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2025.07.28
不動産の名義変更費用はいくら?内訳と相場、安く抑える3つの方法をご紹介!
不動産の相続や贈与、売買などが発生した際には、法務局で不動産の名義変更(所有権移転登記)の手続きが必要です。この手続きには、ご自分で行う場合でも専門家である司法書士に依頼する場合でも、必ず費用が発生します。
「名義変更に一体いくらかかるのだろう?」「費用の内訳がよくわからない」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、不動産の名義変更にかかる費用の内訳や原因別の相場、費用を安く抑えるための方法について詳しく解説します。
あらかじめ費用の全体像を把握し、計画的に手続きを進めるための参考にしてください。
不動産の名義変更で発生する費用の内訳
不動産の名義変更にかかる費用は、主に「登録免許税」「司法書士への報酬」「必要書類の取得費用」の3つで構成されます。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1. 登録免許税
登録免許税は、不動産の登記を申請する際に国に納める税金です。この税金は、名義変更の手続きを自分で行う場合でも、司法書士に依頼する場合でも必ず発生します。
税額は、不動産の固定資産税評価額に、名義変更の原因(相続、贈与、売買など)ごとに定められた税率を乗じて計算されます。固定資産税評価額は、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書や、役所で取得できる固定資産評価証明書で確認可能です。
例えば、相続による名義変更の税率は0.4%ですが、贈与や売買の場合は2.0%と、原因によって税率が大きく異なるのが特徴です。この登録免許税が、名義変更にかかる費用の大部分を占めるケースが多くなっています。
参考:e-Gov法令検索「登録免許税法」
2. 司法書士への報酬
司法書士への報酬は、不動産の名義変更に関する一連の手続きを専門家である司法書士に依頼した場合に発生する費用です。この報酬額は、法律で定められているわけではなく、各司法書士事務所が自由に設定しています。
そのため、どの事務所に依頼するかによって費用は大きく変動します。報酬の相場は、手続きの難易度や不動産の価格などによって異なりますが、一般的には5万円〜15万円程度が目安です。
複雑な相続関係の整理が必要な場合や、多数の不動産を一度に名義変更する場合は、報酬が高くなる傾向です。依頼する際は、事前に複数の事務所から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討してください。
3. 必要書類の取得費用
不動産の名義変更(登記)を申請する際は、さまざまな書類を準備しなければなりません。書類を取得するための手数料も、名義変更の費用の一部です。
代表的な必要書類と取得手数料の目安は以下の通りです。
- 住民票:1通300円程度
- 印鑑証明書:1通300円程度
- 固定資産評価証明書:1通300円~400円程度
- 戸籍謄本:1通450円
- 除籍謄本・改製原戸籍謄本:1通750円
相続による名義変更の場合、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡まで、すべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)や、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になるため、取得する書類の数が多くなりがちです。そのため、書類の取得費用だけで数千円から1万円以上かかる場合もあります。
【原因別】不動産の名義変更にかかる費用の相場シミュレーション
不動産の名義変更にかかる費用は、原因によって大きく異なります。登録免許税の税率が変わるため、総額に大きな差が出るのが一般的です。
相続、贈与、売買、財産分与(離婚)の4つのケース別に、具体的な費用の相場をシミュレーションで見ていきましょう。
なお、シミュレーションの条件については、以下のとおりです。
固定資産税評価額2,000万円の土地・建物を名義変更し、司法書士に依頼(報酬10万円)した場合
1. 相続による不動産の名義変更費用
相続を原因として不動産を名義変更する場合、登録免許税の税率は0.4%です。これは他の原因に比べて非常に低く設定されています。
【費用シミュレーション】
登録免許税:2,000万円 × 0.4% = 8万円
司法書士報酬:10万円
必要書類取得費用:約5,000円
合計費用:約18万5,000円
相続の場合は、戸籍謄本など必要書類が多くなる傾向がありますが、税金が優遇されているため、総額は比較的抑えられます。ただし、名義変更の費用とは別に、遺産の総額によっては相続税の申告・納税が必要になるケースもあるため注意が必要です。
なお、相続による不動産の名義変更については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:相続による不動産の名義変更とは?放置した場合のリスクや名義変更にかかる費用をご紹介! | ビリーフ株式会社
2. 贈与による不動産の名義変更費用
親子間や夫婦間などで不動産を無償で譲り渡す贈与の場合、登録免許税の税率は2.0%と高めに設定されています。
【費用シミュレーション】
登録免許税:2,000万円 × 2.0% = 40万円
司法書士報酬:10万円
必要書類取得費用:約1,000円
合計費用:約50万1,000円
贈与は登録免許税が高額になるだけでなく、名義変更の費用とは別に「贈与税」がかかる可能性が高い点に注意が必要です。贈与税は基礎控除額(年間110万円)を超える部分に対して課税され、税率も高いため、手続き全体の費用が非常に大きくなるケースがあります。
3. 売買による不動産の名義変更費用
個人間で不動産を売買した場合の名義変更も、登録免許税の税率は原則2.0%です。
【費用シミュレーション】
登録免許税:2,000万円 × 2.0% = 40万円
司法書士報酬:10万円
必要書類取得費用:約1,000円
合計費用:約50万1,000円
ただし、土地の売買については令和9年(2027年)3月31日まで、税率が1.5%に軽減される特例措置があります。また、マイホームの購入など一定の要件を満たす場合には、さらに税率が軽減される場合もあります。
売買の場合は費用の負担を売主と買主のどちらがするか、契約時に明確にしておくことが大切です。
なお、不動産売却の流れについては、こちらの記事でご紹介しています。
関連記事:【プロが教える】不動産売却の流れは7ステップ!手続きに必要な書類もわかりやすく解説! | ビリーフ株式会社
4. 財産分与(離婚)による不動産の名義変更費用
離婚に伴う財産分与によって不動産の名義変更を行う場合も、登録免許税の税率は2.0%です。
【費用シミュレーション】
登録免許税:2,000万円 × 2.0% = 40万円
司法書士報酬:10万円
必要書類取得費用:約1,000円
合計費用:約50万1,000円
財産分与は、離婚が成立してから手続きを行います。贈与とは異なり、原則として贈与税はかかりませんが、分与される財産が過大であると判断された場合には贈与税が課される可能性もあります。
また、不動産を取得した側には、後日「不動産取得税」が課税されるのが一般的です。離婚時の名義変更は感情的な対立も起こりやすいため、専門家に間に入ってもらう方がスムーズに進むケースが多いです。
不動産の名義変更費用を安く抑える方法は3つ
不動産の名義変更にはある程度の費用がかかりますが、工夫次第で負担を軽減できます。費用を安く抑えるための具体的な方法を3つ解説します。
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1. 自分で登記申請手続きを行う
最も直接的に費用を節約できるのは、司法書士などの専門家に依頼せず、自分で登記申請の手続きを行う方法です。自分で手続きをすれば、5万円〜15万円程度かかる司法書士への報酬がまるごと不要になります。
手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。現在は法務局のホームページで登記申請書のひな形や記載例が公開されており、相談窓口でアドバイスを受けることも可能です。
ただし、手続きには法律的な知識が必要で、必要書類の収集や申請書の作成に多くの時間と手間がかかります。書類に不備があれば何度も法務局に足を運ぶ事態になりかねません。
時間的な余裕があり、書類作成などが苦にならない方には有効な方法ですが、少しでも不安がある場合は専門家への依頼を検討するのが賢明です。
2. 複数の司法書士事務所から相見積もりを取る
司法書士に手続きを依頼する場合でも、費用を抑えられます。前述の通り、司法書士への報酬は事務所によって異なるものです。
複数の事務所に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討するのが非常に重要です。見積もりを依頼する際には、単に総額の安さだけで判断しないようにしましょう。
報酬の中にどこまでのサービスが含まれているかに注目してください。例えば、戸籍謄本などの取得代行が含まれているかなどをしっかり確認することが大切です。
最近では、全国対応でWEBから無料相談や見積もり依頼ができる事務所もあります。累計の相談実績が豊富で、料金体系が明確な専門家を選ぶと、安心して依頼できるでしょう。
3. 登録免許税の軽減措置を利用する
登録免許税は費用の中でも大きな割合を占めますが、特定の条件を満たすと税率の軽減措置を受けられる場合があります。例えば、以下のようなケースです。
- 相続した土地の名義変更をしないまま所有者が亡くなった場合に、その相続人が行う登記(数次相続)
- 一定の価額以下の土地を相続により取得した場合の登記
- 個人が住宅用の家屋を新築または取得した場合の所有権保存登記や移転登記
これらの軽減措置には適用期間や細かい要件が定められています。自分のケースが軽減措置の対象になるかどうか不明な場合は、法務局や司法書士などの専門家に相談してみると良いでしょう。
適用できれば税金を大幅に節約できる可能性があります。
不動産の名義変更を専門家に依頼する費用とメリット
不動産の名義変更を自分で行うのも可能ですが、専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼した場合の費用の相場と、専門家に依頼するメリットについて解説します。
司法書士への依頼費用の相場
司法書士に不動産の名義変更を依頼した場合の報酬は、名義変更の原因や不動産の数・価額、手続きの難易度によって変動します。一般的な相場としては、5万円〜15万円程度を見ておくと良いでしょう。
例えば、相続関係が複雑で、多数の戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成まで依頼するようなケースでは報酬は高くなる傾向です。一方、売買や贈与など、当事者や必要書類が限定的な場合は、比較的安価に収まる場合もあります。
正確な費用を知るには、まず不動産の固定資産税評価額がわかる書類(納税通知書など)を準備した上で、司法書士に相談し、見積もりを取得する手順が不可欠です。
なお、抵当権抹消の司法書士費用については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:抵当権抹消に司法書士費用はいくらかかる?依頼するメリットや費用相場を徹底解説! | ビリーフ株式会社
専門家へ依頼するメリット
費用を払ってでも司法書士に依頼するメリットは非常に大きいです。最大のメリットは、複雑で面倒な手続きをすべて任せられる点です。
必要書類の収集から登記申請書の作成、法務局への申請まで一貫して代行してもらえるため、時間と手間を大幅に節約できます。特に平日に仕事で時間が取れない方にとっては、非常に助かるサービスです。
また、専門家である司法書士が手続きを行うため、書類の不備や申請のミスといったリスクがありません。確実かつ迅速に名義変更を完了させられます。
さらに、登記だけでなく、関連する税金の問題(贈与税や不動産取得税など)についてもアドバイスをもらえるため、後々のトラブルを防止にも繋がります。
不動産の名義変更費用に関する注意点
不動産の名義変更を検討する際には、登記にかかる直接的な費用以外にも注意すべき点があります。特に重要な2つのポイントについて解説します。
1. 贈与税や不動産取得税などの税金が別途かかる場合がある
不動産の名義変更が完了した後、登録免許税とは別に「贈与税」や「不動産取得税」といった税金が課されるケースがあるため、注意が必要です。贈与税は、個人から無償で財産をもらった場合にかかる税金です。
不動産のような高額な財産を贈与された場合は、税金も高額になる可能性があります。また、不動産取得税は、売買や贈与などで不動産を取得した人に対して、都道府県が課税する税金です。
相続による取得の場合は非課税ですが、それ以外の原因(贈与、売買、財産分与など)で不動産を取得した場合には、原則として課税対象となります。これらの税金は、名義変更の手続きが終わってから数ヶ月後に納税通知書が届くため、忘れた頃に請求が来て驚かないよう、あらかじめ資金を準備しておきましょう。
2. 手続きを放置するリスクを理解する
不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月1日から義務化されました。正当な理由なく手続きを怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
名義変更を放置していると、さまざまなデメリットやリスクが生じます。例えば、相続が発生した後にさらに相続人が亡くなると、関係者がネズミ算式に増えていき、遺産分割の話し合いが非常に困難です。
さらに、不動産の名義が元の所有者のままだと、その不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりすることが一切できません。いざという時に不動産を活用できなくなるリスクを避けるためにも、名義変更は権利関係に変動があった際に、速やかに手続きを行うのが非常に重要です。
参考:法務省「相続登記の義務化」
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不動産の名義変更 費用でよくある3つの質問
不動産の名義変更で、気になるのが「費用」ではないでしょうか。ここでは、多くの方が抱く3つの疑問にお答えします。
質問1. 不動産の名義変更費用は誰が払うのですか?
法律で明確な決まりはありませんが、一般的には不動産を新たに取得する側(買主、もらう側、相続人など)が負担するケースがほとんどです。売買契約の場合は、契約書の中で費用負担について明記されるのが通例です。
相続の場合は、相続人同士の話し合いで、誰がどの費用を負担するかを決めます。例えば、登録免許税は不動産を取得する相続人が負担し、戸籍謄本などの取得費用は相続財産から支出する、といった方法が考えられます。
トラブルを避けるためにも、事前に誰が何を支払うのかを明確にしておくことが大切です。
質問2. 費用が払えない場合はどうすれば良いですか?
登録免許税は現金での一括納付が原則であり、分割払いは認められていません。もし費用が払えない場合は、いくつかの対処法を検討しましょう。
まず、親族に借りる、あるいは金融機関のフリーローンなどを利用する方法があります。また、相続の場合であれば、相続した不動産を売却して、その売却代金から費用を支払う選択肢も考えられます。
ただし、売却するためには先に相続による名義変更を完了させなければなりません。このような場合は、司法書士などの専門家に相談し、最適な手続きの進め方についてアドバイスを求めるのがおすすめです。
質問3. 自分で手続きする場合、期間はどれくらいかかりますか?
自分で手続きをする場合、期間は準備段階から完了まで、早くても1ヶ月、通常は2〜3ヶ月程度かかると考えておくと良いでしょう。期間は、名義変更の原因によって大きく異なります。
相続の場合は、戸籍謄本一式の収集に1ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。書類の収集と申請書の作成に時間がかかり、法務局に登記申請をしてから完了(登記識別情報通知書を受け取る)するまでに、1週間から2週間程度かかります。
もし書類に不備があれば、さらに時間がかかってしまうため、余裕を持ったスケジュールで進めるようにしましょう。
まとめ
不動産の名義変更にかかる費用は、登録免許税、司法書士への報酬、必要書類の取得費用で構成されており、特に登録免許税が総額に大きく影響します。費用の相場は、名義変更の原因によって大きく異なり、相続の場合は比較的安く、贈与や売買では高額になる傾向です。
費用を抑えるには、自分で手続きを行う、複数の司法書士から相見積もりを取る、登録免許税の軽減措置を利用するといった方法が有効です。しかし、自分で手続きを行うには多くの時間と手間がかかり、書類の不備などのリスクも伴います。
確実かつスムーズに手続きを完了させたい場合は、専門家である司法書士へ依頼するのが最善の選択です。司法書士に依頼すれば、複雑な手続きをすべて任せられるだけでなく、関連する税金の問題や将来的なトラブルの防止にも繋がります。
まずは、無料相談などを活用して、自身のケースではどのくらいの費用がかかるのか、見積もりを取るところから始めてみてはいかがでしょうか。
なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから