税の計算方法、注意点をご紹介しました。
不動産売却で消費税の課税対象となるのは、課税事業者が事業用の不動産を売却する場合や家賃収入を目的に購入した投資用マンションを売却する場合です。
さらに、不動産会社に支払う仲介手数料や所有権移転登記を司法書士へ依頼する際の報酬、ローンの繰り上げ返済する際の手数料も課税対象です。しかし、個人の不動産売却や土地の売却、免税業者での免除期間中は課税対象外となります。
また、消費税の計算方法は、建物部分の購入価格から計算する方法と評価額から計算する方法があり、建物と土地の価格が明確であるかによって異なります。なお、不動産を売却する際は、消費税分を考慮して売却価格を決め、消費税分は納税資金として手元に残しておきましょう。
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