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2023.10.28
【プロが解説】共有持分の不動産は売却できる?売却方法や必要な費用、起きやすいトラブルもご紹介!
不動産を保有する場合、個人名義で保有することが難しいケースがあります。その場合、共有持分という形で複数人名義で保有する場合があります。
共有持分として不動産を保有している場合、どのような形で不動産を売却できるかを理解して適切に対応できるかがポイントです。本記事では、共有持分の不動産を売却する方法や注意すべきポイントなどを紹介します。
共有持分の不動産は売却できる?
はじめに、共有持分の不動産を売却できるかどうかを理解することが重要です。ここでは、共有持分の不動産の売却可否や注意ポイントを紹介します。
そもそも共有持分とは?
共有持分とは、一つの不動産に対して複数人で所有している場合に、それぞれの保有者が得ている所有権の割合を示します。共有持分として所有権を分配するケースとしては、以下が該当します。
- 複数人で出資して不動産を購入した場合
- 相続などにより兄弟姉妹の複数名が不動産を相続した場合
共有持分として最も多いケースが、相続によるものです。例えば、親が亡くなって3人で親が保有している不動産を相続する場合、基本的には3人で不動産を3分の1ずつ保有権を得る形となります。
共有持分だけなら単独で売却できる
共有持分の不動産を保有している場合、自分だけの判断で各種行為が取れない場合があります。主に、行為としては、以下のようなものがあります。
- 変更行為:不動産に物理的損傷や改変をおこなう行為のこと
- 管理行為:共有物を利用したり改良したりする行為のこと
- 保存行為:共有物に対して現状を維持するための行為のこと
各々の行為によって、ほかの保有者に対してどのような同意が必要かが異なります。例えば、行為と呼ばれる建物の修繕などは単独の判断が可能です。一方で、賃貸借契約の締結や解除など管理行為に該当する場合は、保有者の過半数の同意が必要です。
さらに、共有物の売却や売買契約をおこなう場合は、全員の同意が必要となります。
一般の第三者へは売却できない
共有持分の場合、保有者全員の同意があれば売却は可能です。ただし、実際には一般の第三者に対して売却をおこなうことはできません。
これは、第三者としては保有者がいる物件で一部の保有権のみを買い取ったとしても、制約が多いためあえて購入したいというケースは稀です。また、複数人で共有持分がある不動産で特定の方が第三者に売却したい場合、ほかの保有者としては全く知らない第三者の可能性があります。
この場合では、同意が得られにくい傾向にあり、第三者への売却が成立するケースが少なくなっています。
不動産の共有持分を売却する4つの方法
不動産の共有持分を売却する方法として、以下4つがあります。
- 買取専門業者に売却する
- 共有者全員の合意を得て不動産全体を売却する
- 他の共有者に売却する
- 不動産が土地である場合は分筆する
各方法について、詳しく解説します。
1.買取専門業者に売却する
最もスタンダードな共有持分の不動産を売却する方法として、買取専門業者に依頼する方法があります。買取専門業者の場合、共有持分の不動産を売却するノウハウが多くあり、効率よく売却できるメリットがあります。
買取専門業者としては、共有持分を買い取った上で、ほかの保有者に対して保有権を転売することで利益を上げているのです。共有持分ではなく、単独名義で不動産を持ちたいという方にとって、買取専門業者は使い勝手の良い業者と言えます。
買取専門業者を利用すれば、スピーディーに手間を掛けずに売却できる点が魅力的です。一方で、売却価格はほかの方法と比較して安くなる傾向にあります。
2.共有者全員の合意を得て不動産全体を売却する
ほかの保有者とコミュニケーションをとって、共有者全員の同意を受けた上で不動産全体を売却する方法があります。単独で保有権のみを売却する方法と違い、不動産全体を売却することで一般的な不動産売却の相場で売却できるメリットがあります。
なお、売却が成立した場合は保有者全員で売却利益を分配する形を取るのが一般的です。また、売却契約を締結する場合は共有者全員の同意はもちろんのこと、署名と捺印が必須となります。
3.他の共有者に売却する
自分が保有している保有権を、ほかの共有者に対して売却する方法があります。買取専門業者を利用するケースと違い、あくまでも自分自身で交渉してほかの共有者に売却する方法となります。
共有者が親族など気軽に会話できる関係性であれば、比較的スムーズに売却を進めることが可能です。一方で、あまり面識がない方と交渉する場合、条件面で折り合いが付けにくい傾向があります。
成約価格の面でトラブルが発生するケースがあるため、不動産鑑定を受けて正しい価値を確認した上で売却交渉することをおすすめします。
4.不動産が土地である場合は分筆する
もし、対象となる不動産が建物を含まず土地だけの場合は、分筆する方法もあります。分筆とは、一つの土地を複数に分割する為の登記手続きのことです。
自分が保有している分だけを分筆して、個人保有となり売却を進めることが可能です。建物と違い、土地の場合は単純に面積で均等に分配しやすい傾向にあります。
ただし、土地の形状や位置によって微妙に価値が異なるため、単純に均等分配できないケースもあるのです。どの土地を分配するかについて共有者同士でトラブルになりやすいため、分筆後を考えて交渉する必要があります。
共有持分の売却に必要な費用は4つ
共有持分の売却を進めるにあたって、費用がかかります。主にかかる費用としては、以下4つがあります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 仲介手数料
各費用の詳細は、以下のとおりです。
1.印紙税
印紙税とは、不動産売却などの契約書を作成するにあたって徴収される税金です。印紙税は、売買価格によって税額が異なります。
軽減税率を適用した場合の印紙税は、以下となります。
売買価格 |
税額 |
1万円未満 |
非課税 |
10万円以下 |
200円 |
50万円以下 |
200円 |
100万円以下 |
500円 |
500万円以下 |
1,000円 |
1,000万円以下 |
5,000円 |
なお、10万円以下の場合は刑率減税の措置対象となっていない関係上、200円の印紙税がかかります。
2.登録免許税
登録免許税とは、不動産において各種登記をおこなう際にかかる税金となります。共有持分の不動産を売却したい場合、もし不動産に住宅ローンが残っているケースなどでは抵当権が付きます。
もし、抵当権が付いている場合は、抵当権を抹消するための登記をおこなう場合に登録免許税がかかるのです。登録免許税は、不動産1個に対して1,000円となっています。
3.司法書士報酬
共有保有の不動産を売却したり、保有権を売却したりしたい場合、各種手続きが必要となります。この手続きには、法律に関連することも多いため司法書士などの専門家に依頼しなければならないケースもあるのです。
代表例として、抵当権抹消登記については司法書士に依頼する形を取ります。司法書士に依頼する場合、当然報酬を支払わなければなりません。
抵当権抹消登記だけで言えば、司法書士報酬は5,000円から10,000円が相場となります。
4.仲介手数料
もし、不動産会社に不動産の売却を仲介してもらう場合、仲介手数料の負担が必要です。仲介手数料については、宅地建物取引法で以下のように売却額に応じて上限額が設定されています。
売買価格 |
仲介手数料 |
200万円以下 |
売買価格の5% + 消費税(10%) |
200万円超、400万円以下 |
売買価格の4% + 消費税(10%) |
400万円超 |
売買価格の3% + 消費税(10%) |
上記はあくまでも上限値であり、実際には各不動産会社によって独自の設定があります。
共有持分の売却に必要な書類は4つ
共有持分の売却を進めるにあたり、各種書類の準備が必要です。具体的には、以下4つの書類を準備する必要があります。
- 土地測量図・境界確認書
- 権利証(登記識別情報)
- 身分証明書・住民票
- 印鑑登録証明書・実印
各書類について、詳しく解説します。
1.土地測量図・境界確認書
もし、売却を進める不動産に土地が含まれる場合は、正しい土地の面積を把握するために土地測量図が必須となります。土地測量図は、図面に使用する線の太さまで細かく規定されており、公的な図面として有名です。
また、土地の面積を把握するためには境界線がどこにあるのかを把握することも重要です。境界については法務局で確認可能ですが、不動産会社に依頼するとスムーズに確認できます。
2.権利証(登記識別情報)
権利証とは、自分が不動産の正式な所有者となっていることを証明できる書類のことです。共有持分を売却する場合、権利証または登記識別情報が必須となります。
2005年に不動産登記法が改正されましたが、それ以前は共有名義で登記したケースでも、権利証は1冊しか発行されませんでした。よって、共有持分を売却したくても権利証が存在しない場合があるのです。
そこで、法務局が本人確認をおこなうことで証明できる事前通知制度などを利用する必要があります。
3.身分証明書・住民票
共有持分の不動産を売却する場合には、身分を証明する書類の準備が必要です。身分証明書とは、主に運転免許証やパスポートなどが該当します。
また、登記簿に記載された住所から転居しているケースでは、転居先の住所を証明するために3カ月以内に発行された住民票の用意が必要となります。
4.印鑑登録証明書・実印
最終的に、売買が成立すると売買契約書を締結する必要があります。この場合、実印での押印が必要になるため準備が必要です。
また、同時に3ヶ月以内に発行されている印鑑登録証明書の準備も必要となります。
共有持分を売却する際に起きやすいトラブル例と対処法
共有持分を売却する場合には、トラブルが発生してしまうケースがあります。主なトラブルの事例として、以下のパターンが多く見られます。
- 共有者間の人間関係が悪化する
- あとから贈与税を課される
- 共有者がわからず合意を取れない
各パターンの詳細と対処法について、詳しく解説します。
1.共有者間の人間関係が悪化する
共有持分の不動産を売却するため、ほかの保有者との交渉が必須です。この交渉の過程において、お互いが不動産売却に関する知識がない状態で進めると、トラブルに発展しがちです。
特に、勝手に売却を進めると人間関係の悪化にも繋がるため、専門家を交えて交渉するなどの対応が必要となります。
2.あとから贈与税を課される
共有持分となるケースとして相続によるパターンが多く、親族が共有者となります。この場合、共有持分として権利を得たものの、自分自身は不動産を保有する必要は無いためほかの共有者に対して譲渡したいという場合もあるのです。
ただし、相場より明らかに低い金額での売却もしくは無償で譲渡した場合、贈与と見なされる場合があるのです。もし、譲渡と見なされた場合は譲与税が徴収される場合があるため親族同士であっても適正価格での売却を進めてください。
3.共有者がわからず合意を取れない
過去、相続登記しないまま相続を繰り返している場合、誰が共有者なのかを把握できない場合が大半です。もし、売却を進めたい場合でも共有者の同意を得るために誰に連絡すればよいのかも分からず、結果として売却を諦めなければなりません。
もし、相続が繰り返されて誰が共有者か把握できない場合は、司法書士に相談することをおすすめします。不動産の売却相談については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】不動産売却の悩みはどこに相談すればいい?内容別に専門家を詳しく解説! | ビリーフ株式会社
不動産における共有持分の売却でよくある3つの質問
ここでは、不動産において共有持分を売却する場合によくある質問を紹介します。しっかりと疑問点を晴らして、失敗しないように注意してください。
質問1.共有持分の売却先とは?
共有持分の売却先は、様々なパターンがあります。ほかの所有者に対して売却する方法もありますが、個人で交渉する際には法律などの知識に乏しくトラブルに発展しがちです。
そこで、主に以下のような売却先を選定するケースが見られます。
- 共有持分売却の仲介専門会社
- 買取専門会社
- 投資家
仲介専門会社や買取専門業者では、圧倒的なノウハウの多さでスムーズに売却できるメリットがあります。ただし、売却費用としては若干低くなってしまうケースがあるのです。
不動産に魅力的なポイントがある場合、投機対象となり投資家に売却できる場合もあります。上記の売却先に依頼する場合は、共有持分の不動産を取り扱ってくれるか、実績はどの程度あるのかをよく確認してください。
関連記事:【2023年度最新】岡山市の売却に強い不動産10選|会社選びのポイントもわかりやすく解説!
質問2.共有持分を相場より高く買取してもらうコツは?
共有持分について、より相場よりも高く買い取ってもらうためには、主に以下の対応が必要となります。
- ほかの共有者と良好な関係を築く
- 持分割合を増やした上で売却する
- 複数の業者に査定を依頼する
買取業者に依頼する場合でも、ほかの共有者に同意を得なければなりません。業者側としても、関係が悪化している場合は交渉が難航する可能性が高く、敬遠されがちです。
そこで、ほかの共有者との関係を良好に保てば、その分だけ高い査定金額を提示してもらえる可能性があります。また、なるべく共有持分が多い状態で売却した方が高く買い取ってもらえるため、ほかの共有者と相談しておくことをおすすめします。
買取業者などに依頼する場合は、複数の業者に査定を依頼するのが鉄則です。これにより、相場を把握できると同時に少しでも高く買取対応してくれる業者を探せるメリットがあります。
質問3.共有名義のマンションは持ち分のみでも売却できる?
共有名義でマンションを保有している場合、購入時に出資した金額の割合で持分が決定します。例えば、5,000万円のマンションを2人で均等に出資している場合、自分の持分は5,000万円の半分の2,500万円となるのです。
自分の持分については、売却することが可能です。
まとめ
不動産において、共有持分については保有者の同意があれば売却が可能です。ただし、共有者同士がコミュニケーションを取れていない場合、同意を得られにくい傾向があります。
また、個人で交渉する場合は法律的な知識も必要となりうまくいかないケースが大半です。共有持分の売却を進める場合、専門業者に依頼したり専門家の意見を取り入れて進めてください。
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