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2025.05.17
手付金が返ってくるパターンは4つ|手付金の種類や注意点すべきポイントも詳しくご紹介!
不動産契約を結ぶ際に必要となる「手付金」。支払ったお金は戻ってくるのか、どんな場合に返金されるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
手付金が返ってくるケースは法律で定められています。本記事では、手付金の基本的な知識から返金されるパターン、注意すべきポイントまで徹底解説します。
不動産取引で「手付金が返ってくる」状況を正しく理解して、住まい選びにお役立てください。
不動産契約の手付金とは?
不動産取引において、契約の成立を証明するために買主が売主に支払う金銭が「手付金」です。一般的に売買代金の5〜10%程度が相場とされており、契約の信頼性を担保する重要な役割を果たします。
手付金には主に次の3種類があり、それぞれ性質や返還条件が異なります。
- 証約手付
- 解約手付
- 違約手付
参考:一般財団法人 住宅金融普及協会「住宅売買契約における手付解除とクーリングオフ」
証約手付
証約手付は、不動産売買契約が成立した状況を明確にするために交わされる金銭であり、契約の履行を促す役割を持ちます。売買契約後から残代金の支払いまでに一定の期間が生じるケースが多いため、その間に一方的な解除が行われないよう、当事者間の信頼関係を裏付ける手段として活用されるのです。
契約締結時点では売買代金とは別扱いですが、最終的には売買代金の一部に充てられるのが一般的です。この手付により、契約の安定性が保たれます。
解約手付
解約手付は、不動産売買契約において当事者が一方的に契約を解除できる手段として設けられるもので、買主は支払済みの手付金を放棄し、売主は受領した手付金の倍額を返すと契約を終了できます。ただし、この解除権は無制限ではなく、期限が定められていたり、相手方が契約の履行に着手していたりした場合は行使できません。
例えば、売主が土地の測量を依頼したり、建物の解体を始めたりした場合などは履行開始と見なされ、解除は制限されます。
違約手付
違約手付は、不動産売買契約における債務不履行時のペナルティとして機能する手付金であり、契約違反があった際の損害賠償の簡易的な方法として活用されます。買主が契約を履行しなければ、差し入れた手付金を放棄すると違約金の支払いに代えられ、反対に売主側に契約違反があった場合は、手付金の倍額を買主に返還する義務が生じます。
違約手付の仕組みにより、契約の履行を促し、万一の際の責任分担が明確になるのです。
手付金が返ってくるパターンは4つ
多くの方が「一度支払った手付金は戻ってこない」と思いがちですが、実はそうとは限りません。法律や契約条件によっては、返金されるパターンが存在します。
不動産購入を検討している方や、すでに契約を交わした方が知っておくべき「手付金が返ってくるパターン」について詳しく解説しましょう。
1.住宅ローン特約での返還
住宅ローン特約は、買主がローンの承認を得られなかった場合に売買契約を解除できる仕組みです。住宅ローン特約での返還は、経済的なリスクを軽減するために設けられています。
通常、買主の都合による解約では手付金は返還されませんが、この特約が適用されると、ローン不成立を理由に契約を無条件で解除し、支払済みの手付金も全額返還されます。
ただし、虚偽の申告や不正が原因で審査に落ちた場合は対象外となるため、契約内容の確認は必須です。
関連記事:住宅ローンの借り入れで設定される抵当権とは?必要な書類や費用、抹消方法まで徹底解説! | ビリーフ株式会社
2.売主の契約違反
売主が契約内容を守らず物件の引き渡しを行わなかった場合、買主は契約解除とともに手付金の返還および違約金の支払いを求めることが可能です。例えば、買主が決済に必要な準備を整えているにもかかわらず、売主が所有権移転に応じない場合には契約違反とされます。
契約書で違約金の額が明記されていれば、原則としてその金額をもとに対応します。判断が難しい場合は、専門機関への相談が早期解決につながるでしょう。
3.売主都合の場合の手付倍返し
売主が自己の都合で売買契約を解除する場合、買主には手付金の2倍額が支払われることになります。これは、支払済みの手付金を返還するだけでなく、契約解除による損失補填として同額の違約金を加えるためです。
例えば、他に有利な買い手が現れた場合や、売主の気持ちの変化により売却を取りやめたいと思ったときなどが該当します。ただし、手付解除が可能なのは、契約書で定めた期限内か、相手が履行に着手する前までに限られます。
4.売主が倒産
不動産売買契約の締結後に売主である宅建業者が倒産した場合でも、一定の条件を満たしていれば手付金が返還される可能性があります。具体的には、手付金等保管制度などの保全措置が講じられていた場合に限られます。
この制度は、売買代金の10%または1,000万円を超える手付金を受け取る取引に対して適用されるもので、買主の資金を守る仕組みです。保全措置がない場合、未引渡しの不動産については手付金の返還を請求するのが難しくなります。
関連記事:売却で不動産会社を比較する際のポイントは5つ|選ぶ際の注意点も詳しく解説します! | ビリーフ株式会社
手付金で注意しておくべきポイントは3つ
トラブルなく手付金が返ってくるようにするためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。特に初めて不動産取引をする方は、手付金についての理解が不十分な場合が多く、後々トラブルになるケースも少なくありません。
手付金が適切に返還されるかどうかは、契約時の確認事項や行動によって大きく左右されます。ここからは、手付金が確実に返ってくるよう、特に注意すべき3つのポイントについて解説します。
1.契約書の内容をしっかり確認する
売買契約後、買主に責任のないやむを得ない事情で契約が解除された場合、手付金が返還されるケースがあります。例えば、災害による物件の損傷や、旧住居の売却ができず資金調達が困難になった場合などです。
ただし、手付金返還の可否は契約書の内容によって左右されるため、契約前に解除条件や返還規定を十分に確認しましょう。少しでも不明点があれば、仲介の不動産会社に事前に相談しておくと安心です。
2.キャンセルできるタイミングに注意する
不動産売買契約を解除したい場合でも、その可否は契約書に明記された条件や時期に従う必要があります。一般的に、買主が支払う手付金は解約手付として扱われ、これを放棄すると契約解消が可能です。
ただし、この解除は「履行に着手するまで」に限られるのが通常であり、物件の引き渡しや登記手続きが始まった後は適用外となります。解除を希望する際は、契約締結時に定められた期限をしっかり確認しておいてください。
3.交渉次第で手付金の額が変わる可能性がある
不動産の手付金は一般的に売買価格の5〜10%程度とされていますが、法律で定められた固定額ではなく、物件の状況や売主・買主の合意によって柔軟に調整されます。
特に売却を急ぐ事情がある場合や、需要が低いエリアの物件では、手付金が相場よりも低く設定される例があります。実際の金額については、不動産会社の担当者を通じて確認するのが基本です。
契約前には手付金の金額と条件を明確にし、慎重に進めましょう。
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手付金返ってくるでよくある3つの質問
不動産取引において手付金に関する疑問は多く、特にどのような場合に手付金が返ってくるのかは重要な関心事です。契約時に支払う手付金について、多くの方が不安や疑問を抱えています。
そこで、ここからは「手付金が返ってくる」に関してよく寄せられる質問と回答を紹介します。
質問1.不動産契約における手付金の相場は?
不動産の手付金は、売買代金に対して一定の割合で設定されるケースが多く、一般的には5〜10%程度が目安とされています。例えば3,000万円の物件なら、150万〜300万円ほどが相場です。
特に売主が宅地建物取引業者である場合、法律により手付金の上限は売買価格の20%までと定められています。一方で個人が売主となる場合には法的な上限はありませんが、金額設定には配慮が必要であり、適切なバランスが契約成立のポイントです。
質問2.手付金と申込金の違いは?
不動産取引において「手付金」と「申込金」は混同されやすい用語ですが、意味と役割が異なります。手付金は売買契約成立時に買主が売主へ支払う金銭で、契約の証拠となり、売買代金の一部に充てられます。
契約を解除する場合は返還されず、違約金の扱いとなるのが一般的です。一方、申込金は賃貸契約で使われるもので、借主が借りる意思を示すために支払います。
契約前に辞退した場合は、申込金は原則返還される点が大きな違いです。
質問3.手付金が返ってくるタイミングは?
手付金が返ってくるタイミングについて、以下の表形式でまとめました。
解除の理由 |
返金タイミング |
備考 |
住宅ローン特約による解除 |
契約解除の意思表示から概ね1〜2週間程度 |
住宅ローン審査が通らなかった場合、特約期限内に限る |
売主都合による解除 |
契約解除の合意後、速やかに |
手付金の返還に加え、同額の違約金(手付倍返し)も支払われる |
売主の契約違反による解除 |
契約解除の合意後、速やかに |
買主からの催告後に契約解除となる |
返金の具体的な手続きや期間については契約書に明記されているケースが多いため、不安な場合は契約前に仲介業者や売主に確認しておいてください。
まとめ
不動産売買における手付金は、契約の証として重要な役割を果たしますが、条件によって返還されるケースがあります。手付金に関するトラブルを避けるには、契約書の内容を細部まで確認し、解除可能なタイミングを把握しておくのが大切です。
また、金額は交渉次第で変わる可能性もあるため、不動産の専門家に相談しながら進めるのが良いでしょう。
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