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2024.01.29
【プロが教える】レインズとは?仕組みや活用するメリット、よくある質問を徹底解説!
「レインズって何?」「売主として活用するメリットは?」などのように感じる方は少なくありません。売主としてレインズについて知っておくことは、早期売却を実現するために重要です。
この記事では、レインズのメリットや注意点、よくある質問について詳しく解説します。レインズについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
レインズ(REINS)とは?
「レインズ(Real Estate Information Network System)」は、国土交通大臣から指定された不動産流通機構によって運営されるコンピューターネットワークシステムです。
このシステムは水道や電気のように不動産取引において欠かせない基盤として機能しています。不動産流通機構は、不動産取引を適正かつ円滑に進めるための組織となり、全国に4つの地域組織が存在します。
レインズは主に不動産会社向けとなっているものの、一部は一般の方でもアクセス可能です。
レインズに掲載されている情報
レインズは、指定流通機構に登録された不動産会社が利用できるシステムです。このシステムでは、住所、駅、価格、面積、間取り、階数、接道方向、駐車場の有無、都市計画など、様々な条件に基づいて物件を検索できます。
これにより、不動産会社は顧客のニーズに合った物件を効率よく見つけることが可能です。さらに、レインズには物件のデータだけでなく、過去の取引事例などの情報も含まれています。
レインズが作られた目的
1986年に始まった「レインズ」の設計は、インターネット未普及の時代となり、当時では不動産ポータルサイトなどはありませんでした。
不動産業界では「囲い込み」という問題があり、不動産会社が売却依頼を受けた物件を他社に知らせず、自社の顧客にのみ紹介し、より多くの利益を得る手法です。これにより、売主の機会損失が発生していました。
通常、不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」を行いますが、買主を他社が見つけた場合は「片手仲介」となり、売主からのみ手数料を受け取ります。囲い込みによる両手仲介の試みは、売主に不利益をもたらしました。
この問題に対応するため、「レインズ」という全国の不動産流通システムの構築が始まり、法律で媒介契約に基づく物件の掲載義務が設けられています。これにより、物件情報が全国で共有され、売主にとっての売却機会が増加しました。
しかし、レインズ導入後も囲い込みのリスクは完全には解消されておらず、不動産会社による悪質な行為が依然として存在します。そのため、買い手が見つからない物件に対しては、現在も注意が必要です。
レインズは全国に4つ
国土交通省指定のレインズは、日本全国に分布する4つの不動産流通機構によって運営されており、各機構は特定の地域を担当しています。名称および対象エリアは、下記の表の通りです。
機構および団体名 |
対象エリア |
(公財)東日本不動産流通機構 |
北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県 |
(公社)中部圏不動産流通機構 |
富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県 |
(公社)近畿圏不動産流通機構 |
滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県 |
(公社)西日本不動産流通機構 |
広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・鳥取県・島根県・岡山県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県 |
レインズを活用する3つのメリット
レインズを活用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 取引事例を参考に適正価格がわかる
- スピーディーな売買の実現が期待できる
- 図面を掲載することができる
- 制度に基づき安全な取引ができる
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.取引事例を参考に適正価格がわかる
レインズは、不動産取引の実際の情報をリアルタイムで蓄積しているシステムです。不動産会社は、物件の売買契約が成立した際の情報をレインズに登録します。この豊富な取引データを活用することで、新しい不動産の売却や査定依頼があった際に、過去の事例に基づいて適切な価格を算出することが可能です。
実際、不動産会社は査定時にレインズの情報を利用しています。これにより、より公正かつ適正な不動産取引が実現されています。
2.スピーディーな売買の実現が期待できる
レインズは不動産取引をサポートし、業界全体での取引を円滑かつ迅速に行うために利用されています。お客様から受けた物件売却情報をレインズに登録すると、多数の不動産会社に情報が共有され、売買物件が広く露出されます。これにより、取引をスピーディーに進めることが可能です。
レインズがない場合、物件情報を各不動産会社に個別に問い合わせる必要がありますが、レインズを使用することで、全国の物件をパソコン画面上で簡単に検索し、詳細情報や図面も確認できる利便性があります。
3.図面を掲載することができる
レインズでは、売主自身が作成した間取り図の登録と公開が可能です。一般の広告媒体では間取り図に記載できる項目に制限がありますが、レインズではこのような制約がありません。
これにより、売主は物件を購入したい人に対して、自分が重視する詳細な情報を含んだ間取り図を公開できます。この柔軟性により、売却物件の情報発信力が増すことになります。
4.制度に基づき安全な取引ができる
不動産の媒介契約には、3つの種類があり、その中の「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」においては、レインズへの物件登録が義務化されています。
この登録によって、売主は自分の物件が適切に扱われているかを監視することが可能です。結果として、レインズへの登録を促進することは、より安全で公平な不動産取引を促進します。
レインズを活用する際の注意点
レインズを利用する際には、不動産会社の間で起こる「囲い込み」という問題に注意が必要です。囲い込みは、不動産会社が自社の顧客にのみ売却情報を提供し、他社には渡さない行為を指します。
これを行うと、不動産会社は売主と買主双方から手数料を得られますが、他社が買主を見つけた場合は売主からの手数料のみが受け取れます。
一部の不動産会社では、より多くの利益を得るために虚偽の情報を流して自社での取引成立を目指すことがあります。このような悪質な行為が予想される場合、ほかの不動産会社に相談するようにしてください。
レインズと不動産会社の関係性
レインズは、不動産会社と売主の間で結ばれる「媒介契約」と密接に関連しています。物件の売却に関する媒介契約には、宅地建物取引業法に基づき「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在します。
これらの契約の種類ごとに、レインズへの登録義務や契約内容に違いがあります。ここでは、これらの契約の種類とレインズとの関連について詳しく解説します。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、売却を依頼する不動産会社を一社に限定する契約です。この契約では、複数の不動産会社への売却依頼や、売主自身で買主を見つけることができません。また、契約期間は最長3カ月とされています。
契約を結んだ不動産会社は、契約後5日以内にレインズに売却物件情報を登録し、依頼主に対して週に1回以上売却状況を報告する義務があります。不動産会社が仲介手数料を独占するため、積極的な販売を期待することが可能です。
専任媒介契約
専任媒介契約では、物件売却の依頼はひとつの不動産仲介会社に限定されますが、売主自身が買主を見つけた場合、直接取引が可能です。この契約の期間も専属専任媒介契約と同様、最長3ヶ月と定められています。
受託した不動産会社は契約から7日以内にレインズへ売却物件情報を登録し、2週間に1回以上売却状況を依頼主に報告する義務があります。
一般媒介契約
一般媒介契約では、売主は複数の不動産仲介会社に同時に物件の売却を依頼できます。この契約では、売主が自ら買主を見つけた場合、直接取引が可能です。
一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」の二種類があり、契約時にはどちらかを選択する必要があります。明示型では、他の不動産仲介会社との契約事実を明らかにしますが、非明示型ではその必要はありません。
この契約形態は、専属専任媒介契約や専任媒介契約に比べて売主の制約が少なく、物件売却の自由度が高くなります。ただし、不動産仲介会社にはレインズへの登録義務や販売状況の報告義務がないため、積極的な販売活動は期待しにくいかもしれません。
なお、売主がレインズへの登録を希望する場合は、特約条項を追加することで対応が可能です。
レインズとはでよくある3つの質問
レインズとはでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 質問1.レインズを使えるのは誰?
- 質問2.レインズに物件情報が掲載されているか確認する方法は?
- 質問3.囲い込みの手口と対策は?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.レインズを使えるのは誰?
レインズは、不動産会社専用のサイトであり、一般消費者はアクセスできません。以前は不動産情報の共有が不動産会社間でほとんど行われておらず、消費者は希望する物件を知るために複数の不動産会社を訪れる必要がありました。
この状況を改善するために、不動産会社間で情報を共有し、検索可能にするためのサイトとしてレインズが開発されました。これにより、不動産取引の効率性が大幅に向上しています。
質問2.レインズに物件情報が掲載されているか確認する方法は?
不動産市場では、一部の悪質な不動産会社が「両手仲介」のためにレインズへの登録を故意に遅らせることがあります。こうした事態を避けるために、売主は自分の物件がレインズに適切に登録されているかを確認することが重要です。
「専属専任媒介契約」または「専任媒介契約」を結んだ場合、不動産会社はレインズに物件情報を登録し、登録証明書を発行し、売主はこれらの情報から登録内容を確認することが可能です。
取引状況が「公開中」かどうかを確認し、何も連絡がないにもかかわらず「購入申込あり」や「一時紹介停止中」になっている場合、囲い込みの可能性があるため、注意しなければなりません。
質問3.囲い込みの手口と対策は?
レインズを使用しない場合、不動産の検索はアットホーム、SUUMO、HOME’Sなどのエンドユーザー向けサイトを利用します。ここから物件を探し、掲載されている不動産会社に連絡を取りますが、レインズに登録していない業者は他社への紹介を拒否することが多いため注意が必要です。
その場合、直接物件のオーナーにアプローチすることがひとつの方法として挙げられます。現居住物件の場合、大抵のケースでオーナーが住んでいますので、直接訪問することで確認できます。
まとめ
レインズについて解説しました。レインズは、国土交通省から指定された不動産流通機構によって運営される日本の不動産情報ネットワークシステムです。
レインズの物件情報はリアルタイムで更新され、不動産業界における効率的な情報共有と透明性の向上に寄与しています。売主としてレインズについて理解を深めることでス、スムーズな売却を実現できるようになります。
なお「ビリーフ株式会社」は不動産の買取・仲介だけではなく、不動産に関するさまざまなご相談を承っております。
不動産の購入時や売却時のわかりにくい諸費用や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。⇒公式LINEアカウントによる不動産のお悩み相談はこちらから