2024.09.09

不動産売却にかかる譲渡所得税とは?計算する方法や適用できる控除や特例を徹底解説!

不動産売却にかかる譲渡所得税とは?計算する方法や適用できる控除や特例を徹底解説!

不動産の売却を検討している方で、譲渡所得税の計算方法やそれ以外にかかる税金について知りたい方もおられるのではないでしょうか。譲渡所得税は、売却益に対して譲渡所得税が課せられる税金であり、控除や特例を活用すれば税負担の軽減が可能です。

本記事では、不動産売却にかかる譲渡所得税の概要や計算する方法、適用できる控除や特例をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者

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不動産売却にかかる譲渡所得税とは?

不動産売却にかかる譲渡所得税とは?

不動産の売却によって得られる利益には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税とは、不動産を売却した際に発生する利益に対して課される税金で、所得税や住民税、復興特別所得税から構成されています。

復興特別所得税は2037年まで続き、東日本大震災からの復興が目的です。税額は、不動産の保有期間や使用目的に応じて計算され、売却後の翌年に確定申告により納税額が決まります。

譲渡所得税がかからないケース

不動産の売却において、売却価格が購入価格を下回る場合や、特別控除を適用した場合、譲渡所得税が発生しない可能性があります。なお、譲渡所得税の計算式は、以下のとおりです。

  • 売却金額 -(取得費 - 減価償却費)- 譲渡費用 = 譲渡所得

たとえば、4,280万円で購入した木造一戸建てを3年後に3,780万円で売却して、仲介手数料や印紙代の132.34万円を支払った場合の譲渡所得税は、以下のようになります。

  • 3,780万円 -(4,280万円 - 167.4万円)- 132.34万円 = マイナス200.26万円

この例では、譲渡所得がマイナスになるため、譲渡所得税はかかりません。利益が出た場合でも、確定申告で譲渡所得税が課税されない特別控除を利用すれば、税負担の軽減が可能です。

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不動産売却の譲渡所得税を計算するための3ステップ

不動産売却の譲渡所得税を計算するための3ステップ

次は、不動産売却の譲渡所得税を計算するためのステップについて解説します。

  • ステップ1.譲渡所得を計算する
  • ステップ2.特別控除額を差し引く
  • ステップ3.税率をかける

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

ステップ1.譲渡所得を計算する

不動産を売却した際に得られる利益は、譲渡所得として課税の対象です。なお、譲渡所得を正確に算出する計算式は、以下のとおりです。

  • 売却金額 -(取得費用 - 減価償却費)- 譲渡費用 = 譲渡所得

取得費用には、不動産の購入に関連する費用や購入後のリフォーム費用が含まれますが、所有期間中の減価償却費を控除する必要があります。また、譲渡費用には、売却時に発生する手数料やそのほかの経費が含まれます。

ステップ2.特別控除額を差し引く

譲渡所得を計算した後、居住用財産の3,000万円特別控除や、空き家の3,000万円特別控除といった特例が適用される場合、課税譲渡所得は以下のように計算されます。

  • 譲渡所得-特別控除額=課税譲渡所得

また、居住用財産の特別控除額が譲渡所得を上回り、その結果マイナスになった場合には、課税譲渡所得はゼロとなり、追加の税負担は発生しません。

ステップ3.税率をかける

譲渡所得にかかる税金を計算する際には、譲渡所得の金額を計算しなければなりません。譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。

  • 譲渡収入金額 − 取得費用 − 譲渡費用=譲渡所得

譲渡所得に対して、所得税と住民税(譲渡所得税)が課されますが、その税率は売却した物件の用途や所有期間によって異なります。また、特定の条件を満たす場合には、軽減税率が適用される可能性もあります。

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譲渡所得税以外でかかる税金は3つ

譲渡所得税以外でかかる税金は3つ

次は、譲渡所得税以外でかかる税金について解説します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 仲介手数料にかかる消費税

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.印紙税

印紙税は、不動産売買契約書など特定の書面に課される税金で、契約書に印紙を貼り、消印をすることで納税が完了します。印紙税額は契約金額にもとづいて計算され、契約額が大きいほど税額も増加します。

詳しい税率については、以下の表のとおりです。

契約金額

本則税率

軽減税率

100万円を超え500万円以下

2,000円

1,000円

500万円を超え1,000万円以下

1万円

5,000円

1,000万円を超え5,000万円以下

2万円

1万円

5,000円を超え1億円以下

6万円

3万円

1億円を超え5億円以下

10万円

6万円

2.登録免許税

登録免許税は、登記に関連する費用として、不動産の所有権が変更される際や、融資に伴う抵当権の設定・抹消時に課されます。所有権の移転登記にかかる費用は買主が負担して、抵当権の抹消費用は売主が負担するのが一般的です。

また、抵当権抹消には、1物件あたり1,000円の登録免許税がかかり、土地と建物がある場合はそれぞれに発生します。これらの手続きは複雑であるため、司法書士に依頼するのがおすすめです。

3.仲介手数料にかかる消費税

不動産の売却時には、不動産会社を通じて仲介手数料を支払わなければなりません。この手数料には消費税が加算され、売買価格が400万円以上の物件では、手数料の上限が法的に決まっています。

具体的には、売却価格の3%に6万円を加えた金額が上限であり、この金額に対して消費税が適用されます。たとえば、売却価格が3,000万円の物件の場合、仲介手数料は最大で96万円となり、消費税を含めた総額は105.6万円です。

なお、不動産売却の仲介手数料を計算する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:不動産売却の仲介手数料を計算する方法とは?支払いのタイミングや安く抑える方法をご紹介!

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譲渡所得税に適用できる5つの控除や特例

譲渡所得税に適用できる5つの控除や特例

次は、譲渡所得税に適用できる控除や特例について解説します。

  • マイホーム売却にかかる3,000万円特別控除
  • 居住用財産の買い換え特例
  • 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した際の軽減税率の特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.マイホーム売却にかかる3,000万円特別控除

マイホームの売却に伴う特別控除制度は、一定の条件を満たす場合、売却による譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。この控除により、譲渡所得が発生しても、課税対象が大幅に減少します。

また、控除を受けるには、売却する物件が売主の居住用不動産であり、譲渡先が特定の親族や会社でないこと、過去2年間に同様の控除を利用していないことなど、いくつかの要件を満たさなければなりません。

なお、不動産売却における3,000万円控除については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:不動産売却における3,000万円控除とは?適用要件や必要書類について徹底解説!

2.居住用財産の買い換え特例

居住用財産の買い換え特例は、住宅を売却して新たなマイホームを購入する際、譲渡所得税の支払いを新居の売却時まで延期できる制度です。この特例を利用すれば、すぐに税金を支払う必要がなくなります。

しかし、将来的に新居を売却する際には、旧居の譲渡所得税とともに課税される点に注意が必要です。また、この特例は新居の購入金額が、旧居の売却金額と同等以上の場合にのみ全額適用され、利用条件としては以下があげられます。

  • マイホームである
  • 売却価格が1億円以下
  • 「3,000万円の特別控除の特例」などを利用していない
  • 売却した年の1月1日時点で売却する不動産の所有期間が10年を超えている
  • 売主の居住期間が10年以上である

3.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した際の軽減税率の特例

居住用財産を売却する際、一定の条件を満たせば、譲渡所得税の税率が軽減される特例があります。この特例は、マイホームを10年以上所有し、売却時にその所有期間が満10年を超えている場合に適用されます。

特例を利用するためには、売却年の1月1日時点での所有期間が10年を超え、親子や夫婦間の取引でないことが条件です。この軽減税率は、6,000万円以下の譲渡所得に対して適用され、最大20.315%まで引き下げられる場合があります。

4.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡損失の損益通算および繰越控除は、特定の条件を満たした場合に、給与所得などと損益通算を実施して、所得税を軽減するための特別な制度です。この制度により、譲渡損失が大きすぎて一度の申告では全額を損益通算できない場合でも、翌年以降3年間にわたって繰越控除の利用が可能です。

しかし、この特例を利用するには、条件を満たしたうえで、確定申告する必要があります。

5.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買い替える際に、売却した住居で譲渡損失が生じた場合でも、この特例を利用すれば、確定申告により損益通算や繰越控除ができます。特定居住用財産における譲渡損失の損益通算と同様に、給与所得などと損益の相殺が可能です。

しかし、控除しきれなかった金額については、3年間の繰越控除が適用されます。この制度を活用すれば、税負担の軽減が可能になります。

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不動産売却にかかる譲渡所得税でよくある3つの質問

不動産売却にかかる譲渡所得税でよくある3つの質問

最後に、譲渡所得税に適用できる控除や特例について解説します。

  • 質問1.不動産の売却後に確定申告は必要になる?
  • 質問2.減価償却費の算出方法は?
  • 質問3.土地と建物の売却における税金に違いはある?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.不動産の売却後に確定申告は必要になる?

不動産の売却後における確定申告の必要性は、個々の状況により異なりますが、譲渡所得が発生した場合は、譲渡所得税を申告するのが一般的です。必要な申告を怠ったり、遅延や誤りがあると、後から「無申告加算税」や「過少申告加算税」「延滞税」といった追加の税金が課される場合があります。

さらに、意図的に売却益を申告しなかった場合、重加算税が適用される可能性があるため、確定申告の要否はしっかりと確認しましょう。

質問2.減価償却費の算出方法は?

減価償却とは、長期間にわたり使用される資産の価値を耐用年数に応じて、減少させる会計手続きです。この手続きでは、国税庁が定める法定耐用年数にもとづいて資産の価値が毎年少しずつ減少します。

たとえば、建物の場合、構造や用途によって異なる耐用年数が定められており、木造住宅の耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造は47年です。また、減価償却費の計算方法には「定額法」が一般的であり、取得価額を耐用年数で割ると毎年一定額を償却します。

質問3.土地と建物の売却における税金に違いはある?

不動産取引において、土地単独の売買や建物と一緒に売買する場合など、取引の種類によって税金に違いはありません。しかし、取引に関連する手数料や諸費用については、取引の内容に応じて変動する場合があります。

また、不動産の売却時に利用できる特別控除には、建物売却に適用される特例や、土地売却のみに適用される特例などが存在します。このため、取引の内容によって最終的な税金の額が変わる可能性が高いです。

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まとめ

まとめ

本記事では、不動産売却にかかる譲渡所得税の概要や計算する方法、適用できる控除や特例をご紹介しました。

不動産売却に伴う譲渡所得税とは、売却によって得た利益に対して課される税金です。しかし、譲渡所得がマイナスとなる場合、譲渡所得税はかかりません。

さらに、利益が出た場合でも、確定申告で譲渡所得税が課税されない特別控除を利用すれば、税負担の軽減が可能です。譲渡所得税を計算する際は、まず譲渡所得を計算し、次に特別控除額を差し引き、最後に税率をかける3つのステップを踏みます。

また、印紙税や登録免許税、仲介手数料にかかる消費税など、ほかにも発生する税金があるため注意が必要です。マイホーム売却にかかる3,000万円特別控除、居住用財産の買い換え特例など、適用できる控除や特例を活用すれば、税負担を軽減できる可能性があります。

なお、「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから

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